 |
打ち上げられたM5ロケット8号機=鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で |
赤外線天文衛星「アストロF」を載せた国産ロケット「M(ミュー)5」の8号機が22日、鹿児島県肝付町の宇宙航空研究開発機構・内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられ、衛星の分離に成功した。衛星は「あかり」と命名された。地球を周回しながら宇宙からの赤外線を観測し、星の成り立ちなどの研究に役立てられる。
M5の打ち上げは、X線天文衛星「すざく」を載せた昨年7月の6号機以来。1月24日と2月18日には種子島宇宙センターから大型のH2Aが打ち上げられたばかりで、1カ月に3機の打ち上げラッシュを乗り切った。
M5の8号機は予定通りの午前6時28分に打ち上げられ、約8分後に衛星を分離した。衛星は高度750キロで地球を南北方向に100分で一周する軌道に乗せる。1週間後に観測装置の電源を入れ、2カ月後から観測を始める。
赤外線天文衛星を日本が打ち上げるのは初めて。地上では観測が難しい赤外線をとらえる望遠鏡やカメラを備え、赤外線で見た宇宙全体の地図を作る。目に見える光では分からない宇宙のちりの様子が分かるのが特徴で、恒星の誕生や死の過程、惑星のでき方、銀河の進化などの解明につなげる。見えなかった部分を見通せることから、「あかり」と名付けた。