SDGs ACTION!

豊かな共生の明日に―2030年に向けたパルシステムの取り組み―

豊かな共生の明日に―2030年に向けたパルシステムの取り組み―
Sponsored by パルシステム生活協同組合連合会

【特別鼎談】
パルシステム東京理事長(パルシステム連合会副理事長) 松野玲子さん
パルシステム埼玉理事長(パルシステム連合会常任理事/商品委員会委員長) 樋口民子さん
パルシステム福島理事長(パルシステム連合会常任理事/環境委員会委員長) 高野祐子さん

SDGsの達成期限とされる2030年まで10年を切りました。一方でコロナ禍の広がりにより、私たちの暮らしが今後どうなるのか見通しにくい状況が続いています。ものと心の両面で豊かな共生社会の実現をめざす生活協同組合「パルシステム」では、2030年に向けて何に取り組み、どんな価値を大切にしているのか、組合員の代表として運営に携わる3名の方にお話を聞きました。

「たべる」から始めよう

――食はいのちの源であり、社会が持続可能であるために食の安全・安心は欠かせません。パルシステムではそれを守るため何に取り組んでいますか。

松野 現在、日本の食料自給率はカロリーベースで40%を切り、食の安全保障の面から非常に心配な状況です。その一方で、まだ食べられるのに捨てられている食べものが、日本では年間600万トンに上るといわれます。世界では9人に1人が飢餓に苦しんでいるにもかかわらず、です。食をめぐる状況が、非常にいびつであることがわかります。

パルシステムでは2008年にグループの組合員が100万人に達したことを機に、「100万人の食づくり運動」をスタートしました。自給力を高め、いのちのチカラあふれる社会をつくるために、作り手と一緒に現状を変えていこうとする取り組みです。そして現在は、くらしの中で共感を広げる「『ほんもの実感』くらしづくりアクション」を展開しています。

私たちは消費者ですので自分で食べものをつくるわけではありませんが、その代わりにできることもあります。それは「選ぶ」こと。作り手の商品への思いや、環境的な価値を理解して、それを「ほんもの」として選択することです。そのためには、作り手との交流が必須です。作り手と食べ手がつながりを「実感する」ことが、感謝の気持ちにつながり、無駄なく食べることにも通じていきます。私たち一人ひとりが意識して行動することで、未来は変わると思います。

パルシステム東京理事長(パルシステム連合会副理事長)松野玲子さん

高野 パルシステムでは、オリジナル商品を中心に国産・産直産地の原料を積極的に使用していますので、日々のくらしの中で商品を利用することがそのまま自給率の向上につながります。

一般的なPB商品は安さと手軽さで人気ですが、パルシステムのオリジナル商品は、国産・産直原料を優先して使用することはもちろん、環境への配慮や添加物にはできるだけ頼らないなど、時間と手間をかけて開発したものばかりです。また中には、組合員が商品開発に参加している商品もあります。思いをこめて商品づくりをしているので安さを売りにはできませんが、組合員はそれが自分たちの健康を守り、産地や生産者を守ることにつながると知っているので、積極的に利用してくださっています。

また食品の廃棄をなるべく減らすために、冷凍の「茎が長めのブロッコリー」のように、食べ方の提案を含めた商品も提供しています。実はブロッコリーの茎というのは、甘みがあってとてもおいしいんです。通常、1株の約45%を廃棄しているといわれるブロッコリーですが、この商品では廃棄率を約25%に削減できています。

オリジナル商品「茎が長めのブロッコリー」 パルシステム提供

「つくる」をこれからも

――食の安全・安心を守るためには生産者と顔の見える関係を築くことも大切です。パルシステムではそれをどう実現しているのか教えてください。

樋口 私は自分の子どもに食物アレルギーがあったことから食の安全に対する意識が強くなりましたが、パルシステムに限らず多くの生協は、家族に安心できるものを食べさせたいと願う人たちが、そのための仕組みを少しずつ実現し広げてきたものです。そして、そうした仕組みの中心には、必ず組合員と作り手の信頼関係、産直の関係があります。

パルシステムでは、「お客様」なのだから組合員のほうが偉いということは決してなく、私たちと作り手は対等の立場です。コロナ禍の現在はオンラインでの開催に切り替わっていますが、パルシステムでは産地交流や収穫体験などの機会を多く設け、生産者の苦労やその思いを学んでいます。また、年に1回の「ほんもの実感 感謝の集い」という催しでは、作り手と食べ手、そしてそれをつなげる職員が一体となり、お互いに1年の感謝を伝え合います。

パルシステム埼玉理事長(パルシステム連合会常任理事/商品委員会委員長)樋口民子さん

高野 私の住んでいる福島県は、ご存じの通り東日本大震災の原発事故で大きな被害を受けました。パルシステムでは事故の直後から農産物の放射能検査を独自に実施し、今も継続しています。

残念ながら現在も一部には風評被害が残っていますが、それでも多くの組合員は福島県産の安全とおいしさを正当に評価し、食べることで地域の復興を後押ししてくださっています。事故翌年の2012年に福島県産をどれだけ購入したかというデータを見ると、パルシステムが他の事業者を抑えて圧倒的に最多でした。地元の人間としては、大変ありがたく思っています。

パルシステム福島理事長(パルシステム連合会常任理事/環境委員会委員長)高野祐子さん

樋口 近ごろは店頭でも「産直」と書かれた野菜などを見かけるようになりましたが、生産者の側からはなかなか食べ手の顔は見えにくいと思います。しかし生産者も私たちも同じ生活者ですので、産地交流などを通じて、人と人との関係が一度できあがってしまうと、生産に向かう気持ちが全然違うとおっしゃいます。私自身、親しくなった生産者の方とはまるで親戚同士のような関係が続いていますし、そうした絆を今後も築いていきたいと思います。

「ささえあう」を諦めない

――しかし、先の見えない時代で人と人とのつながりも希薄になりがちです。これからパルシステムでは、〝ささえあい〟をどのように実践していきますか。

樋口 ひと言で組合員といっても現在は非常に多様化しています。共働きや少人数家庭も増えているので、パルシステムでは必要な材料と調味料をセットにしたミールキット(お料理セット)も多くそろえて選べるようにしています。安全に育てられた野菜を丸ごと余すことなく大切に食べるという、本来の考え方ももちろん意義がありますが、それが難しい場合もありますよね。ミールキットは一つの例ですが、いろいろな人がいて多様なくらしがあるという、当たり前のことを忘れずに支え合いを実践していきたいと思います。

松野 ミールキットのような商品は、結果的に使いきれずに捨てられる食品や規格外の野菜などのロスを減らすことにもつながります。パルシステムでは組合員の注文があってからメーカーや生産者に発注をするので、基本的に食品のロスはほとんど出ません。それでも傷みなどに備えて用意する予備分の青果については、子ども食堂や生活困窮者支援の活動に提供するなど有効活用しています。

調味料までセットになったミールキット。時短でもおいしい食事を用意できる。写真は「さつまいもと豚バラ肉のてりてり煮」。パルシステム提供

パルシステムの組合員は社会的な関心が高く、災害復興支援の募金などにも多くの参加があります。しかし、そうした善意に支えられた取り組みだけに頼るのではなく、持続的かつ社会の変化に臨機応変に対応できるよう、コロナ禍が広がる以前からつくってきた仕組みが今大いに役立っています。直接行くことができなくても、せめて思いを込めた食べものを届ける、支援を届ける、色々な形でささえあう、そうした地道な活動を、これからも続けていきたいと考えています。

この記事をシェア
関連記事