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【朝日新聞から】記事から気づき得る 「ペタッとSDGs」企業研修でも

【朝日新聞から】記事から気づき得る 「ペタッとSDGs」企業研修でも
取材・フリーライター 五月女菜穂

朝日新聞社は、新聞記事にSDGs(国連の持続可能な開発目標)のふせんを貼って思考の「見える化」をはかり、社会課題を「自分ごと」としてとらえ直していくワークショップを学校や企業で実施している。10月には、水・環境企業のメタウォーター(本社:東京都千代田区)で社員向けの研修が開かれた。

浄水場や下水処理場の設備の設計・建設などを手がける同社。この日は男女合わせて8人の若手社員が約2時間のワークショップに参加した。

講師を務めた朝日新聞CSR推進部の遊佐美恵子さんが「安全な水とトイレを世界中に」や「貧困をなくそう」といったSDGsの17目標について、1時間ほど解説。まず、水が入ったタンクを運ぶ女性や子どもの写真を見て、どのようなSDGsがイメージされるか、4人ずつのグループで話し合ってもらった。

参加者たちは、実際に考え始めると一つの事象にたくさんの項目があると気づいた様子。「安全な水を作るためにはエネルギーが必要なので『エネルギーをみんなにそしてクリーンに(目標7)』も考えられるし、プラントや技術も必要なので『産業と技術革新の基盤をつくろう(目標9)』というのもあてはまる」といった声が聞かれたほか、「干ばつ地域がある一方でゲリラ豪雨が問題になっている地域もあるので、『気候変動に具体的な対策を(目標13)』も関係してくる」などと話し合いながら、考えを深めていった。

水を運ぶ女性の写真を題材にSDGsの目標と結びつけていく(筆者撮影)

このあと、当日の朝日新聞朝刊をSDGsの視点に立って読んでみることに。記事だけでなく広告にも目を通しながら、関連すると思う目標のふせんを貼り、余白にコメントを書き込んでいく。ポジティブな感想でも、ネガティブな意見でもいい。ふだんは読み飛ばしたり聞き流したりしてしまうニュースだが、SDGsの観点からとらえ直すと課題が見えてくる。環境、社会、経済と見る角度を変えたり、消費者側か生産者側か、年齢や職業、国や地域など立場を変えてみたりすることで、書き込む内容も変わってくる。

「2030年にあるべき世界を実現するために、いま何をすべきか。バックキャスティング(逆算)の思考に基づいてまずは現状を知る必要がある。いまの情報がたくさん掲載されているのが新聞です」と遊佐さん。参加者たちはそれぞれが貼ったふせんを見ながら、互いの視点の違いを知り、複眼的なとらえ方から得られる気づきや解決への多角的なアプローチを考察していった。

亀井勇輝さん(25)は「紙の新聞を読んだのは10年ぶりぐらい」と明かしつつ、「ワークショップを通じて、世界にはいろいろな問題があり、それらが複雑に絡み合っているので、事象を多角的・多面的に見ることが必要だと感じました」。

新聞記事に関連するふせんを貼り、コメントを書き込む(筆者撮影)

最後に、SDGsのゴールに向かって、個人として頑張っていることと、まだまだ頑張れていないことを書き出し、グループごとにまとめた。

小西沙季さん(23)は「これまでSDGsについて深く考えたことはなかったけれど、ワークショップを通じて、身近なものにつながっていることが分かりました。買い物の際にエコバッグを持参したり、日頃から節水を心がけたり、日常生活を振り返ると、けっこう私も頑張っているなと気づきました」と笑顔で話した。

「自分ごと」としてSDGsを理解する作業(筆者撮影)
「ペタッとSDGs」ふせんとは

朝日新聞社が日本NIE学会理事の有馬進一さんのアイデアをもとに独自開発したふせんシールです。国連が掲げるSDGsの17目標に加え、自分自身で「持続可能な社会」に向けて必要と思われる目標を自由に書き込める無印を合わせた18種類がキットになっています。新聞を見て、SDGsのゴールに該当すると思われる記事があればSDGsふせんを貼る、という作業を通じて、同じ記事でも異なるゴールがあることがわかります。さらに、問題や課題を共有することで複眼的思考や多様な意見を取り込むことができ、問題解決へ向けた多角的なアプローチへ繫がっていきます。朝日新聞社では、学校や先生、企業の社員を対象に出前授業を実施しています。

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