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規格外のアメ、捨てずにスプレーやストローへ 「カンロ飴」のカンロが商品化目指す

規格外のアメ、捨てずにスプレーやストローへ 「カンロ飴」のカンロが商品化目指す
規格外のカンロ飴などから作ったスプレーの試作品

「カンロ飴(あめ)」や「ピュレグミ」で知られる老舗キャンディーメーカーのカンロ(東京)が、自社工場の製造工程で出た規格外のアメや原材料を再利用した新商品の開発に取り組んでいる。マスクに吹きかけるスプレーや、せっけん、ウェットティッシュ……。2022年6月以降の販売に向けた試作品を公開した。これまで廃棄されていたものを「資源」として見直すことで、新しい価値を生み出し、循環型経済の実現につなげる狙いがあるという。(編集部・浜田知宏)

製造工程で年間1302tの廃棄が発生

カンロを代表する商品「カンロ飴」は、砂糖や水あめを溶かしながら煮詰め、細長いロープ状にした生地を「アメ玉」の形に切り出して作る。成形の工程で削りかすが出るほか、気泡が入ったり割れたりした「規格外品」も生じる。

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人気商品の「カンロ飴」(カンロ提供)

カンロによると、国内の3工場から排出されるアメや原材料の合計廃棄量は、年間で1302tにのぼる(2020年実績)。そのうちの約9割は飼料や肥料に再利用しているものの、さらなる活用策を検討してきた。

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廃棄されるアメなど(カンロ提供)

発酵してエタノールに

販売できないアメやその原料を活用する方法としてカンロが目を付けたのが、新たな資源化だ。独自の発酵技術を持つスタートアップのファーメンステーション(東京)と協業パートナーを組み、廃棄されるはずのアメなどに米と酵母菌を加えて発酵させ、エタノールを精製する事業に取り組み始めた。

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規格外のアメやその原料を活用したスプレーの試作品(カンロ提供)

2021年12月に開かれた記者会見で、カンロの村田哲也・執行役員は「規格外のアメから、これまでとは全く異なる価値を生み出せないかと模索を続けてきた。2022年からは、当社の工場から出た廃棄物については、カンロ主導で、カンロの意思で再利用を促進していく」と強調した。

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記者会見に臨んだカンロの三須和泰社長(中央)ら=2021年12月、東京都内

会見場では、規格外のアメから試作したスプレーが披露された。「ヒバ&カルダモン」の香りのアロマスプレーと、「ラベンダー&ティーツリー」の香りのマスク向けスプレーの2種類。今後、カンロ飴やピュレグミの香りのスプレーを作る計画があるかについては、広報担当者は「検討中」と答えた。

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試作品として発表されたマスク向けスプレー

実際の商品化は2022年6月以降となる予定で、ハンドスプレーやせっけん、ウェットティッシュなど、手や指をきれいにする商品を中心に開発が進められている。新商品は東京駅にあるカンロの直営店「ヒトツブカンロ」などで取り扱われる予定だ。

「口から広がるワクワク」 アメ製ストローを体験

会見場では、もう一つの試作品も公開された。アメを使った「キャンディーストロー」だ。「口から広がるワクワクを創出」に主眼を置いた企画だが、脱プラスチックも意識しているという。具体的な商品化は未定だ。

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試作品として発表されたキャンディーストロー

カンロ社員が手作りしたというストローを実際に使わせてもらった。

太さはタピオカジュースなどに使うストローのように少し太めだが、アメが分厚いため、吸い口となる穴は一般的なサイズと同じか、それよりも少し小さいぐらい。触り心地はサラサラとしていて、普通のストローと大差ない。茶色やピンクといった複数の色があるのは、コーヒーやイチゴなど違った味のアメで作られているからだという。今回は紅茶味を選び、コップに入れた水を飲んでみた。

飲み心地は普通のストローと変わらないが、一口目からふんわりと、紅茶の香りと甘さが口に残る。アメが少しずつ溶け出しているのだろう。飲むほどに吸い口がどんどんと溶け出し、甘さも増していく。ぬれた部分を手でうっかり触るとベタベタしてしまう点は注意が必要だ。

コップの水を飲み終えたら? もちろん最後はバリバリと食べてしまえばゴミも残らない。

カンロ
本社・東京都新宿区。1912年、創業者の宮本政一が現在の山口県光市に「宮本製菓所」を開業。1950年に株式会社化して「宮本製菓」となり、1955年に発売したカンロ飴のヒットを受けて1960年に社名を「カンロ」に改めた。主力製品はのど飴やキャンディー、グミ。2020年12月期の売上高は233億円。
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