《解説》山中伸弥教授が開発した体のあらゆる組織の細胞になる能力を秘めたiPS細胞。再生医療への夢をふくらませるが、ノーベル賞の選考委員会が評価したのは応用への夢というよりもiPS細胞が基礎生物学に与えた衝撃だ。
iPS細胞の源流はクローン動物にある。皮膚などの細胞を、あらゆる細胞に変化できる状態に戻す「初期化」の研究は、同じ遺伝情報を持つクローン作製技術から始まった。
1952年、米でカエルの胚(はい)の細胞核を別の卵子に移植し、カエルを誕生させた。だが、ごく初期の胚で初期化に成功とはいえなかった。