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ドルで酒売る南極観測隊

2008年04月16日13時48分

 南緯65度15分。ウクライナのベルナツキー基地で、越冬に備える観測隊員が、船で訪れた観光客に自家製ウオツカを売っていた。

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ウクライナのベルナツキー基地にあるバーでは、ウオツカを飲むことができる

 レモン一切れがついて1杯3ドル。Tシャツやワッペンなどが並ぶ世界最南端の売店もある。ウクライナの切手で手紙も出せる。どの国の領土でもない南極ならではの、ちょっと不思議な光景だ。

 1959年に採択された南極条約で南極は領有権が凍結され、各国が科学目的の基地を置ける。だが、歴史に詳しいガイドのパブロ・ワインシェンカさんは「59年までは基地の主目的は科学ではなく、領土の主張だった」と言う。

 半島部分については、今も英国、アルゼンチン、チリがそれぞれ自国領だと主張している。ベルナツキー基地も、もともとは英国が47年に設置したファラデー基地だった。

 領土は国家主権の根幹。だから条約は主張を否定はしない。ただ、主張の枠は広げられず、他国に通用もしない。「だれも完全には満足しないが、みんなが受け入れられる。賢明な取り決めだ」とワインシェンカさん。

 対立は棚上げされていた。だが、いつまで続くだろう。鉱物や化石燃料などの資源争奪戦は、今後激しくなりそうな雲行きだ。神戸大の柴田明穂教授(国際法)は「南極条約はきわめて微妙なバランスで成り立つ政治的なもの。何かのきっかけで封印が解けた時が試金石になる」とみる。

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