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はやぶさ大役、星の旅 日本の得意技術が結実

2005年11月27日

 探査機「はやぶさ」が、日本の宇宙開発の歴史に新たな一ページを刻んだ。宇宙航空研究開発機構は26日夕、地球から3億キロ離れた小惑星イトカワへの着陸に再び成功したことを正式に発表し、表面からの試料採取も「ほぼ確実」とした。ロボットにも使われる日本の得意技術が実を結んだ。プロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授は「大きな山を越えた。目標の8割を達成できた」と話した。

 はやぶさは25日午後10時ごろ、イトカワへ向けて降下を始めた。着陸予定地点は20日に着陸の目印に使うターゲットマーカーを投下した場所に近い。宇宙機構は、別のマーカーを投下すると、はやぶさが二つの目印を見て混乱すると判断。急きょ、マーカーなしで降下させることにした。

 26日午前7時前、高度54メートルではやぶさは表面にあったマーカーを認識。午前7時ごろ着陸を果たし、その後、予定通り上昇した。臨機応変な対応がうまくいき、川口教授は「選択の正しさが証明された」と記者会見で振り返った。

 はやぶさは練習も含めてイトカワへ6回近づいては離れたが、トラブルが絶えなかった。20日の着陸時には試料採取できなかった。一筋縄ではいかない惑星探査の難しさを浮き彫りにした。

 「イトカワから正常に離れたのは、今日が初めてでした」。川口教授が会見の中で小さく笑みを浮かべて言うと、笑いが起こった。

 同席した井上一・宇宙科学研究本部長は「宇宙機構は最近、失敗が続き、後ろ向きの話が多かった。この成功は、日本の宇宙開発の追い風になる」と喜んだ。

 はやぶさには五つの使命があった。(1)低燃費のイオンエンジンで長距離を航行(2)惑星の重力を利用して加速(3)探査機の判断で、小惑星に接近、着陸(4)小惑星で試料採取(5)地球への試料回収。どれも将来の惑星探査に欠かせない技術を実験、獲得するのが目的で26日までに(1)〜(4)が達成できた。

 なかでも、探査機自らの判断で危険を回避するなど、自律技術が実用レベルに達した意義は大きい。イトカワのように遠い天体では、通信に時間がかかり、地球からの指示を待っていては、間に合わないことも起こるからだ。

 「目」にあたるセンサーの性能と「頭脳」にあたるプログラムの組み合わせは、ロボット技術にも使われる日本の得意技だ。今回は新たに宇宙空間で、その技術力の高さを証明した。

 京都大の土屋和雄教授(宇宙工学)は「世界初の本格的運用となったイオンエンジンや微小重力での試料採取法など、日本独自の技術の組み合わせが、大きな成果を生んだ。21世紀の宇宙科学のフロンティアになるだろう」と評価した。

 はやぶさは、12月上旬に地球への帰路につく。現在の距離は約3億キロ。直線的には帰れないため、約10億キロを化学エンジンで姿勢制御しつつ、効率的なイオンエンジンを使って飛行する。

 ただ、はやぶさはイトカワから離陸後に化学エンジンのジェット噴射装置の一部で異常が見つかった。トラブル続きでその燃料もかなり減っており、燃料不足などの事態が起これば帰還できない恐れも出てくる。川口教授は「帰路は燃料を節約した厳しい運用が求められる」と言い、具体的な方策を早急に検討する。

 はやぶさが地球に帰還するのは07年6月。月の軌道あたりの距離から、試料が入った直径40センチの小型カプセルを分離する。カプセルはパラシュートでオーストラリアの砂漠に軟着陸し、発する信号を元に回収される。

 田近英一・東京大助教授(地球惑星科学)は「小惑星は惑星を形作る材料と考えられるが、今回、それを生で手に入れたようなもの。アポロが持ち帰った月の石に匹敵する成果だ。宇宙線などにさらされた小惑星の表面では、我々が知らない有機物が見つかる可能性もある」と、1年半先の回収に期待を寄せる。



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