SDGs ACTION!

大雪山系の野営地守れ 共助の仕組みで適切管理 【大学SDGs ACTION! AWARDS】

大雪山系の野営地守れ 共助の仕組みで適切管理 【大学SDGs ACTION! AWARDS】

学校名:北海道大学
団体名:個人
執筆者名:王 婷 (WANG TING)


大学SDGs ACTION! AWARDS 2021リポート

国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)を若い力で達成しようと創設された「大学SDGs ACTION! AWARDS」。コンテストを通じてアイデアが現実へと広がり、育ってきています。2021年の受賞者から、その後のリポートをお届けします。第1弾は、北海道・大雪山国立公園における野営指定地(テント場)の適切な管理をテーマにファイナリスト賞を受賞した北海道大学の王婷(WANG TING)さんです。

大雪山国立公園の野営指定地には管理が必要

私は、北海道大学・大学院環境科学院の渡邉悌二教授のゼミ(環境地理)に所属しています。山岳国立公園における野営活動によるインパクトの削減を実現するために有効な管理の取り組みとその効果について研究しています。日本の国立公園は、環境省が主管となって管理していますが、環境省の人的・財政的キャパシティーが十分ではないため、国立公園全体の管理を自力で行うことは難しい事例が多くあります。

この申請アイデアの調査地域である大雪山国立公園も同じ問題に直面しています。大雪山国立公園における登山者にとって、重要な宿泊地となる12カ所の野営指定地は、ずっと無管理のまま利用され続けています。その結果、一部の野営指定地において、土壌侵食によりガリーと呼ばれる溝ができて、土砂が継続的に流れ出ています。人気のある野営指定地だと週末は大混雑し、利用者の野営体験の質の低下が見られるようになってきています。

これらの問題を解決し、よりよい野営環境を持続的に維持するために、地元ステークホルダーを巻き込んだ野営指定地の管理の枠組みを構築することを企画しました。これは、SDGsのゴール15と17につながると考えています。

野営指定地の今後の管理について:地元ステークホルダーの皆さんの声

このアイデアを実現するために、まず、2021年3月5日に大雪山国立公園に関係する地元ステークホルダーを対象に、Webex Meetingsのオンライン会議システムを使ってグループディスカッションを行いました。

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地元ステークホルダーとのオンライングループディスカッション(2021年3月5日)

会議の中で、野営指定地の諸問題解決対策の導入案(例:予約制管理制度の導入、ガリーの補修など)について、参加者の皆さんに投票してもらいました。その結果、野営指定地の無管理の現状を変えて、正式に管理人を置く提案に対して多くの人が賛成していることがわかりました。一番人気のある黒岳野営指定地の混雑問題を解決するために、8割以上の参加者が予約制管理制度の導入に賛成しました。参加者の中には、土壌侵食の軽減対策を積極的に提言する人もいました(例えば、ガリーのところを排水路として整備する)。

3月24日に環境省が主催した「大雪山国立公園研究成果報告会」で、投票の結果を皆さんにフィードバックしました。地元ステークホルダーの皆さんは、野営指定地の今後の管理導入について直接意見を述べる機会が持てたことを高く評価してくれました。また、これからも継続的にこうしたディスカッションを開催すべきだと言ってくれました。

管理の導入に対する利用者側の意見は?

野営指定地に正式な管理を導入することに対しては、利用者側の意見を把握することも大切です。そこで、SurveyMonkeyというアンケートソフトウェアを使って、オンラインアンケートを作成しました。2021年6月から9月まで、大雪山国立公園に関係する地元ステークホルダーと連携して、登山者を対象とするアンケート調査を行いました。その結果については現在、解析を行っているところで、今年度末の研究成果報告会で地元ステークホルダーの皆さんにフィードバックする予定です。

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大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイの駅で登山者に対するアンケート調査を行った時の様子(2021年9月)

野営指定地の荒廃状況の継続的モニタリング

ポールフォトグラフィという写真撮影の手法を使って、2017年から黒岳野営指定地のガリー侵食のモニタリングを続けています。この申請では、このモニタリング手法を地元ステークホルダーのような非研究者に普及して、国立公園内にある12カ所の野営指定地の写真データを継続的に収集することを目指しています。そのために、2021年9月20日にフィールドで写真データを収集した際は、非研究者が作業することを想定した上で、撮影中の注意点や効率的な撮影のコツなどを記録しました。現場では地元ステークホルダーの代わりに、ポールフォトグラフィに関してまったく経験のない後輩にも、撮影作業を体験してもらいました。これらの作業を通して、非研究者(地元ステークホルダー)向けのプロトタイプの写真撮影マニュアルを作成しました。作成したマニュアルの実用性を確認するために、年度末までに地元ステークホルダーを中心に撮影体験イベントを開催しようと考えています。

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黒岳野営指定地でのポールフォトグラフィによる写真撮影の様子(2021年9月20日)
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ポールフォトグラフィによる写真撮影作業を体験する後輩(2021年9月20日)

これからアワードを目指す学生さんへ

持続可能な社会の構築に貢献できるあなたの素晴らしいアイデアを「大学SDGs ACTION! AWARDS」を通して、多くの人に知ってもらいましょう!自分のアイデアに翼をつけましょう!

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