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プリオン持たない牛の飼育に成功 BSE解明に有用

2007年01月01日

 キリンビールなど日米の研究チームが、牛海綿状脳症(BSE)の発症に関係するたんぱく質「プリオン」を持たない牛を、遺伝子操作などで誕生させ、20カ月間、健康に育てることに成功した。BSE発症の仕組みを解明する手がかりとなるほか、BSEの心配がない家畜づくりにもつながるとみられる。31日付で米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー(電子版)に発表する。

 プリオンを持たない牛は、05年2月に12頭生まれた。体細胞クローン技術を利用して、核を抜いた牛の受精卵にプリオン遺伝子の機能を失わせた牛の繊維芽細胞の核を移植。これを雌牛の子宮内に戻して出産させた。

 この牛は、医薬品開発に役立てるモデル動物としてつくられた。実験のために安楽死させた3頭を除き、残った9頭すべてが20カ月を経過し、特に異常のないまま成牛にまで育った。

 BSEは牛が本来持っている正常なプリオンが何らかの理由で異常を起こして増え、脳内に蓄積することが原因だと考えられている。プリオンの機能はよくわかっていないが、おとなになるまでの成長にはあまり関係しないことが示された。

 また、この牛の脳の抽出液を試験管に採り、異常プリオンを加えても、その増加や蓄積は起こらなかった。研究チームは現在、この牛に異常プリオンを直接、接種して、異常が現れるかどうかを調べる実験を進めているという。

     ◇

 〈国の食品安全委員会プリオン専門調査会専門委員である小野寺節(たかし)・東京大教授の話〉 異常プリオンは、人ではクロイツフェルト・ヤコブ病などの原因になる。今回の技術を使えば、人に異常プリオンを広げる心配がない牛を、産業的につくることができる可能性がある。BSEの解明に向けた実験動物としても、有用だ。



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