2009年5月24日9時55分
アルゼンチンアリ=復建調査設計提供
体長2.5ミリと小柄ながら繁殖力が極めて強い、南米原産の外来種アルゼンチンアリが、国内で広がっている。在来種のアリを激減させるなど世界各地で問題となり、国際自然保護連合は「世界の侵略的外来種ワースト100」に挙げる。日本では93年ごろに広島県廿日市市で見つかって以来、現在7府県で確認されている。生息区域が広がっている愛知県田原市では今夏から本格的な駆除に乗り出す。
田原市がこのアリの侵入を把握したのは05年夏。市役所そばの専門学校からの報告だった。同校では前年夏に「見慣れないアリの集団」を見かけ、当初は市販の殺虫剤で駆除した。年が明けてまた同じアリが出たため専門業者に相談したところ、アルゼンチンアリと分かったという。
市は、近くの町内会向けに回覧板や説明会で、在来アリとの見分け方や駆除方法などを知らせ、環境省にも相談した。06年度から3年間の調査で市役所周辺での生息が判明。年間約100メートルずつ、生息範囲が広がっているというデータもあった。昨年は試験的に、約13.7ヘクタールに、ホウ酸などの毒入りのエサを置く駆除を行った。
アルゼンチンアリは、環境省の特定外来生物に指定されている。女王アリが複数いて繁殖力が強く、圧倒的な数で在来アリのエサを奪って絶滅に追い込むなど、生態系を壊す恐れが深刻だ。
生態に詳しい建設コンサルタント会社「復建調査設計」(広島市)の亀山剛係長は、「民家に入り込んで集団で食べ物に群がったり、寝ている人の体の上をはい回るなど、人間の生活に強い不快感を与える害虫。人間をかんだり刺したりはほとんどない」と話す。
国内ではこれまでに、神奈川、愛知、岐阜、大阪、兵庫、広島、山口の7府県で確認されたが、侵入経路の特定には至っていない。