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脱炭素 取り組むべきは…… 博報堂調査に見るみんなの意識

脱炭素 取り組むべきは…… 博報堂調査に見るみんなの意識

「脱炭素社会の実現」。COP26の主要テーマであり、世界が抱える喫緊の課題だ。電気自動車(EV)の開発競争や再生可能エネルギーの普及促進――連日メディアに登場するようになった「脱炭素」は、生活者にとってどこまで実感できている問題なのか。博報堂が実施した調査から探ってみた。(編集部・吉田拓史)

認知度は? 関心は?

調査は2021年9月、全国15~79歳の男女を対象にインターネットでおこなわれ、1442人から有効回答を得た。

結果を見てみよう。「脱炭素」という言葉を「知っている」と答えた人は8割を超えた。「内容も知っている」になると6割弱に下がるが、20年10月に当時の菅義偉首相が50年の温室効果ガス排出実質ゼロ(カーボンニュートラル)を表明したこともあり、国内でも認知度はぐっと高まっていることがうかがわれる。

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Q 上記の言葉をどの程度知っていたか (博報堂「生活者の脱炭素意識&アクション調査」から)

では、「関心があるか」はどうだろう。「Z世代」(15~24歳)を含む10~20代の高さが目立つ。SDGsへの関心でも同様の傾向があり、若い世代ほど自分たちの未来にかかわる問題と受け止めていることがこの調査からも確認できる。一方、相対的に低いのが30~50代。「働きざかり」「子育て真っ最中」で忙しいが、社会に責任を負う現役世代でもある。脱炭素の実現には、この世代の関心や関与を高めるのが課題と言えそうだ。

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脱炭素に対する関心度

誰がやるの? → 自分でしょ でも……

「誰が取り組むべき課題か」の問いに対しては、「大企業」(83%)。と「政府・官公庁」(79%)がトップ2となった。

大企業は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づいて「気候変動問題への取り組み」について情報開示が求められており、ESG投資などの判断基準にもなっている。国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP)に加盟し、実現に向けた行動を国際公約している「政府・官公庁」よりも実行への責任が重いとみなされたようだ。

注)<TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)> 世界の金融市場の安定を図る金融安定理事会(本部・スイス)にできたチームで、2017年に情報開示の勧告をまとめた。企業が気候変動で受ける影響を投資家などが適切に評価できるよう、企業に11項目にわたる情報開示を求めている。各国の政府機関や年金基金、国際機関も賛同している。
注)<ESG投資> 環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)に配慮している企業を重視する投資行動。2006年に国連が責任投資原則(PRI)を打ち出し、世界の投資機関にESGの考え方を組み込むよう呼びかけ、3000以上の運用会社などが署名した。日本でも年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が15年に署名したのを契機に広がりつつある。

その一方、3位には「生活者」があがった(67%)。企業や国を構成するのも一人ひとりの国民であり、他人任せにしてはいけないという意識も高まっているようだ。「脱炭素行動は、みんなが取り組むべき課題と思うか」との質問に対しても、「非常にそう思う」「ややそう思う」が8割を超えた。

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Q 脱炭素は誰が取り組むべき課題だと思うか(複数回答)

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Q 脱炭素行動は、みんなが取り組むべき課題と思うか

ただ、実際の行動となると、日々の暮らしの中で「意識して行動している人」は3割強にとどまった。行動しない理由として最も多かったのは、「何をすれば貢献できるか、よくわからない」で、58.1%。「手軽に取り組めそうなものがわからない」(56.1%)、「『脱炭素社会』に関連する情報が少ない」(53.5%)などが続く。博報堂は「生活の中で自分たち個人にできることが認知されていない」とみる。また、脱炭素に向けた行動は、「誰でもできる」と考えている人が多いものの、「プラスαの出費が必要になる」「「面倒なことになりそう」といった負のイメージを抱いている人も少なくないようだ。

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Q 日々の暮らしの中で、どの程度脱炭素に向けた行動をしているか

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Q 暮らしの中で脱炭素を意識することに対するイメージ(そう思う計)

気軽に、おトクに、達成感も

「脱炭素につながる暮らしの工夫や商品・サービスの情報をどの程度知りたいか」の質問には、「ぜひ知りたい」「知りたい」が半数以上を占めるものの、「どうしてもやるべきことだけを知りたい」という消極派も4割弱いる。

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Q 脱炭素につながる暮らしの工夫や商品・サービスの情報をどの程度知りたいか

具体的に取り組んでみたい分野としては、「食料・飲料」「電気、ガス、水道」「日用品」といった日常生活の中でできることが上位となった。実際にできそうなこととしては、「ゴミの分別」や「省エネ」が上位となったほか、「今あるものを修理・再利用する」や「中古品・レンタルの利用」が「脱炭素商品の購入」を上回った 。

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Q どのような分野から脱炭素に取り組んでみたいか(複数回答)

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Q 自分でもできそうだと感じること(複数回答)

また、行動を促すために必要なことや利用したいサービスを尋ねる質問では、脱炭素関連の商品やサービスを利用することで「ポイントが貯まる」「通常より安い」といった金銭的なメリットや、当該商品を使ったり行動を変えたりしたときにどの程度、二酸化炭素(CO₂)が削減されるのかを表示するなど、貢献度の「見える化」を求める声が多かった。

博報堂の担当者は、「生活者は暮らしの中でできる工夫についての情報を求めている」と分析し、発信側の工夫を促す。また、生活者側の倫理観に委ねるだけでなく、「自分でもできる、楽しい、と感じてもらえる提案が重要だ」としている。

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