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コラム「互いの多様性(ダイバーシティー)を大切にしながら、持続可能な未来に向かう」 「基礎から学ぶ SDGs教室」【17】

コラム「互いの多様性(ダイバーシティー)を大切にしながら、持続可能な未来に向かう」 「基礎から学ぶ SDGs教室」【17】
同性婚訴訟の判決後、ペアウォッチをはめた手を取り合った原告=2021年3月17日、札幌市(撮影・朝日新聞)

【日能研が解説する「SDGsとは」 第17回はコラム「SDGsと多様性」】

「男女の家庭」それが当たり前ではない

男女が互いに相手を好きになり、結婚して家庭をつくる。ごく普通の、当たり前の姿だと思われがちですが、実は当たり前ではありません。女性を好きになる女性(レズビアン)や男性を好きになる男性(ゲイ)もいますし、男女どちらも好きになる人(バイセクシュアル)もいます。また、体は男性だけれど心は女性だったり、体は女性だけれど心は男性だったりする人(トランスジェンダー)もいます。

このような人たちをLGBTとよぶことがあります。L=Lesbian(レズビアン)、G=Gay(ゲイ)、B=Bisexual(バイセクシュアル)、T=Transgender(トランスジェンダー)の頭文字をとったものです。LGBTは「性的少数者」でもあります。

実際には、人を好きになることや性別と心の関係は、とても多様です。LGBTは少数派であるという理由で差別され、多数派の人たちと同等の権利を持つことができないこともしばしばあります。また、迫害されたり処罰されたりしてきた歴史もあります。

同性婚への対応は各国でさまざま

SDGsの目標10やそのターゲットに、こうした性的少数者への直接の言及はありません。しかし、性的少数者に言及するか、またはLGBTという言葉そのものをターゲットの中に入れるかという議論は真剣に行われたそうです。性の問題が多様であるように、性に対する考え方や価値観もまた多様です。

同性の結婚を法律で認めている国もあれば、宗教上の理由などから同性婚は認めないという国もあります。一つの国の中で、いくつもの考えがある場合もあるのです。

SDGsの考え方の根底には、ダイバーシティー(Diversity=多様性)を大切にするということがあります。互いの多様性を大切にしながら、持続可能な開発という目標を共有し未来に向かっていくための目標がSDGsです。ですから、ある一国の価値観を強引に押し通そうとすれば、SDGsそのものが崩壊してしまう可能性もあります。

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リベリア=2007年8月(UN Photo/Eric Kanalstein)

目標10に性的少数者への思いを込める

議論の結果、SDGsの目標10やそのターゲットを決めるための各国メンバーは、性的少数者に直接言及することはせず、「目標10 国内及び国家間の不平等を是正する」の二つ目のターゲット「2030年までに、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位、その他の状況に関わりなく、すべての人々の能力強化及び社会的、経済的及び政治的な包含を促進する」がその意味をふくむということで着地しました。「性別」という言葉や「その他の状況に関わりなく」という言葉の中に、あらゆる少数者も差別されないという思いがこめられているのです。

一つひとつの目標やターゲットの言葉は、各国を代表するさまざまな人の意見を集約し、議論し、ときにはぶつかりあいながら、編みあげられたものです。「どうしてこの表現になったのだろう」ということを意識しながら改めて読んでみると、新しい発見や疑問が見つかるかもしれません。

(日能研 教務部)

日能研
日能研
1953年の創立以来、中学受験を専門とする塾。86年から続く電車内広告「シカクいアタマをマルくする。」で知られる。子どもたちが、「自ら学び続ける私」を自分で育てることを応援する。2020年から未来型思考ができる新テキストを導入。全国に154校を展開(2022年3月現在)。

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