X線天文衛星「すざく」で昨年8月、目玉の観測機器が故障したのは機器の冷却システムの設計ミスが原因だった。宇宙航空研究開発機構が25日、宇宙開発委員会に報告した。冷却ガスの排気弁を衛星内部に付けたため、ガスがこもって高温になり、冷却剤が一気に蒸発したという。共同開発した米航空宇宙局(NASA)には当初、冷却環境の厳重な管理を求める意見があったが、日本側に伝わらなかったという。
「すざく」の最大の特長は、かすかな温度変化で宇宙からのX線をとらえ、銀河団などを高精度で観測できる「X線マイクロカロリーメーター」だった。しかし、打ち上げからわずか1カ月で、精密観測のために機器を極低温に冷やす液体ヘリウムがすべてなくなり、使えなくなった。
宇宙機構は、冷却で気化したヘリウムガスが衛星内部に残ったため断熱機能が劣化、液体ヘリウム容器が高温、高圧になって、一気に蒸発したと結論付けた。ガスは機体のすき間から自然に放出される設計で、残留ガスによる影響を考慮していなかったという。
すざくは、残る2種類の機器で観測を続けている。宇宙機構はまた、2月に打ち上げ予定の赤外線天文衛星「アストロF」の冷却システムでは、排気弁が機体外にあるため、同じ失敗は起きないと説明している。