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【ピンクリボン新聞】乳がん予防へ早期検診を! 丸山桂里奈さんの意識を変えた、二つの出来事

【ピンクリボン新聞】乳がん予防へ早期検診を! 丸山桂里奈さんの意識を変えた、二つの出来事
撮影・伊ケ崎忍

10月は「乳がん月間」。乳がんの早期発見と適切な治療の大切さを伝える「ピンクリボンフェスティバル」が主にオンラインで開かれています。元サッカー女子日本代表でタレントの丸山桂里奈さんに、乳がん予防の意識が高まったきっかけなどを語ってもらいました。

北斗晶さんの言葉が心に

二つの出来事が、乳がん予防の意識を高めてくれた。事あるごとに、「ちゃんと、お前も色々やっとけよ!」。そう声をかけてくれるのが、芸能界の先輩で交流のある北斗晶さんだ。

北斗さんは2015年に自身のブログで乳がんを公表。手術・闘病生活を経て戻ってきた体験者の言葉は、毎回、心に刺さるという。

定期検診は受けていたという北斗さん。「だからこそ、余計に受けるにこしたことはないって思いますよ。やらなかったら、いったいどうなるの?って。(北斗さんから)言われると、行かなきゃって思う」

愛犬との別れも大きい。2年前、実家で飼っていたフレンチブルドッグの「きなこ」を、乳がんで亡くした。「両親もそうですが、これがきっかけで、がんへの意識は高まりました。きなこの時のように『あのとき検査しておけばよかった』ってなるのが、イヤだから」

「ピンクリボンフェスティバル2019」に参加するなど、乳がん予防啓発活動へは前向きに協力している。「何より、治せる病気であるというのが一番。進行してしまうのが怖い。少し時間を作って検診を受ければ、そこはクリアにできるんです」と、乳がんの早期発見、治療を広く呼びかけた。

丸山桂里奈さん(撮影・伊ケ崎忍)

検診、今は家族のため

――今と現役時とでは、乳がんへの意識は変わりましたか。

選手で福島にいたとき、1回だけ検診を受けたんです。結局、その後は時間を割いてまで行こうとならなかった。ただ、30歳を過ぎると、乳がんになる確率がグッと上がりますよね。今は定期的に行っています。

――若い人に婦人科の受診を敬遠する傾向も見られます。

胃や大腸がんの検査と違って、乳がんの検査は時間が短いです。男性ではなく、女性の先生を選ぶこともできますから。セルフチェックも大切ですが、専門医に診てもらい、自分の乳房について話し合う時間を持つことも大事だと思う。

――欧米などと比較し、日本の乳がん検診・受診率は先進国でも低いと言われています。

そうなんですか。今、初めて知りました。確かに米プロリーグに1シーズン行っていたんですが、そこで知り合ったファミリーも、みんな検診に行っていましたね。お父さんも検診に行っていた記憶があります。男性も乳がんの可能性があるんですよね。一人一人の意識が高いと感じました。

――結婚されて、家族も増えました。

夫婦で大腸がんの検査も受けました。本並さんがいて私の家族もいるんですけど、みんなが健康に暮らしたい。独身の時は自分でどうにかなるって思っていましたが、今は家族のために検診を受けなければ、という意識に変わりましたね。

丸山桂里奈さん(撮影・伊ケ崎忍)

アスリートの発信重要

――日本サッカー協会(JFA)や女子プロサッカーのWEリーグは、乳がん啓発活動である「ピンクリボン運動」に賛同しています。アスリートの発信力を、どう感じていますか。

「あの選手が」って言われるのは、現役アスリートの特権だと思います。好きなチームや選手の発信は、ファンにとって影響力も大きい。だからこそ、検診を受ける背中を押してあげられるような、きっかけを作ってあげられるような存在であってほしいですね。

――丸山さんの健康のひけつを教えてください。

私の周囲にいてくれる人たちが元気なことです。それとお仕事で、芸能人の方々と毎日会えることかな。パワーのある方々に、パワーをもらっていますから。仕事場がパワースポットです。あとは、我慢しすぎず食べすぎずという食事と、睡眠を取ってストレスをためすぎないことですかね。

――2021年は女子プロサッカーのWEリーグが開幕し、歴史的な年になりました。

私は何度かプロ契約をさせてもらった時期もありましたが、仕事をしながらサッカーをするのが当たり前の時代でした。WEリーグの選手たちは、時間の全てをサッカーに使えるわけですよね。私が選手だったら、めっちゃいいプレーができると思いますよ。

東京五輪日本代表・なでしこジャパンは、ベスト8に終わりましたが、ここからです。サッカーを職業としてやれば、パフォーマンスも上がります。24年のパリ五輪では、プロとしての真価が問われますよ。ようやく、女子サッカーもスタートラインに立ちました。(構成・福角元伸)

丸山桂里奈(まるやま・かりな)
1983年、東京生まれ。2011年の「FIFA女子ワールドカップ」日本代表・なでしこジャパン優勝メンバー。五輪はアテネ、北京、ロンドンの3大会出場。ポジションはFW。現役引退後は、タレントとして多方面で活躍。20年に元サッカー選手の本並健治さんと結婚した。

一人ひとりと向き合う 元なでしこリーガーの看護師・今井さゆりさん

元なでしこリーガーの新人看護師だ。6月に看護師免許を取得、千葉県鴨川市にある亀田総合病院の整形外科病棟で働く。「個人プレーは通用しないので、先輩たちへの相談の仕方が大事。一日があっという間です」

神奈川県出身。名門の神村学園高、早大と進み、ともに日本一を経験した。卒業後は東京電力マリーゼに入り、引退後は東電の社員として働く未来を描いていた。東日本大震災がキャリアを変えた。ベガルタ仙台などを経て、働きながらオルカ鴨川FCで30歳までプレーした。

「サッカーはやり切ったので未練はありません」。患者の人生に寄り添える看護師が目標だ(撮影・朝日新聞)

オルカのチームスポンサーでもある亀田総合病院の受付で働いた2年間、注射をこともなげに打つ看護師の姿を「かっこいい」と感じていた。「大勢の人を相手にするよりも、患者さん一人ひとりと向き合う仕事が自分には合っている」と、3年間、看護の専門学校で学んだ。

働く支えは現役時代に両ひざを負傷したときの体験だ。術後は体を動かすこともできない患者が、日に日に回復していく。「患者さんはそれを言ってもらうことで、励みになる。できるだけ声がけをするようにしています」

働き始めてあらためて早期治療の大切さを感じる。入浴時は胸部のセルフチェックを欠かさない。(伊東武彦)


WEリーグが果たす社会貢献 チェア・岡島喜久子さんに聞く

日本初の女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」が9月に開幕し、その運営のトップのチェア(代表理事)を務める。目標の1試合平均観客数は5000人。幅広い年齢層に来場を呼びかける。「とにかく1度来て欲しい」

現役時代は活動量の多いMFだったという岡島チェア(撮影・朝日新聞)

今なぜプロリーグなのか。2011年にワールドカップで初優勝した日本代表(なでしこジャパン)だが、東京五輪はベスト8。「日本のレベルが下がったというより、特に欧州で女子サッカーのプロ化が進んでレベルが上がった。日本がもう一度世界一に戻るにはプロ化が必要な時期になった」。リーグ設立の意義の一つに、女性が活躍する社会の象徴の場となることを掲げる。リーグ参入クラブには、運営法人を構成する役職員の50%以上を女性とすることなどを求めた。

中学で男子に交じって本格的にサッカーを始め、クラブチームなどでMFとしてプレー。日本代表にも選ばれた。大学卒業後は外資系金融機関に勤め、1989年に引退。選手時代から健康への意識は高く、留学先ではスポーツ医学を専攻。当時日本ではなじみのなかったテーピングの技術などを学んだ。

91年に結婚を機に渡米した。現地の金融機関で働き、健康に気を配ってきた。その一つは乳がん検診。約30年、毎年1回受診してきた。「米国ではみんな1年に1回マンモグラフィーに行く。行かないと、保険会社や医療機関から連絡がくる」。胸のしこりの有無を確認する方法も一般的に周知されている。「毎日チェックしていれば変化はわかってくる」

WEリーグの開幕戦。「リピーターを作りたい」(岡島チェア)(撮影・朝日新聞)

WEリーグでも試合会場に、マンモグラフィーを備えた検診車の設置を模索する。「マンモグラフィーを怖いとか痛いという人がいるけれど、怖くないということを知ってもらいたい」。これまでサッカーに興味のなかった女性が来場する契機の一つとなり、競技の観戦だけではない価値をスタジアムで提供したいと考えている。(堤之剛)

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