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捨てられるはずの服をアップサイクル ブランド品買い取りのブランディア、「廃棄6割減」の切り札は壁にあり

捨てられるはずの服をアップサイクル ブランド品買い取りのブランディア、「廃棄6割減」の切り札は壁にあり
廃棄衣料からできたリサイクルボード「PANECO®」を内装に使ったブランディア吉祥寺駅前店の店内(東京・吉祥寺)

廃品でつくりました――そんなお店が今月、誕生した。ブランド品買い取りサービス「ブランディア」が東京都内に開いた新店舗だ。グレーを基調に落ち着いた色調の店内で壁に目をやると、黒、白、たまにオレンジと、さまざまな色の粒が混じりあって御影石のように見える。廃棄衣料を原料にしたリサイクルボード「PANECO®」(パネコ)だ。客から買い取りできず、これまでは処分していた衣料をこのボードの素材に回すことで、廃棄を6割減らした。不要とされたモノに新しい付加価値を与える「アップサイクル」の取り組みだ。(編集部・竹山栄太郎)

「Tシャツ1000着分」の店内

ブランディアは、売りたいブランド品を利用者に箱詰めして送ってもらい、査定して買い取る「宅配買い取りサービス」を2007年に始めた。一方、「高額品は対面で売りたい」という声があるといい、買い取りのための実店舗を昨年から展開する。

PANECOをとりいれたのは、東京・吉祥寺駅前に7月1日にオープンした「ブランディア吉祥寺駅前店」。壁面の大半に加え、テーブルやカウンターにもPANECOを使っており、その量は衣類約200kg分、Tシャツ換算で約1000着分になる。

ブランディア吉祥寺駅前店の外観
廃棄衣料からできたリサイクルボードPANECOを内装に使ったブランディア吉祥寺駅前店の店内

PANECOは、店舗器材のデザインや製作を手がけるワークスタジオ(東京)が2021年春に発売した。1枚が93cm四方の板で、新店で使う厚さ5.5mmのほか、厚さ9mmのものもある。廃棄衣料を集めて工場で粉砕し、板状に成形する。使い終わった後は回収し、粉砕・成形して新しいボードに再生できるのも特徴だ 。

色は、素材に白っぽい服が多いとライトグレー、黒が多いとダークグレーになり、デニム生地が多ければ青みがかるなど、1枚1枚異なる。ワークスタジオのCSO(最高サステイナビリティー責任者)・草木佳大氏は「90%以上を衣類でつくっているため、素材の服の色がそのまま現れる。木の板のように堅い質感だが、手触りは服の表面に近い。触ってもらえれば布でできていることがわかる」と話す。

ブランディア吉祥寺駅前店の壁に使われたPANECO。さまざまな廃棄衣料を粉砕して素材としているため、独特の色みや風合いがある

PANECOは店舗の器材や家具、ハンガーなどの小物に利用され、内装資材で使われるのは今回の店が初めて。ワークスタジオの原和広・代表取締役は「今後のモデルケースになる」と期待を寄せる。ただ、防炎加工がされていないため、内装に使う際は建物の用途や延べ床面積など一定の条件があるという。

2030年「廃棄0」へ

ブランディアの運営会社・デファクトスタンダード(東京)によると、ブランディアに持ち込まれ、査定される品物は1日約1万点にのぼる。だが、「取り扱い対象外」「状態が悪い」「タグが切り取られている」といった理由で買い取れないものもあり、その場合は客に返却するか、同社が廃棄するかを選んでもらう。その結果、査定する品物の6~7%にあたる月1万点以上、重さにして約4tが廃棄されているという。

ブランディアに持ち込まれたものの、廃棄される衣料の例

デファクトスタンダードはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」をふまえ、2030年までに廃棄をなくすという「廃棄0プロジェクト」を2020年4月に始めた。これまで、廃棄衣料をリメーク素材やファッションを学ぶ学生の教材として提供してきたが、「より抜本的な解決策が必要」として、PANECOに注目した。

同社は今後、ブランディアの廃棄衣料をワークスタジオに無償提供する。それにより、靴などPANECOの素材にできないものを除いても、廃棄量を6割減らせるという。一方のワークスタジオにとっても、PANECOの素材が常に供給されることで、安定して生産できるメリットがある。

PANECOの課題の一つが価格だ。現在は厚さ5.5mmが1枚あたり税抜き1万4700円、9mmが同2万1000円。デファクトスタンダードは「通常の壁材より高価だが、サーキュラーエコノミーへの貢献という点に意義を見いだしている。改修や解体の際、廃棄ではなくPANECOとして再利用できる点にも価値がある」(広報担当者)と説明する。

ワークスタジオによると、消防面の対策に加えて、生産工程の見直しによるコストダウンで、さらに利用を広げていきたいという。

使用済み衣類「年51万トン廃棄」

ファッション産業は、大量生産・大量消費・大量廃棄によって大きな環境負荷をかけていると指摘されている。環境省が民間調査会社の日本総合研究所に委託しておこなった調査によると、20年に国内の家庭や事業所から手放されると推計した使用済みの衣類は78.7万tにのぼる。このうち64.8%にあたる51.0万tがそのまま廃棄される一方、リユース(再利用)は15.4万t(19.6%)、リサイクルは12.3万t(15.6%)にとどまっている。

環境省が日本総合研究所に委託しておこなったファッションと環境に関する調査の資料(出典:環境省のホームページ

デファクトスタンダードの仙頭健一社長は「使わなくなったモノをすぐ捨てるのではなく、価値を見いだせる方にどんどん渡していき、長く使ってもらえるようにするのが当社のコンセプトだ。買い取りできない商材はビジネスのなかでどうしても出てくるが、PANECOのようなかたちで有効活用し、SDGsの達成に貢献していきたい」。 

ブランディア吉祥寺駅前店の壁に使われたPANECO。さまざまな廃棄衣料を粉砕して材料としているため、独特の色みや風合いがある
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