新幹線の電車が在来線で走る――。「ミニ新幹線」とも呼ばれるこの構想は、92年に開業した山形新幹線で初めて実現した。初代となる400系車両の「つばさ」は、今年度限りで廃車となる。それまでの新幹線車両より小さな車体で時速240キロを達成するため、新たな工夫がちりばめられていた。
新幹線のレール幅(軌間)は1435ミリ。在来線の1067ミリに比べ約40センチ広い。山形新幹線開業にあたっては、在来線区間の軌間を広げて乗り入れを実現した。
ただ、トンネルやホームなどの設備はほぼそのまま。400系を在来線車両並みに小さくしないとうまく走れない。一方で、新幹線区間は時速240キロを出せないといけない。「最も神経を使ったのが、車輪や車軸を組み込んだ台車の開発だった」と、400系の開発に従事したJR東日本・運輸車両部次長の田島信一郎さん(56)は振り返った。
200系など当時の新幹線車両の台車は、車軸の間隔が2.5メートル。在来線の特急車両は2.1メートルだった。これが短くなるほど高速での安定性は悪くなる。
鉄道総合技術研究所の技術顧問、岡本勲さん(64)によると、JRが発足した87年ごろから台車の研究を始めた。急カーブのある在来線区間を想定した計算値などから、たどりついた車軸間隔は2.25メートル。「試作した台車を試験台に載せて動かした結果、240キロは安全に出せることを確認し、問題ないと判断した」
JR東日本は、この研究をもとに新たな台車を製造し、90年11月の試運転で使った。「車両として成り立つのかドキドキだった。時速240キロで走れたことで、半分以上クリアできた気分になった」と田島さん。91年9月には、この車両で当時国内最高の時速345キロを記録した。