2009年5月31日14時23分
大分県農林水産研究センター水産試験場の研究員が、養殖ヒラメから検査のため採血した=大分県佐伯市上浦
人間のストレス研究を応用して魚の健康診断をしよう――。ヒラメ養殖で全国一の生産量を誇る大分県で、そんな研究が進んでいる。病気を未然に防ぎ、健康なヒラメを育てるには、人と同じく魚もストレス検診をして早めに手を打つことが大切だからだ。全国初という試みに関係者の期待も大きい。
大分県のヒラメ養殖は80年代から盛んになり、生産量は94年に1千トンを超えた。ここ数年は1400トン台で推移し、全国生産量の約3割を占めている。佐伯市南部のリアス式海岸沿いに点在する養殖場が主な生産基地だ。
だが、一部でヒラメの腹部が膨れたり、目玉が出たりといった症状が出ることがある。ストレスや感染症が原因と考えられ、いったん発生すると被害が広がる恐れもある。予防の基本はストレスを与えず健康なヒラメが育つ環境を保つことだが、一口にストレスと言っても、養殖数が過密だったり、水温が高すぎたりと要因はさまざまだ。
「対策を講じるには、まずヒラメの健康診断をして要因を見極めねば」と、大分県農林水産研究センター水産試験場(同県佐伯市上浦)が独立行政法人水産総合研究センター養殖研究所(三重県)、日本獣医生命科学大学(東京都武蔵野市)と共同で研究に乗り出した。
着目したのは、ストレスや病気を判別できる「抗体・プロテインチップ」を用いた健康診断法。人間の医療研究で使われている方法だ。
人間がストレスに侵されたとき、血液中の様々なたんぱく質(プロテイン)が増えたり減ったりする。そのたんぱく質の種類を分類すれば、ストレスの原因がわかるというわけだ。同時に、血液中に抗体があればその種類も調べられ、病気の原因もすぐにわかる。