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専門家が連携して高齢者の「口から食べる」を支援 

第1回フォーラム全国大会が東京・新宿で開催

更新日:2017年09月06日

 寿命を全うするまで口から食事ができる社会づくりをテーマにした「第1回最期まで口から食べられる街づくりフォーラム全国大会」(厚生労働省、朝日新聞Reライフプロジェクトなど後援)が9月3日、東京都新宿区の東京富士大学で開かれた。歯科衛生士や管理栄養士など専門職ら約450人が全国から参加した。

 基調講演では、医師で「京滋摂食嚥下(えんげ)を考える会」の荒金英樹代表が「食支援による京の町づくり」をテーマに、これまでの取り組みを説明した。

 唾液(だえき)や食べ物とともに細菌を気管に誤ってのみ込むことで発症するのが誤嚥性肺炎。この肺炎は難治性で再発することが多い。患者を見守るには医療専門職の連携が欠かせない。のみ込みやすく調理された嚥下食や、その食べ方の共通化も難しい。そこで2010年、京都府、滋賀県の有志の管理栄養士らが集まって会を立ち上げ、「段階的嚥下調整食共通基準」の導入を推進したことを振り返った。

 地の利を生かして老舗料亭が多く所属する日本料理アカデミーの料理人らとともに、嚥下食や介護食の味の改善に努めた。京料理の技法を生かし、誤って気管に入りやすい豆腐料理を改善し、喉に詰まりにくい餅菓子も作った。


 「脳梗塞があってほとんど外出できず、嚥下食を食べていた高齢女性の患者さんを試食に招待したことがありました。『おいしい』と全部食べ終えた姿を見て夫は号泣。それまで食事の時間は苦痛だったというのです」(荒金代表)

 のみ込みやすいお茶や和菓子、すくいやすい食器やさじの開発も進め、見た目が美しい嚥下食の松花堂弁当にまとめた。こうした取り組みの結果、嚥下食を提供する料亭が現れたという。

 午後には、歯科医師で、大会の実行委員長を務める新宿食支援研究会(新食研)の五島朋幸代表が「新宿流『最期まで食べることを楽しむ街づくり』実践法」と題して講演した。

 2000年ごろから、病院で胃に穴を開けチューブで栄養を入れる「胃ろう」が普及し、「誤嚥性肺炎なら禁食」という文化が広がったと報告。しかし、食事よりも睡眠時の唾液ののみ込みがきっかけになることが多いので、「禁食には意味がない。ますますのみ込む能力が低下する」と指摘した。

 新食研は2009年、「口から食べたい」という高齢の患者本人や家族の希望をかなえ、危険性を回避しながら食事を楽しんでもらうことを目的として設立。介護職らの食に対する意識の向上やネットワークづくりなどに取り組む。


 たとえば家族が「最近、食べる量が減った」といった異変を見つけ、ケアマネジャーに伝える。ケアマネジャーは主治医につなぎ、主治医が管理栄養士に連絡し結果を出す。五島代表は「このサイクルを無限につくり出すことが、『最期まで口から食べられる街づくり』になるのです」と訴えた。

 こうした取り組みについて、参加者からは意見が相次いだ。

 福島県南相馬市の医師は「多職種連携の理念はすばらしいが、すべての地域でまんべんなく専門職がいるわけではない。市内で管理栄養士を探したが一人もいなかった」と、地方の実情を紹介。歯科衛生士の女性からは「我々が歯科医院にいることは知られているが、在宅訪問に出るとなるとハードルが高い。『訪問は怖い』という思い込みや誤解もある」と悩みを話した。

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