【波多野陽】肌で感じる温度感覚は、見た目で左右される可能性があることを横沢一彦東京大教授(認知科学)らのグループが実験で明らかにした。7日付の米科学誌「プロスワン」に発表した。
大学生20人に対し、自分の手と作り物の手の甲に氷とプラスチック(室温)を当て、手に触れた物の温度をどう感じるか調べた。その際、本人の手は見えないようにして、見えるところに作り物の手を置き、それぞれに同じ間隔で同じ刺激を与え、作り物の手が自分の手であるかのように感じる状況にして実験した。
自分の手、作り物の手の両方にプラスチックを当てた後、作り物の手の方だけ氷に替えたところ、20人中15人が「触れた物が冷たくなった」と答えた。さらに、本人の手はプラスチックのままで、作り物の手は氷を当てた後、プラスチックに替えると、18人が「温度が上がった」と答えた。
横沢教授は「人間の温度感覚は、皮膚の感覚と視覚の情報処理が補い合っていることが示せた」と話している。ただし、雪景色の写真を見せるなど視覚情報だけの場合、温度感覚には影響がないことは、過去の実験で確かめられているという。