SDGs ACTION!

未来は自分たちの手で 高校生がSDGs達成へアイデア SDGs Quest みらい甲子園 神奈川県大会

未来は自分たちの手で 高校生がSDGs達成へアイデア SDGs Quest みらい甲子園 神奈川県大会
SDGsアクション大賞を受賞した桐蔭学園高等学校 「トランジションゼミ同好会」チーム

SDGsの達成年限とされる2030年まで10年を切った。新型コロナという、誰も予想しなかった壁も立ちはだかるなか、2021年3月末にオンラインで開催された「SDGs Quest みらい甲子園」神奈川県大会では、高校生が自ら考えたSDGsアクションアイデアを発表。熱意とアイデアを披露した。(ライター・野田朋広)

アクションへのプロセスに高い評価

大会の冒頭、あいさつした大会実行委員会委員長の住田昌治さんは、「昨年度はコロナに翻弄(ほんろう)された1年でしたが、その中だからこそできたこと、考えられたこともあったのではないでしょうか。未来を考えるというのは、本来とても楽しいことです。本日はみなさんの発表に期待しています」と生徒たちに語りかけた。

「春先から全国に休校が広がり、授業開始も遅れた中でどれだけ応募があるのか不安だった」と打ち明けたのは、主催者である神奈川県のSDGs推進担当部長・太田裕子さん。「しかし、ふたを開けてみれば12月からの2カ月間で、26校・94チームから素晴らしいアイデアをいただきました。驚くと同時に、関係者一同大変うれしく思っています」と参加者にエールを送った。

第一次の書類審査、第二次の動画審査を経てこの日の本大会に進んだのは、神奈川県内にある県立・私立高校の10チーム。障がい者や女性、高齢者など誰もが暮らしやすい社会を実現したい。身近な自然や自分たちの町を守りたい。災害で悲しむ人や飢餓に苦しむ人たちを1人でも減らしたい――。SDGsの17のゴールと169のターゲットから生徒たちが選んだ課題は幅広く、解決のためのアイデアにも個性を発揮した。

身の回りの小さな疑問を起点に、何が問題なのか、なぜなかなか解決できないのか、自分自身にできることは何か、一歩ずつ視野を広げ、アクションアイデアへとつなげる。初めは単一のテーマについての改善案だったものが、他の課題の解消にもつながることを発見し、さらに考えを深めていく。審査に関わった委員たちは、各チームのプロセスそのものを高く評価した。

大人の目から見れば、楽観的すぎる部分や実現にはまだ距離のあるアイデアがなかったわけではない。しかし、2030年の担い手である彼らが、未来をつくるのは自分たちであり、これからの世界は自分たち次第で変わっていくのだと気づく機会になった。ここからのスタートに期待したい。

【出場10チームとアクションアイデア】(発表順)

鎌倉女学院高校 「SKY‘S THE LIMIT」チーム
健康・安心を実現するエコロジー社会へ ~アレルギーの人も気楽に外食~

飲食店では食物アレルギーへの対応やアレルギー物質の表示は義務化されていないことから、表示の推進や対応に積極的な店舗情報の発信などを進める。さらに食べられない食品があれば持ち帰りを推奨し、フードロスの解消につなげるという視点も。

聖園女学院高校 「SKY Blue」チーム
食プロジェクト~現地の人と有識者を繋ぐ架け橋~

募金などの援助以外に途上国の飢餓と貧困を解消する方法はないかという疑問から、収益性の高い農業を基盤に、特産品づくりや観光業の活性化へとつなげるアイデアを立案。活動資金をどう調達するか、出資者にとってのメリットは何かなど、幅広く考察した。

県立横浜国際高校 「世界征服from YIS」チーム
学校給食における植物性食品への転換

動物食に反対の意思を示す人が増えていることをきっかけに、動物福祉の問題や、牧畜業が環境に与える影響などについて考察。学校給食の中に「動物性食品をとらない」という選択肢を加えることを目標とし、外部識者との連携やSNSでの発信などに取り組んだ。

立花学園高校 「鉄道研究部」チーム
町の消滅を防ぐために ~松田町への提言~

自分たちの学校のある町が消滅可能性都市に挙げられていることへの危機感から、産業振興や人づくりにつながるアイデアを考案。地元役場でのヒアリングでは、自分たちのアイデアに近い施策が実際に検討されていることを知り、自信を深めることもできた。

鎌倉女学院高校 「たまねぎ姉妹」チーム
鎌倉発祥のSDGsレストラン誕生!~鎌倉の活性化と食品ロス削減に貢献~

市内に増えている空き家問題の解消と地産野菜の消費促進のため、空き家を生かしたレストランの設立を提案。若者や障がい者の就労の場としても活用する、廃棄予定の食品をメニューに用いるなど、複数の社会課題を同時に解決するプランとなった。

桐蔭学園高校 「GISゼミ」チーム
みんなのBOSAIプラン3.0

小学校低学年時に体験した東日本大震災。その衝撃を胸に抱き続けてきた生徒たちが考案した、新しく実践的な防災授業のかたち。ICTや動画などを活用することで児童・生徒の積極的な参加を促し、地域の支えとなる防災リーダーの育成をめざしている。

桐蔭学園高校 「トランジションゼミ同好会」チーム
障がいはひとつの個性~パラスポーツ体験会を通じて~

視覚障がいを持つ先輩が出場したスポーツ大会で観戦者が非常に少なかったことから、もっと多くの人にパラスポーツの魅力を伝えたいと活動を開始。競技の体験会を主催する傍ら、地元の支援学校で障がい児の日常生活や学習の様子についても学んだ。

星槎学園高等部 湘南校 「2年スタンダード専攻チーム」
STAY HOME de SDGs! SDGs英語カルタを作ってあそぼう。

小学校で英語が正式な教科となった昨年、多くの子どもたちが休校で十分な学びを得ることができなかった。その現状を見た高校生たちが、楽しみながら英語を学ぶツールを考案。SDGsと関連の深い英単語をとりあげ、世界の問題にも目を向けられるよう工夫した。

県立秦野高校 「秦野高校ホタル探究会」チーム
夏の風物詩を守れ~蛍たちの今~

なぜ秦野のホタルが減少しているのか、その原因を四つ仮定し、それぞれについての改善策を立案した。ホタルにとって住みよい環境は人にとっても快適であること、ホタルを呼び戻す活動が地域の活性化につながることなど、視野を広げることで多くの気づきを得た。

平塚学園高校 「ハマユウ」チーム
平塚海岸ゴミ0宣言!~プラスチック削減で温室効果ガスも減らそう~

海洋ゴミにより自然の豊かさが失われつつある地元の海岸を「患者」に見立て、自分たちがその「ドクター」になることをめざす。プラスチックゴミを減らすための3Rの呼びかけや清掃活動の他、「海洋ゴミアートコンテスト」などの楽しさあふれるアイデアも。

【受賞チーム】

●協賛企業賞(東京海上日動賞):桐蔭学園高校 「GISゼミ」チーム

●SDGsアイデア賞:鎌倉女学院高校 「たまねぎ姉妹」チーム

●SDGsアクション大賞:桐蔭学園高校 「トランジションゼミ同好会」チーム

【全体講評】

みらい甲子園神奈川県大会実行委員会委員長
横浜市立日枝小学校校長/住田昌治

私たちの社会にある多くの課題に対して、「誰かがやってくれだろう」ではなく、「誰が悪い、誰のせいだ」でもなく、自分自身が立ち上がって解決していくんだという気概に満ちたみなさんの発表に、私自身が多くを学ばせていただく1日でした。

先日、私が校長を務める小学校の離任式で、ある先生が子どもたちにとても印象的な言葉をかけていました。それは、「やさしさは最強だ」というものです。SDGsを考えるうえで一番大切なことも、私はそれではないかと思います。目の前の人に対して、遠い国の人たちに対して、動物や環境に対して、そして自分自身に対して、どこまでやさしい気持ちを持つことができるか。それが未来の地球に対してもやさしい行動へとつながっていくのだと思います。

もうひとつ、若い人たちに望むのは、ワクワクして欲しいということです。どんなに社会にとって良い活動でも、みなさん自身がそこにうれしさや楽しさを感じていなければ、持続していくことは難しいでしょう。ぜひ今後も自分たちの取り組みにワクワクしながら、素晴らしい実践を続けてください。

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