





トルコとの戦いに勝利したベネチア艦隊の将軍オテッロがベニスに戻り、戦功をたたえる民衆に迎えられる。ムーア人(アフリカ出身の異国人)でありながら、提督に武勲としてベニスの市民権を与えられるが、実は貴族エルミーロの娘、デスデーモナと秘密裏に結婚の誓いを交わしていた。エルミーロや周囲の人々の偏見に打ち勝って、美しいデスデーモナと結ばれることができるのか?オテッロはアリアで焦がれる心を歌い上げる。
Amor, dirada il nembo cagion ditanti affani.
「愛の神よ、多くの苦しみの源である黒雲を散らしてくれ」
Comincia coi tuoi vanni la speme a ravvivar.
「あなたの翼で希望をよみがえらせておくれ」
(写真および動画は2007年8月公演より抜粋。写真=Studio Amati Bacciardi)
提督の息子ロドリーゴは、デスデーモナに横恋慕している。オテッロに面従腹背する将校イアーゴは、彼に一通の手紙を差し出す。それはデスデーモナがオテッロにあてて書いたものの父エルミーロに見つかってしまい、その上ロドリーゴ宛てと誤解されてしまった手紙だったのだ。イアーゴはこれを使って、オテッロを陥れようとロドリーゴを誘う。意気投合した二人は、期待にふくらむ胸の内を二重唱で奏でる。
A un’alma, che pena si rende piu grato quanto’e piu bramato atteso piacer.
「悩める魂には喜びの期待が大きければ大きいほど喜びはさらに大きくなる」
一方デスデーモナは、父エルミーロが異国人オテッロを嫌っていることへの不安や、オテッロあての手紙を父に奪われ、ロドリーゴ宛てと勘違いされてしまったことなどを心配していると侍女エミーリアに打ち明ける。
2人は、愛の行方に気をもむ女性の心を、優雅な旋律の二重唱で歌う。
Quanto son fieri I palpiti che desta a noi l’amor!
「愛が私たちに目覚ます不安のなんと残酷なことでしょう!」
Dura un momento il giubilo, eterno e il suo dolor.
「喜びはつかの間で、悲しみは永遠なのです」
彼女の不安は現実となり、父エルミーロは、ロドリーゴにデスデモーナを嫁にやると約束し、2人の婚礼の式典を強引に開いてしまう。悲嘆にくれるデスデーモナ。
そこへオテッロが登場。ロドリーゴとデスデーモナの婚礼が開かれていることに驚き、怒りを隠せない。オテッロへの敵対心をむき出しにするロドリーゴ。
オテッロとデスデーモナの愛の行方には暗雲が立ち込め、敵対と悲しみ、嘆きが渦巻いて、第2幕の悲劇へと突き進んでいく。
庭園。ロドリーゴがデスデーモナに近づく。デスデーモナは自分がオテッロの妻であると告げ、ロドリーゴに去るように促すが、ロドリーゴは力のかぎりをつくしてデスデーモナに愛を告白し、オテッロに忠実であろうとするデスデーモナの心を揺さぶろうとする。
Ah! come mai non senti pieta de mieti tormenti?
「ああ、どうして私の苦悩をあわれんでくれないのです?」
デスデモーナへの疑念に苦しむオテッロに、イアーゴが語りかける。イアーゴは、デスデーモナが不実な女であると巧みにオテッロに思いこませ、デスデーモナが書いた手紙を見せる。
オテッロは、手紙はロドリーゴ宛てに書かれたと信じこんで読み、そこに書かれていた愛の言葉に激怒。デスデーモナを殺して自分も死ぬと決意し、物語は破滅的な方向へと加速していく。
Si, dopo lei morro.
「そうだ、あの女のあとに死ぬのだ」
オテッロのもとをロドリーゴが訪れる。2人は強い敵対心を燃やし、オテッロはロドリーゴとデスデーモナに復讐するのだと怒りをぶちまけて、ついに剣をとって決闘を始める。
きわめて細かくて早い音程の変化や、高音域から低音域までの幅広い音の跳躍といった超絶技巧が駆使され、オテッロとロドリーゴの嫉妬や憎しみのぶつかり合いが表現される。歌い手の限界に挑むような、激しい技の応酬である。
Si,vendicarmi appieno di lei, di te dovro.
「そうだ、私は彼女と君に対して完全に復讐しなければならないのだ」
決闘を止めに入ったデスデーモナと、猛り狂うオテッロ、ロドリーゴはそれぞれにすれ違った思いを歌い、聞き所盛りだくさんの三重唱が展開する。登場した父エルミーロに不服従を厳しく責められたデズデーモナは、孤独の中で深まるばかりの苦悩を抱え、絶望の淵に追いやられて第2幕はフィナーレとなる。
デスデーモナの寝室。彼女は侍女エミーリアに苦しみを打ち明ける。ふと遠くから聞こえるゴンドラ船頭の歌を耳にすると、愛に破れて死んでいった幼なじみイザウラのことが思い出される。そして同じような運命が自身に訪れようとしていることを予感し、デスデーモナは「柳の歌」でイザウラの悲しい物語を歌う。暗い予感が忍び寄る。
Assisa a’ pie d’un salice, immerse nel dolore, gemea trafitta Isaura...
「柳の根本に腰を下ろし、悲しみに浸ってイザウラは…」
侍女が下がった後の寝室に、剣を携えたオテッロが忍び込む。眠っているデスデーモナを刺そうと試みるが、その美しい姿に幾度も逡巡する。
突如、雷鳴がとどろき、デスデーモナが目を覚ます。疑いの言葉を投げつけるオテッロに対し、懸命に潔白を訴えるが、オテッロは聞く耳を持たない。絶望したデスデーモナは、お望みなら殺して、と告げる。そして…
衝撃的な悲劇のフィナーレは、ぜひその目で確かめて下さい

ヴェネツィア生まれ。1964年にシラクーザの歌劇場で父である名テノール歌手マリオ・デル・モナコ出演による「サムソンとデリラ」で演出家デビュー。ベルリン、バルセロナ、ボローニャ、ニューヨーク、ワシントン、ミラノ、ミュンヘン、ナポリ、シュツットガルト、ローマ、トリノ、ヴェネツィアなど世界の主要歌劇場で100以上もの公演の演出を手掛けキャリアを積む。この間、シノーポリ、レヴァイン、シャイー等の世界著名指揮者と共演。1967年ヴィオッティ金賞受賞。またイタリア共和国カバリエーレ勲章、芸術文学シェヴァリエ賞、ドイツ連邦功労十字章などを受勲。
最近はニューヨークのメトロポリタン、パリ・オペラ座、パレルモ・マッシモ歌劇場、チューリッヒ歌劇場、マドリッド王立歌劇場、ライプツィヒ歌劇場、ベルリン国立歌劇場の公演を手がける。多くの作品がDVD収録されている。ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルには2007年「オテッロ」でデビューした。






15世紀半ば、ヴェネツィアはオスマン・トルコ皇帝マホメット2世の厳しい攻撃にさらされていた。司令官パオロ・エリッソは身の安全のために将軍カルボと結婚せよ、と娘アンナに勧めるが、アンナはウンベルトと名乗る男を愛していることを告白する。まもなくトルコ軍が町に侵入し、エリッソとカルボはマホメットの軍に連行される。マホメットは自分がウンベルトであることをアンナに打ち明け、自分の妻になるなら二人を救おうと彼女に迫る。祖国とマホメットへの愛のはざまで苦悩するアンナ。そこへヴェネツィア軍が城壁を突破。反撃するため、マホメットは皇帝印の付いた指輪を彼女に贈って立ち去る。エリッソとカルボを自らの手で救うことを決意したアンナは…。

ドイツ生まれ。ハイデルベルクで人文学、アメリカのシラキュース大学で音楽学を学び、続いてミュンヘン、ハイデルベルク、ウィーンで演劇学と音楽学を学ぶ。ウィーン大学を文学、哲学で卒業する。1965年から1970年までチューリッヒのテアトロ・ドラマーティコの副ディレクター、1972年から1975年までマンハイムの国立劇場総裁、1986年から1989年までザルツブルク音楽祭の常任理事を歴任。現在、ケルンのオペラ座の劇場総裁。同時にロンドン、パリ、ザルツブルク・フェスティバル、エディンバラ、ミュンヘン、ストックホルム、チューリッヒ、ワシントン、サン・フランシスコ、シドニー、東京でオペラ演出を数多く手掛ける。イタリアでは1986年フィレンツェ五月音楽祭で「マイスタージンガー」、1988年「ばらの騎士」、1987年トリノで「セビリャの理髪師」、1988年スカラ座で「さまよえるオランダ人」、1989年「コジ・ファン・トゥッテ」、1989年ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティバルで「どろぼうかささぎ」を手掛ける。






田園と海を望む美しい風景の中、全ての神々が参列するテーティとペレオの結婚式が始まった。婚姻の神ヒュメンと愛の神エロス、花の神フローラ、酒神バッカスなど神々が祝福に集う。
そこへテッサリア人のお供を連れたペレオが現れ、波の神々に導かれてテーティが登場する。海の神ネプトゥヌス、息子トリトン、冥界の神プルトンたちも合流する。ついにオリュンポス山の神々も降りてきた。天の神ユピテルが合図をすると、王ルイージ18世に新郎新婦が迎えられる。踊りが再開し歓喜の合唱が続く。