小惑星イトカワで試料採取に成功した探査機「はやぶさ」について、宇宙航空研究開発機構は29日、「化学エンジンのジェット噴射装置が故障し、姿勢の制御が困難になっている」と発表した。原因は調査中で、状況を確認したうえで対策を検討する。試料を地球に持ち帰るには、12月上旬にイトカワを出発しなければならず、地球帰還が微妙になっている。
はやぶさは12基のジェット噴射装置で姿勢を制御している。6基ずつのA系とB系に分かれ、片方に不具合が発生しても、もう一方で制御できるはずだった。
だが、26日に試料を採取してイトカワから浮上した際、B系の一部から燃料漏れが発生。配管の弁を閉じて漏れは止まったが、27日には、A系も十分な推力が出ない不具合に陥った。
宇宙機構は今後、米航空宇宙局(NASA)の大口径アンテナを借りるなどして、はやぶさから詳しい情報を得る。プロジェクトマネジャーの川口淳一郎教授は「姿勢が制御できないと地球への帰還は難しい。時間的な制約もあり深刻な状況だが決してあきらめない」と話している。