【3/16更新】ウクライナ危機、私たちにできる支援の「アクション」は?

2月下旬に始まったロシアによるウクライナへの侵攻は、「平和と公正」を掲げるSDGsの達成を危うくしている。私たちにできる支援のアクションにはどんなものがあるのだろうか。寄付先などの情報をまとめた。(最終更新:2020.3.16 今後の情報の変化に応じて、随時更新する予定です)
ウクライナ危機とSDGs
SDGsでは、目標16に「平和と公正をすべての人に」があり、そのなかのターゲット16.1で「あらゆる場所において、すべての形態の暴力及び暴力に関連する死亡率を大幅に減少させる」ことが掲げられている。

ウクライナ侵攻は、目標16だけでなく貧困(目標1)や飢餓(目標2)など、SDGsのほかの目標にも関連する。ロシアは、温室効果ガスの排出量が比較的少ない天然ガスの輸出大国であり、各国の気候変動対策(目標13)の達成にも影響するおそれがある。
国内の市民団体やNGO、NPOでつくる一般社団法人SDGs市民社会ネットワークは2月25日、共同代表理事の大橋正明氏・三輪敦子氏の連名で、「武力紛争は、あらゆる命、人権、環境、社会、経済にとって最大の脅威です。SDGsを逆行させ、達成を不可能にします」などとする緊急声明を発表した。
寄付できる先は?
ウクライナの人々を支援するための寄付を受け付ける、主な団体・企業をまとめた。
日本赤十字社
日本赤十字社は、赤十字国際委員会などがおこなうウクライナでの人道危機対応や、避難民を受け入れる周辺国などの救援活動を支援する「ウクライナ人道危機救援金」を、5月31日まで受け付けている。
また、民間人や民用物を攻撃の対象としないことなど、紛争下で守るべきルールである「国際人道法」についても知ってほしいと訴えている。国際部担当者は「多くの人が国際人道法について知り、支持することが、紛争当事者にその順守を促し、民間人を守ることにつながる」とコメントした。
国連難民高等弁務官事務所
国連の難民支援機関・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の支援窓口である国連UNHCR協会によると、3月15日現在で300万人以上が、ウクライナから隣国のポーランドやハンガリー、ルーマニア、モルドバに避難を強いられている。人道支援が急務だとして寄付を呼びかけている。

国連世界食糧計画
国連世界食糧計画(WFP)は、ウクライナ国内や近隣諸国へ避難している人々への緊急食料支援を始め、寄付も受け付けている。デイビッド・ビーズリー事務局長は2月24日の声明で、「紛争による食料安全保障に対する影響はウクライナ国内にとどまらず、特に最も貧しい人びとに及ぶとみられている。黒海沿岸地域からの穀物の流れが妨げられれば、価格の高騰につながる」と警鐘を鳴らした。
セーブ・ザ・チルドレン
国際NGOセーブ・ザ・チルドレンの日本拠点、公益社団法人セーブ・ザ・チルドレンは、「ウクライナ危機 緊急子ども支援」への寄付を訴えている。ウクライナ国内で深刻な危険にさらされている子どもや家族350万人に支援を届けるため、世界で1900万米ドル(約21億円)の寄付を呼びかけている。
また連日、危機に関するニュースが流れるなか、「子どもと戦争について話すときの5つのポイント」を心理の専門家とともにまとめて公表している。
楽天グループ
楽天グループは、2月28日から3月末まで、「ウクライナ人道危機 緊急支援募金」を受け付けている。ウクライナ政府や公益財団法人日本ユニセフ協会などへ寄付し、楽天ポイントでの募金も可能。3月16日午前9時時点で54万件あまり、総額9億3000万円超が寄せられたと明らかにしている。楽天グループは、三木谷浩史会長兼社長が個人でウクライナ政府に10億円寄付したことで注目を集めた。
ソフトバンク
ソフトバンクは、3月4日から31日まで「ウクライナ支援緊急募金プロジェクト」をおこなうと発表した。寄付金は日本赤十字社を通して赤十字国際委員会などに届けられる。ソフトバンクのスマートフォン契約者は、寄付金を携帯料金と一緒に支払うことができる。
在日ウクライナ大使館
在日ウクライナ大使館の公式ツイッターアカウント(@UKRinJPN)も寄付用の銀行口座を公表している。
ウクライナを応援したい方々用に、寄付金を送金できる銀口口座の詳細を更新いたします。以下になります。
— 在日ウクライナ大使館 (@UKRinJPN) February 25, 2022
三菱UFJ 銀行
広尾支店 047
普通
口座番号0972597
エンバシーオブウクライナ
ご応援、どうもありがとうございます。
寄付以外の支援も
ZOZO、支援Tシャツ発売
ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOは、売り上げの全額を寄付する「ウクライナ人道支援チャリティーTシャツ」の予約販売を2月28日から3月14日まで受け付けた。デザインは、ウクライナの人々に親しまれているひまわりや、「希望」「前進」の花言葉があるガーベラの花をあしらった。販売枚数は14万453枚、寄付金額にして2億8000万円超になり、特定非営利活動法人ADRA Japan(アドラ・ジャパン)に寄付されるという。


ウクライナからの避難民受け入れへ署名活動
難民支援NPOのメンバーらでつくる「日本からウクライナを想う市民の会」は、ウクライナからの避難民を柔軟に受け入れるよう政府に求める署名活動を3月1日から始めた。署名の目標は10万人で、3月11日時点で5万人超が集まっているという。「日本にいるウクライナ人の家族呼び寄せ」「『難民』としての法的地位、及び、超法規的な枠組みでの迅速な保護の実施」「国費外国人留学生制度の拡充」など7点を提案している。
ひまわりの絵を描くSNSプロジェクト
ひまわりの絵を描いてSNSに投稿しよう――。そんなプロジェクトもある。呼びかけるのは、ウクライナのキエフ国立大学への留学経験がある東京外国語大学4年の山﨑有紗さん。ひまわりの絵をFacebookやInstagram、Twitterなどに投稿し、その際、「#PrayForUkraine」「#SunflowerFromJapan」の二つのハッシュタグをつけることを提案している。
山﨑さんは自身のnoteに、「日本中から、『私たちはウクライナの人々が心穏やかに過ごせることを祈っている』というメッセージを伝えられたらと願っています」と記している。
3月16日午後7時からは、NPO法人WELgee代表の渡部カンコロンゴ清花さんと山﨑さんによるオンライン対談もある(事前申し込みが必要)。
知ることが第一歩
朝日新聞デジタルの「国際・外交タイムライン」では、ウクライナ国内の情勢や各国政府の動向などをリアルタイムで紹介している。
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