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食品ロスと食品廃棄物の違いは? 国内外で区分にも差異 データで見るSDGs【13】

食品ロスと食品廃棄物の違いは? 国内外で区分にも差異 データで見るSDGs【13】
日本総合研究所シニアスペシャリスト/村上 芽

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村上 芽(むらかみ・めぐむ)
株式会社日本総合研究所 創発戦略センター シニアスペシャリスト。金融機関勤務を経て2003年、日本総研に入社。専門・研究分野はSDGs、企業のESG評価、環境と金融など。サステイナビリティー人材の育成や子どもの参加に力を入れている。『少子化する世界』、『SDGs入門』(共著)、『図解SDGs入門』など著書多数。

日本人は1人で毎日卵2個分を廃棄

個人や家庭で取り組みやすいSDGsというと、よく取り上げられるのが食品ロスの削減です。日本国内の食品ロスは2019年度の推計値で年間570万t、1人当たり約45kgです。570万tのうち、家庭から出たものが261万t、事業者から出たものが309万tで、事業者のなかでは食品製造と外食が多くを占めます。

推計が始まった2012年度以降で見れば最小値であり、改善傾向にはあります。ただ、「1人当たり年間で約45kg」は1日に引き直すと約124gで、よくお茶わん1杯分に近いと例えられます。卵だとLサイズ2個分。まだかなりの量と言わざるをえません。

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Getty Images

二つのデータから状況を確認していきましょう。

まず、国内のデータです。「食品ロス」は本来ならまだ食べられるのに捨てられた食品のこと。一方、「食品廃棄物」は野菜の芯や魚の骨、貝殻など食べられない部分も含んでいます。食品ロスは食品廃棄物の一部、というのが日本での定義です。

2014年度は、8294万tが食用に利用されました。その結果出てきた食品廃棄物は、事業者からが1953万t、家庭からは822万t(青い棒グラフ)。うち、食べられるのに捨てられた食品ロスは事業者で339万t、家庭では282万tありました(オレンジの棒グラフ)。

グラフ:食品廃棄物と食品ロスの推移(国内)単位:万t

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出所:農林水産省「食品廃棄物等の利用状況等(平成26年度推計)」、「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢<令和3年12月時点版>」、環境省「令和2年度食品廃棄物等の発生抑制及び再生利用の促進の取組に係る実態調査」より筆者作成

事業系は削減目標の達成も視野に

食品ロスには、規格外品、返品、売れ残り、食べ残し、過剰除去、直接廃棄といった形態があります。これを減らすために「食品ロス削減推進法」や、食品リサイクル法の基本方針という政策があり、事業系の食品ロスについては2030年までに273万tまで減らす目標が立てられています。具体的には、生産から小売りに至るまでのバリューチェーン全体での商慣習の見直しや賞味期限の延長といった取り組みが検討・実践されています。

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コンビニエンスストアでは期限切れで廃棄される食品を減らそうと、商品棚の手前にある食品を選ぶ「てまえどり」を呼びかけている(消費者庁提供)

この「273万t」は、2000年度の推計値を半減した数字です。2019年度が309万tですから、あと36万t。2014年度からの5年間で30万t減らしたことを考えると達成できない目標ではありません。この問題への社会的な関心は年々高まっており、さらなる減量も期待できそうです。

食品廃棄物の数値には、大豆ミール(大豆から大豆油を絞った残り)やふすま(小麦粒の外皮や胚芽など)といった飼料や肥料の原材料として売れる有価物と、もともと捨てるしかないと考えられていた事業系廃棄物が含まれます。量で言えば食品ロスより事業系廃棄物のほうが多く、これを有効活用するために「食品リサイクル法」では減量(脱水・乾燥)や再生利用(飼料、肥料、エネルギー化)、熱回収などの方法が示されています。それでも残るものは、焼却・埋め立てに回ります。

スーパーやホテルで出る野菜くずなどを堆肥(たいひ)にし、その堆肥を使った野菜を調理して販売するといった取り組みは、厳密に言えば「食品廃棄物の再生利用」であり、ロスを減らすというよりは、ごみの有効活用でしょう。

日本のデータ、信頼性は「中」

次に、国際的なデータを見てみましょう。

国連環境計画(UNEP)の「Food Waste Index Report 2021」です。食品ロスは、国際的には「food loss and waste」と呼ばれ、ロス(loss)は生産・収穫から小売りの手前まで、廃棄物(waste)は家庭・外食・小売りで出たものと、バリューチェーン上の「どこ」に当たるかで区分されています。

「食べられるか」を基準としている日本国内の定義・区分と異なるのに注意してください。また、2021年度版とあるものの、日本については2014年度の古いデータが使われていることにも留意が必要です。

そのうえで、世界と日本を比較してみましょう。

表:国の所得階層別、食品廃棄物の発生状況

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出所:国連環境計画(UNEP)「Food Waste Index Report 2021」Table 1及びデータベース

日本の食品廃棄(waste)は1人当たり年間64kgとなっており、高所得国のなかでは少ないほうに位置づけられています。

ただ、筆者が気になったのは、「データの信頼性」についての評価です。各セクターで「信頼性高」だった国は、以下のように表にまでして掲載しています。が、日本は推計値が多いという理由で信頼性は「中」にとどまっています。

表:データの信頼性の高い国

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出所:同上報告書のTable 3。順番を地域別に筆者並べ替え

世界3番目の温室効果ガス排出「国」に相当

食品ロスと廃棄物の多くは生ごみで、焼却するには燃料が必要なためCO2が、埋め立てればメタンガスが発生します。また、廃棄されるものを作ったり運んだりする点で、余計なCO2排出にもなっています。

この報告書では「食品ロスと廃棄を『国』に見立てると、世界で3番目に大きな温室効果ガスの排出国になる」と指摘。食品ロスと廃棄物は、処理システムに負荷をかけ、食の安全保障を脅かし、地球規模の気候変動や生物多様性の喪失、大気汚染などの危機を招いている、との警鐘も鳴らしています。「もったいないから、やめようね」だけではすまされない問題であることが、文面からもひしと伝わってきます。

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