2009年6月7日11時33分
今年3月、広島県呉市沖の安芸灘にいたカンムリウミスズメ=飯田知彦さん提供
国の天然記念物に指定されている海鳥カンムリウミスズメが広島県呉市・倉橋島沖の安芸灘にほぼ通年にわたって生息していることが、日本鳥学会会員飯田知彦さん(42)=広島市東区=の調査でわかった。日本近海に生息しているとされるが、ほぼ通年いる海域が確認されたのは初めてという。
体長25センチほどで、頭の冠羽が特徴。環境省のレッドリストで絶滅危惧(きぐ)2類(絶滅の危険が増大している種)に分類されている。繁殖地としては宮崎県門川町沖の枇榔(びろう)島や伊豆諸島などが知られているが、春の繁殖期以外を過ごす詳しい海域や生態は不明だった。
飯田さんは07年6月、安芸灘で初めて、海上を漂う幼鳥を発見、撮影に成功した。それまで、瀬戸内海には生息していないとされていた。その後も周辺海域で調査を続け、6〜9月にかけ3〜5羽の単位で水面に浮かんだり潜ったりする様子を確認。2月ごろの求愛行動も目撃した。目撃頻度などから「夏季には最大千羽くらい生息している」と推測する。
今年5月には、山口県上関町・八島沖でも、ヒナ2羽が家族と泳ぐ様子を別の人が確認している。
カンムリウミスズメの生態に詳しい宮崎大学フロンティア科学実験総合センターの中村豊さん(57)によると、宮崎県の枇榔島で繁殖したヒナは黒潮にのって高知や和歌山沖に移動する可能性が高い。安芸灘に生息する個体については「瀬戸内海のどこかの無人島に繁殖地があるのかもしれない」と話す。(中川正美)