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基礎から学ぶSDGs教室

コラム「女子教育とジェンダー、マララさんが訴えたことは」 「基礎から学ぶ SDGs教室」【11】

コラム「女子教育とジェンダー、マララさんが訴えたことは」 「基礎から学ぶ SDGs教室」【11】
国連の会議に出席したマララ・ユスフザイさん=2013年9月 (UN Photo/Amanda Voisard)
【日能研が解説する「SDGsとは」 第11回はコラム「女子教育とジェンダー」】

タリバーンがマララさんを銃撃

2012年のある日、パキスタン北部で通学バスに乗っていた15歳の少女が、イスラム原理主義組織、パキスタン・タリバーン運動(TTP)の男に銃撃されました。「女子教育を広める活動」をしていたからです。

少女の名はマララ・ユスフザイさん。頭と首に銃弾を受けたマララさんは、手術で一命をとりとめ、治療と安全確保のためイギリスの病院に移されました。回復したマララさんはその後もイギリスの高校で学びながら、女性や子どもの人権のための活動を続け、14年に史上最年少(当時17歳)でノーベル平和賞を受賞しました。

男性優位の慣習が根強いパキスタン北西部の町では、女の子は年ごろになると、人前で肌を出したり、一人で自由に外出したりすることは許されません。多くの女の子は学校に通えず、読み書きもできません。教育者の父親を持つマララさんは、少数派ではありましたが学校に通うことができました。

パキスタン=1983年1月(UN Photo/John Isaac)

差別と貧困が教育機会をむしばむ

ところが07年、町を占拠したTTPは女性が教育を受ける権利を否定、学校を次々と爆破しました。マララさんも学校に通えなくなりました。彼女はなんとかして学校に戻りたいと、ブログを通してパキスタンの現状を訴えたのです。ブログは国内外のメディアで取り上げられ、とても大きな反響をよびました。その反響は、命を狙われるという現実を生みました。

女の子が学校に通えない理由はいくつもあります。マララさんが生まれた町のように、慣習的に「女性は教育を受けるべきではない」と考えている地域。また、当たり前のこととして「家事をするのに教育は役に立たない」とか、「早く結婚して家を守るべきだ」という差別意識を持つ人々。また、貧困で金銭的な余裕がない場合、「男の子を優先的に学校へ通わせる」という家庭の事情もあります。「女の子だから」という理由で学校に行けない、たとえ行けたとしても中等教育や高等教育には進めない。そんな国が、世界にはまだまだたくさんあるのです。

日本のジェンダー状況は?

今の日本では、「女の子だから学校に行けない」ということはまずありません。しかし、4年制大学への進学率は、2015年のデータでは男子が55%、女子が47%となっています。見方によっては、「女子に高等教育は必要ではない」ととらえている人が多いともいえそうです。また、家事や育児はどちらかというと女性の仕事という考え方も残っているようです。企業のトップや国会議員など指導的な立場に立つ女性の割合も世界の国の中では低いほうです。

自分の中の「当たり前」を疑ってみる

女性と男性に、生物学的性差があるのは事実です。社会的性差(ジェンダー)すなわち「女性(男性)の社会の中での役割」や「女性は(男性は)こうあるべきだ」といった考え方は、人間がつくるものです。そしてジェンダーは時代によって、文化によって変化するものです。

自分の中にどのような「当たり前」があるのかを意識したことがありますか? 「女性は(男性は)こうあるべきだ」といった考え方の存在をちょっと思い出してみることが、ジェンダーを考えるきっかけにつながっていくかもしれません。

(日能研 教務部)

日能研
日能研
1953年の創立以来、中学受験を専門とする塾。86年から続く電車内広告「シカクいアタマをマルくする。」で知られる。子どもたちが、「自ら学び続ける私」を自分で育てることを応援する。2020年から未来型思考ができる新テキストを導入。全国に152校を展開。

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