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カーボンニュートラル2025年までに アストラゼネカが進める野心的なサステナビリティ戦略

カーボンニュートラル2025年までに アストラゼネカが進める野心的なサステナビリティ戦略
Sponsored by アストラゼネカ株式会社

製薬大手の英アストラゼネカ(CEO:パスカル・ソリオ)が、2025年までにカーボンニュートラルを達成すると発表した。政府や企業の脱炭素宣言が相次いでいるが、「2025年」は異例の早さであり、同社が掲げる「アンビション・ゼロカーボン」の名称どおり、野心的な目標だ。同社はほかにも、さまざまなサステナビリティへの取り組みを加速させている。根底にあるのは、地球環境への危機感と「競争より連携」を重視する経営だ。

脱炭素を10年前倒し

2021年10月20日。アストラゼネカの東京オフィス(東京都港区)でメディア発表会が開かれた。同社は2025年までに世界で展開するすべての自社事業で温室効果ガス(GHG)の排出量ゼロを実現する「アンビション・ゼロカーボン」を2020年1月に公表。取引先を含むバリューチェーン全体でも、2030年までに吸収量が排出量を上回るカーボンネガティブの達成を目指すとしている。従来の脱炭素計画を10年以上前倒しした。

発表会の冒頭、サステナビリティ 環境保全分野 グローバル責任者のジェイソン・スネイプ氏が「アンビション・ゼロカーボン」の狙いについて語る動画が上映された。

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アストラゼネカのジェイソン・スネイプ氏

「地球の健康と人々の健康がつながっていることは明らかで、地球の健康は、我々の生命に影響しています。我々が“アンビション・ゼロカーボン”のように環境課題へ挑戦し続ける意味はそこにあります。

あらゆる活動にサステナビリティの考えを組み込むことが、困難を克服する強さを身につけ、事業を継続する鍵となります。環境を保護することが、患者さんの人生を変えるような薬を届け続けることにつながります。

ただ、それは私たちだけではできない。日本においても、業界内のパートナーやサプライヤー、政府、アカデミアと協力し、倫理的に透明性をもって、“ネットゼロ医療”への移行に取り組み、世界中で医薬品へアクセスできるようにしていきます」

同社はグローバル全体で2015年から2020年にかけてCO₂を含む温室効果ガス(GHG)の排出を60%削減した。2020年時点で、使用電力の99%以上を再生可能エネルギーで賄えるようにもした。水の消費量についても、過去5年間で20%削減してきたという。今後は、2025年までに営業車両1万7000台すべてを電気自動車にすると明言している。

気候変動にワクチンはない

続いて登壇したアストラゼネカ日本法人のステファン・ヴォックスストラム代表取締役社長は「気候変動は公衆衛生上の緊急事態だが、ワクチンなどはなく、誰一人免疫を獲得することができない課題」としたうえで、「できるだけ早くゼロカーボンを達成しなければならない」と連携を呼びかけた。

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アストラゼネカ日本法人 代表取締役社長 ステファン・ヴォックスストラム氏

「強調しておきたいのは、これは企業間の競争でもなんでもないということ。アストラゼネカが他社よりもうまくやろうと考えているわけではありません。みなさんとともに、こうした目標を掲げていきたい。より多くの企業がともに足並みをそろえることによって、世の中がよくなっていくと考えています」

アストラゼネカが掲げるサステナビリティの柱は三つある。「医療へのアクセス」「環境保全」「倫理と透明性」だ。

日本では、「環境保全」につながる取り組みとして、以下のような施策を実施しているという。

〈事業ベース〉
▷東京オフィスでの使用電力を100%実質再生可能エネルギー(注1)で調達
▷営業車の電気自動車への切り替えを開始
▷工場におけるエネルギー効率の高いコンプレッサーの導入 など

注1〈実質再生可能エネルギー〉
本件の電気は固定価格買取制度(FIT)によらない特定の再生可能エネルギー電気を、環境価値とともに、株式会社エネットの電気に組み合わせて供給をうけることで、実質的に再生可能エネルギー電気100%とみなされている。

〈従業員の取り組み〉
▷紙の使用を削減
▷使い捨てプラスチックの削減(マイボトルを持ち歩くなど)
▷琵琶湖清掃活動 など

発表会では日本全体でのカーボンゼロに向けた提言も示した。クリーンエネルギーや電気自動車の普及のためのインフラ整備などが含まれ、今後以下5項目を取りまとめていく予定だという。

①クリーンで調達しやすいエネルギー
②電気自動車とそのインフラ
③患者中心のネットゼロに向けた医療システム
④政策および財源措置に関する長期的な道筋
⑤政府による市民の意識啓発と政策実行における強力なリーダーシップ

「待ったなしです」。ヴォックスストラム社長はそう強調した。「気候変動は次世代の問題ではなく、今いる我々の健康に対しての脅威になっている。これは競争ではありません。多くの企業が参加して、ムーブメントにしていかなければならない。みんなが参加して、新しい方法で前進していく。一人が勝つのではなく、全員が勝っていかなければなりません」

米原工場の「小さな積み重ね」

次に登壇したのは、濱田琴美オペレーション本部長。国内唯一の生産拠点である米原工場(滋賀県米原市)の具体的な取り組みを説明した。

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アストラゼネカ日本法人 オペレーション本部長 濱田琴美氏

1998年操業開始の米原工場は、2021年9月時点で約200人の従業員が働いており、日本市場向け38ブランドの医薬品の小分け製造、包装、表示をおこなっている。

エネルギー効率の良いコンプレッサーの導入で、電力使用量を14%削減したほか、照明などのLEDや人感センサーを導入するなどして、さらなる削減に取り組んでいるという。また、2020年に国のJ-クレジット制度(注2)を用いて、工場で消費した電力の100%再生可能エネルギーへの転換を実現。さらに2021年中には給湯器を電化し、2022年春ごろから敷地内に設置したソーラーパネルを稼働させ、工場全体で使用する電力の20%を賄う予定で、すでにカーボンネガティブを視野に入れているという。

注2〈J-クレジット制度〉
省エネルギー機器の導入や森林経営などの取組みを通じて、CO₂などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。「クレジット」は国際的にRenewable Energy Certificates(RECS)として使用が認められている。

製品に対しても環境負荷を低減できないか検討を続けている。錠剤を包むパッケージ(ブリスターパック/PTPシート)に環境負荷の低いポリプロピレンを採用したり(数量ベースで90%の製品に適用)、製品の個装箱に再生紙を使用したり、添付文書の電子化を進めたりしているという。包装時に廃棄せざるを得なかったPTPシート(アルミとプラスチックが合わさったもの)の切れ端などのリサイクルテストにも今年10月に成功した。

工場内での草の根的な活動も盛んだ。環境改善の機会を見つけ、リーンの手法を用いて最小限の投資によって改善を行う「グリーン改善」を用い、梱包用品PPバンドのリサイクルなど50件以上の廃棄物削減の取り組みを実行したり、自ら手を上げた社員の小集団活動(サステナビリティチャンピオン)の発案で食堂のフードロス対策などをおこなったりしているという。濱田本部長は「一人ひとりの努力、小さなことの積み重ねが大きな貢献につながる。社員に対しての啓発を続けていきたい」と話した。

新オフィスでも再エネ100%を達成

今年5月、アストラゼネカは、東京ガス不動産、三井不動産と三菱地所が手掛けた田町のオフィスビル「msb Tamachi 田町ステーションタワーN」の34階と35階に東京支社を移転した。

新オフィスでは、使用電力を100%、実質再生可能エネルギーで賄っている。メディア発表会の最後では、アストラゼネカの光武裕ジャパンサステナビリティディレクターと、三菱地所の鯉渕祐子スマートエネルギーデザイン部長、東京ガスエンジニアリングソリューションズ・地域エネルギー事業部の田中一史営業推進グループマネージャーによるパネルディスカッションがおこなわれた。

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(左)アストラゼネカの光武裕氏
(中)三菱地所株式会社の鯉渕祐子氏
(右)東京ガスエンジニアリングソリューションズの田中一史氏

国内での再エネ利用はビル・工場単位が一般的で、オフィステナント単位での利用は事例が限られていた。今回、msb Tamachiへの入居にあたってアストラゼネカ側から「再エネを利用したい」と相談された三菱地所の鯉渕氏は「テナントさんからそういう要望をいただいたのはほぼ初めてだったようです」と明かした。

電力供給を取り次ぐ東京ガスエンジニアリングソリューションズの田中氏も「私どもの会社では事例がなく、正直戸惑った」というが、一方で、「脱炭素に関する流れはこの数年、非常に激しい。お客様からさまざまな要望が出ることは覚悟の上で事業をしているので、前向きに受け止めよう、まずはやってみようと動き出した」と当時を振り返った。

いくつかの課題を乗り越えて、テナントベースでの再エネ利用が実現。結果、アストラゼネカのオフィスを対象とした実質100%再生可能エネルギーの利用で、年間約373t(注3)のCO₂削減が見込めるという。他のテナントからも問い合わせがあり、同じように再エネ電力を供給する事例も出始めた。

注3 CO₂排出係数0.444kg-CO₂/kWh(電気事業連合会2019年度速報値)で計算

アストラゼネカの光武氏は「契約の組成から、何から何まで初めてだったと思う。改めてお礼を申しあげたい。(社長の)ステファンも言っていたが、我々のサステナビリティに対する考え方は、競争ではない。一人でも仲間が増えたら、取り組みが2倍になるという考え方。今後ももっとイノベーションを起こしていくために、アンテナを張って、またいろいろな話をしたり、他の仲間を増やしたりして、一生懸命頑張りたい」と総括した。

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