2009年7月2日19時34分
高度約300〜400キロの軌道を回っていたロシアの宇宙ステーション「ミール」が上空から撮影した99年の日食時の月の影。影の中央付近が通過した欧州では皆既日食が見られた=フランス国立宇宙研究センター(CNES)提供
カメラをつり下げ、上空に放たれた気球=秋田大提供
日食が見られる場所を空から見ると――。鹿児島県・トカラ列島などで皆既日食が起こる7月22日に同県の約30キロ上空から地上の様子をビデオ撮影する計画を、和歌山大のグループが進めている。気象観測に使われる気球を使ってビデオカメラをつり上げ、地上に落ちる月の影を撮影しようという取り組みだ。
日食は、太陽と月、地球が一直線上に並び、地上から見て太陽が月の陰に隠れる天文現象。和歌山大の秋山演亮(ひろあき)・特任教授(惑星科学)は「上空からは地上を横切って動く黒い影が見られる」と話す。
その様子を撮影しようと、気象庁が気象観測のため毎日上げているのと同種の気球に、ハイビジョン撮影ができるビデオカメラや全地球測位システム(GPS)端末、送信機などをつるし、成層圏の上空約30キロまで上げる計画を進めている。気球は地上での直径が2メートルほど。約3キロの機器を運ぶことができる。
挑戦するのは、同大で宇宙開発をテーマとした活動に取り組んでいる学生たち。日食撮影を通じ、地上と成層圏との間での長距離通信や機器の動作実験をするのが目的だ。
日食の当日は、志布志(しぶし)、鹿屋(かのや)、鹿児島各市などのいずれかから気球を上げる。気球は2〜3時間で高度約30キロに達する。気圧が低いために気球は膨らんで破裂、パラシュートを展開して落ちてくる機器を薩摩半島沿岸の東シナ海で回収する予定だ。回収に失敗することも想定し、映像は上空から地上に送信させる。
秋山さんは「全国的に注目されている日食に合わせた今回の挑戦を機に、成層圏を利用した研究への関心が高まれば」と期待している。(福島慎吾)