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【夫婦別姓問題、どうしますか?】 多様な生き方ができる社会をつくりたい 立憲民主党・枝野幸男代表

【夫婦別姓問題、どうしますか?】 多様な生き方ができる社会をつくりたい 立憲民主党・枝野幸男代表
撮影・朝日教之

立憲民主党の枝野幸男代表は1993年の初当選間もない頃から、選択的夫婦別姓の問題に取り組み、野党が協力して何度も議員立法を国会に提出してきました(Keywords参照)。今度の衆院選の公約にも、立憲民主党は選択的夫婦別姓の実現を掲げています。野党としてこの問題をどう見ているのか、そして民主党政権時代になぜ実現できなかったのかなどを聞きました。(聞き手 編集委員・秋山訓子)

――立憲民主党は選択的夫婦別姓の実現を衆院選の公約に掲げました。
 
当然実現しなければいけない公約として入れました。目玉の一つになると思っています。

――2019年の参院選でも、当初枝野さんは選択的夫婦別姓を争点に掲げようとしておられました。しかし、選挙が進むに従って尻すぼみになっていったような印象です。

前回の参院選では公示前に選択的夫婦別姓を強調しすぎて、本番では沈んでしまいました。多くの国民は選択的夫婦別姓について賛否を聞くと賛成と答えるのですが、コロナのような喫緊の課題、貧困、格差拡大など経済問題、命や生活に直接かかわることと比べると、関心の度合いは低くなってしまいます。

――選択的夫婦別姓は優先順位が低いというわけですね。それでは国政選挙の争点にしにくいですか?

示し方、見せ方の問題もあると思うようになりました。きちっと目の前の短期的な課題、コロナ対策や生活対策を打ち出しつつ、中期的にこういうことができていないのはおかしいよね、ということを訴えたいと思っています。

選択的夫婦別姓も、単独の問題ではなくて、女性にしわ寄せがいってしまう事例として他の課題とつながっていると思うんです。コロナもそうですね。何か問題が起こると、より立場の弱い女性が深刻な影響を受ける。

個人が自由に選択できる社会像を描く

――選択的夫婦別姓も、女性の貧困も、シングルマザーがコロナでより困難な立場に置かれるのも、いずれも女性にしわ寄せがいってしまう課題という意味で共通点があるということですね。

私たちは一人ひとりが多様な選択のできる社会をつくりたいと思っています。それを可能にするためリスクを最小化することが政治の役割です。政治が困難をなくすことで、個人が自由に選択できる幅を広げることができるんです。こういう社会像を描きながら、短期的にはコロナに立ち向かい、中期的に選択的夫婦別姓を実現させる。そう考えています。

――目の前に選択肢が広がっている社会、選ぶ前にあきらめることのない社会、ということでしょうか?

それぞれの生き方は多様です。専業主婦になりたい人もいれば、会社で出世したい人もいる。社会活動の中心的な役割を果たしたいという人もいます。どういう生き方を選んでも公平であり、入り口で門を閉ざされないようにしたい。選択的夫婦別姓も、同じ姓を名乗りたい人はそれでいいのです。互いに違いを認め合って、みんなが尊重し合う社会をつくりたい。

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撮影・朝日教之

多様性を大切にする会社は業績が上向く

――選択的夫婦別姓問題を論じる時、今のようなめざすべき社会像以外の観点はありますか?

経済問題でもあると思っています。私が経済産業大臣だった時、日本の経済を活性化するためには多様性、ダイバーシティーがとても大事だと考えていました。ダイバーシティーに熱心に取り組んでいる会社は業績がいいということも指摘されています(注1)。

(注1)たとえば、コンサルティング会社の調べで、ジェンダーの多様性および文化面の多様性を含む企業は、業種平均よりもすぐれた業績を達成する傾向が見られる、などのデータがある。

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/diversity/pdf/004_05_03.pdf

さらに、日本国憲法の前文には「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」とあります(注2)。これを念頭に置いたとき、夫婦同姓を強制している国は日本だけ、という状況はどうなのか。こんなふうに、あらゆるテーマともつながってくると思っています。

(注2)日本国憲法前文(抜粋) 「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」

民主党政権、連立内の反対で実現できず

――過去の話になりますが、2009年の民主党による政権交代。当時、ついに選択的夫婦別姓が実現するのかと期待した人はとても多かったのではないでしょうか。

あの政権は、民主党単独ではなく国民新党、社民党との連立政権でした。連立政権は少数政党が拒否権を持つんですね。国民新党の亀井静香さんが夫婦別姓に強硬に反対で、やるなら連立離脱すると言いました。しかも推進役になってくれると思っていた福島瑞穂さんが別の問題で早々に連立を離脱してしまったのです。そうこうするうちに2010年の参院選で負けて、ねじれ国会になってしまいました。いろいろな問題に取り組むにも、政権側の優位がなくなってしまいました。

――あの時のようなことはもう繰り返さない、と。

枝野幸男政権をつくっていただければ、ただちに選択的夫婦別姓を実現したいと思っています。

――今年6月には、最高裁で民法などの夫婦同姓の規定は合憲という判決が出て、国会で議論すべきだとボールが投げられました。
 
政治的な問題について判断できないという今の日本の司法の限界を示したのではないでしょうか。この問題は司法の判断を待つのではなくて、政治が国民の理解を得て前進させるしかないと思っています。

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撮影・朝日教之

自民党の反対派は理屈でなく感情論

――自民党はなぜこの問題を実現できないのでしょうか。

理屈や損得ではなく、感情として受け入れられない人たちが、自民党のコアの支持者の中に一定数いるからだと思います。

――自民党も若い世代が増えています。変化を感じませんか?

存在感のある支持層として、夫婦別姓を受け入れられない人たちがいる構造は変わらないと思います。何が何でもこの問題を実現するために邁進(まいしん)する人は少ないのではないでしょうか。

岸田首相には解決できない

――新しい首相に岸田文雄さんが就任しました。選択的夫婦別姓については、推進する議員連盟の呼びかけ人に名を連ねながら、自民党総裁選以降は「議論をすべき」と後退した印象です。選択的夫婦別姓は実現すると思いますか?

岸田さんがどう考えているかはともかく、安倍元首相の影響力が強いことは否定できませんし、最も強硬な反対論者である高市早苗さんを政調会長という政策の責任者にすえました。やはり自民党では実現しないことを、多くの方が気づいたと思います。
自民党ではできないテーマである以上、われわれが政権交代をしたうえで実現するしかないと考えています。

Keywords
野党の選択的夫婦別姓法案

たとえば、2018年に立憲民主、国民民主など野党5党1会派が衆院に出した選択的夫婦別姓についての民法の一部改正案は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫若しくは妻の氏を称し、又は各自の婚姻前の氏を称するものとすること」などとなっている。

https://archive2017.cdp-japan.jp/news/20180615_0609

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