50歳を過ぎて実感 旅は時間を超越する

<Reライフアンケート・みんなの体験談>あまりお金をかけずに心に残った旅

更新日:2017年05月14日

 「あまりお金をかけずに心に残った旅」をテーマに、朝日新聞の朝刊Reライフ面の読者に呼びかけると、320人からたくさんの思い出が寄せられました。豪華なホテルや旅館に泊まらずとも心豊かな旅ができることをみなさんの投稿から教えていただきました。


若いころに苦労した貧乏旅行は人生の宝物

●私たち夫婦は20代で結婚しましたが、結婚式は近くの教会で挙げその足で自家用車に乗って新婚旅行に出ました。行き先は決めず、ただ北海道が見たいと言う一言で名古屋から飛行機に乗り、着いたのは札幌でした。レンタカーを借りて1月初旬の北海道を走るのは最高の気分でした。札幌のビジネスホテルに飛び込みで入った際に、「新婚なら特別室をどうぞ!」と最上階のスウーイトルームを通常料金で泊めてくれたのには驚きでした。帰りは苫小牧からフェリーでしたが最高の新婚旅行になりました。(三重県 男性 6569歳)

●二十歳のころ、ふと旅に出たくて東京駅からゆく当てもなく普通電車に乗り一人旅と出かけました。電車の中で知り合った同年代と思われる男性と仲良くなり、話が弾み日光の奥湯元の温泉に寄りました。九州育ちで別府温泉しか知らなかった私は、その硫黄温泉の強烈なむせ返りに思わずぼうぜんとなりました。その夜寝ずにいろんな話をし、男体山の戦場が原を歩いて帰りました。昨年、ふとその話を思い出し、妻と2人でその温泉に出かけました。当時の面影は全くありませんでしたが、温泉だけは体が覚えていました。(千葉県 男性 6569歳)

●現代は低価格で旅行ができるといってもある程度の出費が必要で、お金をかけない旅はないように思います。40年以上前、安い給料から旅費を工面してユースホステルを利用しながら山陰地方を旅したことがあります。小生は高知生まれのため北極星は山の上に見られることが常識ですが、山陰の海の上に北極星が輝いているのを見て感動したことがありました。遠い昔の話です。今はお金をかけないと貧乏旅行になりかねません。そう感じるのも豊かな時代を経験したせいでしょうか。(東京都 男性 6569歳)

●大学生活を送っていた岡山から高校の同級生が進学していた佐世保へ。そこを拠点に平戸や長崎へ。移動は基本的に鈍行列車の旅。宿泊代ゼロ。平戸ではアゴの丸干しを買ったり、長崎ではすべての食事を長崎チャンポンにしたり、佐世保では友達が行きつけの居酒屋でニンニクまみれにした豚足を食べたり。食に関して強烈な印象の残る旅でした。豚足を食べた翌日、友達の下宿を訪れた学生が一瞬で前日に食べたものを知るところとなりました。これからの人生でこんな旅はできないでしょう。(静岡県 男性 5559歳)


旅は子どもを確実に成長させるもの

1976(昭和51年)年、小学校6年の時に、「予算を含めてしっかり計画を立てることが出来れば、『ひとり旅』をしても良い」という条件で行った信州~鎌倉旅行が一番印象に残っている。インターネットなどで簡単に情報がとれるような時代ではないころ、列車の時刻表や地図など、図書館に通いつめて計画を立てた日々は記憶に新しい。テレビドラマ『俺たちの旅』の舞台だった極楽寺駅、江の島、鶴岡八幡宮……いまでも時折訪れることがあるが、最初の鮮烈な出会いがあったので、毎回、新しい発見を感じる。(長野県 男性 5054歳)

●小学5年生の夏、子どもたちだけの旅をするよう親に命じられた。行き先は大分県中津市で、湯治住んでいた筑豊の自宅から汽車で半日の旅。2人の弟を引率しての旅は、路線や時刻表を調べることから始まった。訪れた先は父母の知人宅で、清流山国川での沐浴(もくよく)や私立図書館や福沢諭吉旧居巡りと、普段はなかった別世界での3日間だった。子どもたちだけの旅は翌年以降も続き、祖父母を訪ねて静岡で富士山登山、さらには東京へも足を延ばした。可愛い子に旅をとの親心は、普段は厳しいしつけの中の清涼剤となっていた。「斬新的な教育方針だったな」と、父母の面影が浮かび出る。(東京都 男性 80歳以上)


かつて住んだ場所の再訪も旅情を誘う

●故郷のなじみ深い場所なのに一度も足を運んだことがなかった場所に初めていってみた。コミュニティーバスで150円。上諏訪の上社。厳冬の時期で大変寒かった。書物で御柱祭のいわれは知っているつもりだったが、異次元に足を踏み入れたような不思議な気持ちになった。余りの寒さに帰り道で市営の温泉につかった。結婚後、お金がなく一度も旅には出たことがない。家族旅行もなかった。この年になってたった独りで、しかも身近な場所でこんなぜいたくなことができるなんて。感無量だった。(埼玉県 女性 6064歳)

●新婚当時暮らしていた町に再赴任したとき、以前暮らした家・アパート、公園、商店街などを訪れて当時を懐かしんだ。同時に、子どもたちが立ち寄ったとき、幼すぎて記憶に無いであろう場所をつれて歩いた。旅というほどのことではないが、定住地を持たなかったころだったので、懐かしさと生活の変わり様が、時間の旅と思えてならなかった。(埼玉県 女性 5559歳)


万感胸にせまる 老いた親との旅

●青春18切符を使った鈍行列車の日帰り旅行を初めて父と2人でしました。JR常磐線から水郡線を乗り継いで、袋田の滝を見てきました。平日だったので、電車もすいていました。滝を見に来た人も少なく、ヨロヨロ歩きの父でもゆっくりと楽しく見ることができました。また、初の父子旅だったせいか、普段できない色んな話ができて本当に心に残る旅になりました。行き先は父が決めました。理由は父の兄弟が病気のため療養していた地を通るためでした。そのほか、辛かった戦後の話なども、思い出したように語ってくれて、本当に胸がいっぱいになりました。(千葉県 女性 5054歳)

●十数年前、初めて母と2人で北海道に旅行した。父が亡くなってから、母は姉とは何度も旅行をしたが、私とはなかったので楽しみにしてくれた。函館、小樽、札幌を巡るパックツアーだったがとても喜んでくれた。「また、どこか行きたいね」と言い、「そうだね」と答えたが、忙しさに紛れそのままになったのが悔やまれる。小樽のガラス工房で求めた花器を見るたび、元気だった母の面影が思い起こされる。(東京都 男性6569歳)


息子からの粋な贈り物

●昨年の11月、ふるさと納税制度を利用して夫婦で三十数年ぶりの一泊旅行をした。なにぶんすべてが別行動で過ごしている家族事情もあって、旅行なんて考えられなかった。これには訳があり、息子から退職記念を兼ねた草津温泉宿泊券を渡されたのである。いや応なしに日時、宿泊先、乗る列車の時間を決めるなど準備のために会話が必要になった。ぎくしゃくしながら何とか行われた。昭和の前期の2人ゆえ、案外のけち旅行であったが会話もあった。息子には教えられた。(千葉県 男性 7579歳)


近場は意外と見落とされがち

●私の住む大阪市には無料の市営渡船場が8カ所ある。自宅から1時間ちょっと歩くと、平林の渡し(木津川渡船場の平林北側)もそのひとつだ。そこからウォークを楽しみ、数カ所の渡船場をめぐると、帰りの電車代ですむ。大阪描写も楽しめる定番コースだ。(大阪府 男性 6064歳)

●宮崎市に住んでいるので考えてみれば、いつも「リゾート地」にいるようなもの。わざわざ遠くまで行かなくてもと、車で40分ほどの青島に行ってきました。主人は子どものころ何度も来たとかで「えー、いまさら何で青島なんか?」と言っていましたが、行ってみると、昔とは様変わり。遊歩道が整備され、ホテルもおしゃれにリニューアル。奮発していい部屋を取っても1泊朝食付きで1万円ほど。温泉大浴場にゆっくりつかったあと、最上階から眺める太平洋はまさに絶景。眼下の川をカモ、黒鳥が泳ぎ、窓のすぐ外をトビが舞う。その迫力!海岸を散歩したり無料の植物園で珍しい花木を堪能したり、飽きることはありませんでした。ホテルの食事も安くておいしかった。だって宮崎だもん、高かったら誰もこないよ、と思いつつ「穴場発見」の気分でした。(宮崎県 女性 6569歳)


最後に、宿泊費を安くするこんな手もあるそうです

30年を超す言葉の調査の旅を続けている。調査地の宿泊所がいつも問題となる。調査人との絡みで安くあげなければならない。生物の研究者から知恵を借りた。早朝に起きだす人の物音が気にならなければ、釣り宿を利用する方法を教えていただいた。実際紹介を受けた船宿を特別なシーズンを除けば、宿泊と朝飯を用意してもらい格安の値段だった。腹いっぱいの食事は「また利用ください」と声をかけていただき調査の旅が続けられた。(香川県 男性 7579歳)

 アンケートは、317日~416日にウェブのReライフページで実施。「「あまりお金をかけずに心に残った旅」があれば、教えてください」という問いに320人(男性187人、女性133人)が回答しました。
 514日付朝刊Reライフ面では、さらに記者が深掘り取材し、「【読者会議】道の駅・酒蔵・・・近場で満喫」という記事にまとめています。

7月のReライフアンケート実施中

7月のReライフ面では、「介護時の気持ちの整え方」「終活」「義理の娘・息子とのつきあい方」のテーマでアンケートを実施中(2017年6月8日まで)。詳細は「義理の娘・息子とのつきあい方は? 7月のReライフ面アンケート」ページをご確認ください。


*読者会議の詳細についてはこちら(http://www.asahi.com/relife/dokusha)をご覧ください。

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