2009年6月25日12時16分
あらゆる細胞や組織になりうるヒトのiPS細胞の研究について、文部科学省は24日、臨床研究開始までの年数など、到達目標を段階別に示した「研究ロードマップ」を発表した。iPS細胞研究には多額の予算が投じられており、実現までの道筋を国民に説明するとともに、治療への早期活用を促すのが狙いだ。
再生医療研究では、まず5年以内に網膜細胞の一種(網膜色素上皮細胞)を使った臨床研究を始める。
心筋梗塞(こうそく)などの治療に使う心筋細胞の臨床研究開始は5〜7年後。前提としてiPS細胞から心筋細胞をつくる技術を3年程度で確立させる。
脊髄(せきずい)損傷などの治療が期待される神経細胞の臨床研究開始は、7年後以降。iPS細胞から神経細胞をつくる技術の確立に2〜4年かける。臨床研究開始の目標が最も先なのは、糖尿病や腎不全の治療に必要な膵臓(すいぞう)や腎臓の細胞で、10年後以降とした。
基礎研究分野では、2年以内にがん化などの危険性が少なく品質の高いiPS細胞の作製法を確立し、3年以内に細胞配布の体制を整える。
研究に携わる大学研究者ら約30人の意見を聞き、実現可能な目標年限を定めた。
ヒトiPS細胞は、山中伸弥・京都大教授が07年に初めて作製成功を発表。今年度は補正予算も含め、研究や拠点整備などに約145億円が投じられる。(林義則)