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アップサイクルとは? 重要視される理由や事例、簡単アイデアを紹介

アップサイクルとは? 重要視される理由や事例、簡単アイデアを紹介
アップサイクル・リメイク・リサイクルの違い(デザイン・増渕舞)
環境活動家/後藤美里

不要な資源に新たな命を吹き込むアップサイクル。捨ててしまえばただのゴミでも、工夫次第で利益を生み出す可能性を秘め、すでに国内外の多くの企業が実践しています。本記事では、アップサイクルが重要視されている理由を踏まえ、具体的な事例や自分たちでできるおすすめのアイデアをご紹介します。

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後藤美里(ごとう・みさと)
環境活動家。環境問題を解決すべく2013年に啓蒙(けいもう)活動をスタート。国内外をノマドしながら、ゼロウェイストなイベントやワークショップを開催。環境問題やヴィーガニズムについての記事を中心に執筆している。

1.アップサイクルとは

アップサイクルとは「今あるものを利用して別の用途のものに作り替え、付加価値を与えること」を意味する言葉です。

SDGsの17目標の12番目には「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」とあり、企業は地球にやさしい製品づくりを求められています。その活動のひとつが、アップサイクルです。

アップサイクルは、資源の有効活用という観点で、リメイクやリサイクルと何が異なるのか疑問を持たれることがしばしばありますが、次のような違いがあります。

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アップサイクルには、「ダウンサイクル」という、元の製品よりグレードが劣るものに作り替えることを意味する反対語もあります。

上記の古いチラシの例で言えば、溶解して新聞紙や段ボールなどを作ること、空き瓶で言えば、瓶を砕いてグラスウールに使用することがそれにあたります。

2.アップサイクルが重要視される理由

アップサイクルは、海外で認証制度が登場するなど、着実に重要視され始めています。それには、次のような理由があげられます。

(1)2030年までにSDGsのゴールを達成するため

SDGsの目標12「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」は、より少ないものでより多くのものを作ることを目指し、生活の質を向上させるために掲げられました。

現在、世界の人口はおよそ76億人。2050年までには100億人に増えることが予想されています。

人ひとりあたりの消費ペースが同じように続けば、企業は今までのように安定供給を約束できなくなるでしょう。

SDGsの目標12の達成、すなわち地球一つ分の資源を大事に使っていくために、将来のことも考えた生産計画が必要であり、そこでアップサイクルが注目されているのです。

(2)資源の枯渇が現実味を帯びてきているため

今のままでは資源の枯渇を避けられそうにありません。計画的かつ持続可能な方法で使用していかなければ、子や孫の世代の生活はどうなるのでしょうか。

外国の資源に頼ればいいと思うかもしれませんが、限度があるのはどこも同じです。日本でも、すでに多くの金山が採掘量の減少を理由に閉山しており、商業生産をしているのは鹿児島県の菱刈鉱山を残すのみとなりました。資源の枯渇は私たちの身近なところで起きているのです。

(3)企業のアピール材料になるため

SDGsに取り組むことは、もはや当たり前となっています。株主は企業が生み出す利益だけでなく、時代に即した運営方法にも興味津々です。消費者側の意識も向上しており、エコな消費をしようという流れが到来しています。

米国においては、アップサイクル食品協会(UFA)が、アップサイクル食品や材料の認証を開始しました。消費者の知りたい気持ちをかなえられる上、宣伝効果もあるとあって、徐々に広まっています。

3.アップサイクルに取り組んでいる企業の事例

資源の量には限りがあるにもかかわらず、人々の消費は激増しています。世界的な人口増加も手伝って、需要と供給がアンバランスになる事態が多発しているのが今の世界です。

この現状を打開しようと、すでに様々な企業や団体がアップサイクルを始めており、捨てるはずだったものを活用して収益につなげています。ここでは国内外の事例を三つずつ紹介します。

(1)海外の企業

事例1. The Ugly Company

The Ugly Companyはカリフォルニアで4代続く農園によって、2018年に創立されました。農園では果物やナッツ類など、多品目を育てています。

しかし見た目が良くないものは廃棄せざるを得ません。そこで、同社は食品ロスを防ぐべく、ちょっとブサイクな規格外品をドライフルーツに加工する事業を始めました。

2021年には米国のハイエンド向けスーパーマーケットのWholefoodsにより「Top 10 trending brand」に見事選出。農園の「困った」と、エシカル消費をしたい顧客のニーズがうまくマッチした結果です。

日本でも食品ロスは深刻な問題で、2019年度には309万tの食品が事業活動の中で捨てられています(参考:食品ロスとは│農林水産省)。食品を賢く利用すれば、農家の収入増や地域の雇用確保につながります。

事例2.Upcycle Berlin

エコ先進国ドイツの首都にあるUpcycle Berlinは、建設現場で余った木材を買い取り、木製家具を作っています。

大抵の会社はお金を出して端材を処分しています。木を育てるには何十年もの月日が必要なのに、燃やされてしまうのです。

木材は焼却すれば灰になりますが、手を加えれば素敵なテーブルやベッドなどの商品に生まれ変わります。建築会社と職人には利益が入り、消費者はエシカルな生活を送れる満足感すら味わえます。

ドイツの人々は環境に対する意識が高く、エコなものを長く使いたいと思っています。

すでに世界の森林は縮小傾向にあり、気候変動による森林火災は日常茶飯事。貴重な木々を無駄にしている場合ではありません。廃材は都市の中で得られる資源です。必要としている人に上手に橋渡ししてあげれば、ゴミは宝に変わります。

事例3.Seenons

Seenonsは企業の廃棄物を回収するアプリを開発した、オランダのスタートアップです。地域のサーキュラーエコノミーを円滑にすべく2019年に設立され、2021年には600万ユーロの資金調達を完了しています。

これまで事業所は、廃棄物を処分するために費用を負担してきました。しかし、本当はそのゴミがほしい人がいるかもしれません。

同社は生ゴミや古紙などを品目ごとに回収し、必要にしている人とマッチングさせています。コーヒーかすはエリンギの栽培に役立ち、要らないパンからはビールだって作れます。

焼却処分せずに誰かに譲ることにより、新たな経済が生まれる。循環型社会はこうして始まっていくのです。

(2)日本の企業

事例1.大阪府民環境会議

環境NPOの大阪府民環境会議は 「マコモダケプロジェクト」を通して、地域の農業支援をしています。

マコモダケは茎の部分を食べる野菜で、農薬を使わなくても作りやすいのが特徴です。同プロジェクトでは捨てられがちな葉の部分を活用し、お茶やナチュラルなスキンケアグッズなどに加工。元は廃棄されていた葉に、無農薬という付加価値をつけて生まれ変わらせています。

自然を壊さずアップサイクルを始められている、まねしたい例の一つです。

事例2.大阪中津の関係案内所「なかつもり」

2022年春に本格始動する「なかつもり」は、アップサイクルを活性化するメディアの発信や、まちづくりの拠点を目指しています。

オフィスは大阪駅から徒歩圏内、レトロなアパートを改築したクリエーター向けテナント「UPCYCLE中津荘」内にあります。こちらはアップサイクルがテーマのテナントが入居可能で、サステイナブルなビジネスをしたい人たちが集まる予定です。

中津のある大阪駅の北側は、うめきた2期開発の真っ最中。緑ある街づくりが進められています。自宅で育てたホップを持ち寄る住民参加型ブリュワリーもあり、人との交流が欠かせない社会派ビジネスにぴったりのエリアです。

相談できる人や、同じ思いを持った同志たちがすぐそこにいる環境は、未来を担う起業家にとって心強いのではないでしょうか。

事例3.イメージコネクト合同会社

イメージコネクト合同会社は、東京と函館の2拠点で、住にまつわる事業を手がける企業です。函館では大正時代の洋館をリノベーションしたビルの中で、コワーキングスペースを運営しています。

また、地域の物件の改築事業にも携わっており、レトロな建物に再び命を吹き込んで街を活性化させています。一度は人が去った物件にあかりがともり、街ゆく人々の笑顔が増えていく。素敵な連鎖が起こっています。

SDGsの11番目のゴールは「住み続けられるまちづくりを」です。

リノベーション住宅は、建て替えと比べCO2排出量を33分の1に抑えられ、資材の使用も少量で済みます(参考: リノベーションとは│リノベーション協議会)。今ある物件を上手に生かすことにより、街の魅力を更に高めながら、サステイナブルな地域開発が可能となるのです。

4.アップサイクルが簡単にできるおすすめアイデア3選

ビジネスだけでなく、家庭でもできるアップサイクルはたくさんあります。以下のアイデアは、特別な工具がなくても実践可能です。難しい手順はありませんので、ぜひ試してみてください。

(1)コーヒーかすを消臭剤に

コーヒーを入れたあとに残るコーヒーかすは、しっかり乾燥してからコーヒーフィルターや綿の袋に入れれば、消臭剤に変身します。げた箱や玄関に置いておくと嫌な臭いを吸収してくれ、要らなくなったら、家庭菜園の肥料としても使えます。

乾かしてから使わないとカビが生える原因になるので、天日干しで水気を飛ばしてから使いましょう。

(2)アボカドで草木染

アボカドは皮と種を煮込むとピンクの色素が出てきます。安全な草木染ができるので、ご家庭で試してみては。

染め方は簡単。皮とスライスした種とを鍋に入れ、ぐつぐつ30分ほど煮込みます。火を止めてザルでこし、染液と綿の布を鍋に入れて小一時間煮込みましょう。

火から下ろして一晩放置しておくと、翌日にはやさしいピンク色になります。色落ちを防ぎたいときは、ミョウバンを使いましょう。

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アボカドを使った草木染の例(筆者撮影)

(3)使い捨てカップをプランターに

ドリンクをテイクアウトすると、手元に残る使い捨てカップ。捨てる前にプチDIYしてみませんか。カップの底に小さな穴をいくつかあけて土を入れれば、小さいプランターに早変わりします。

バジルのような根詰まりしやすい植物を育てる場合は、少し大きくなった段階で、より広いスペースに移し替えてあげましょう。

5.アップサイクルの必要性は高まるばかり

日々進化を続けているアップサイクル。すでにいろいろな企業が商品開発に取り組んでおり、事業を拡大しています。

アップサイクルは温暖化対策のみならず、ゴミの廃棄費用を抑えるのにも有効です。先例を参考に、挑戦してみてはいかがでしょうか。

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