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皮膚から万能細胞 京都大教授ら、マウスで成功

2006年08月11日

図

万能細胞作製の流れ

 京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授と高橋和利特任助手は、マウスの皮膚細胞から様々な組織に育つ「万能細胞」を作ることに成功したと、米科学誌セル(電子版)に11日発表した。万能細胞は、病気や事故で損なわれた組織や臓器を補う再生医療への利用が期待される。生命の萌芽(ほうが)である受精卵も、提供女性に負担をかける未受精卵も使わない山中さんらの方法は、倫理問題回避の道を示す画期的なもので、世界的に注目されている。

 分割を重ねた受精卵(胚(はい))から取り出す胚性幹細胞(ES細胞)は、様々な細胞に育つ万能性を備えた細胞の代表格だが、受精卵を壊すことに強い反対もある。皮膚細胞などの体細胞から万能細胞を作ることは、再生医療研究者の夢だった。

 山中さんらは、ES細胞で特徴的に働いている24の遺伝子に万能性のカギがあると考えた。マウスのしっぽの皮膚から採取した細胞に、これらの遺伝子を組み込んで盛んに働かせ、万能性を示すかどうか調べた。遺伝子を一つずつ組み込んだのではだめだったが、特定の四つの遺伝子を組み込むと、細胞はES細胞のような万能性を示した。

 誘導多能性幹細胞(iPS細胞)と名づけた、この細胞をマウスの皮下に注射すると、ES細胞を注射した場合と同様に、消化管のような構造と、神経組織、軟骨組織が生じた。

 また、マウスの初期胚にiPS細胞を移植すると、体の様々な部分にiPS細胞由来の体細胞が交じったマウスが生まれ、iPS細胞が胎児の形成に寄与したことが確かめられた。試験管内で、iPS細胞から神経細胞や心筋細胞、肝臓のもとになる細胞にそれぞれ似た細胞を作ることなどにも成功したという。

 山中さんらは、すでに人の体細胞を使った研究に入っている。今後、より安全、効率的に万能細胞を作る方法の開発に取り組むという。



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