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ワーケーションの現場を歩く シラハマキーテラス ホテルシーモア(和歌山県白浜町)

ワーケーションの現場を歩く シラハマキーテラス ホテルシーモア(和歌山県白浜町)
和歌山県白浜町のシラハマキーテラス ホテルシーモア

地方自治体が注目するワーケーション。全国各地にさまざまな施設が整備されている。実際に、どんな取り組みをしているのか。先進地・和歌山県の白浜町でワーケーション顧客を受け入れているホテルを訪ねてみた。(編集部・滝沢文那)

団体客ねらいから個人客重視に

訪れたのは、宿泊施設とワークスペースの両方に登録されている白浜町の「シラハマキーテラス ホテルシーモア」。玄関を入ると太平洋を見下ろす開放的なロビー。先にあるデッキには、大きな足湯がしつらえてある。

ラウンジやテラス席には、ノートパソコンやタブレットに向かう人たちの姿が――。商談や打ち合わせをしている人もいるようだ。カフェを併設したパン屋もあり、1階部分全体が宿泊客以外の人も含め、立ち寄って休んだり、仕事をこなしたりできるスペースになっている。

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1階のラウンジスペース

こうした光景は、かつて白浜のホテルではほとんど見られなかったという。ホテルを運営する株式会社白浜館営業部次長の松平哲也さんによると「もともと白浜は、団体客向けに特化した宿が多く、シーモアもそうでした。そうした宿は、喫茶や売店も含め、宿泊客以外の利用はお断りするのが普通でした」

だが、バブルの崩壊とともに、団体旅行の需要は全国的に減少の一途をたどった。1泊2食付きが基本だったが、素泊まりの需要も増えた。

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足湯の前で話す白浜館営業部次長の松平哲也さん

2017年から2018年にかけて耐震工事で大規模な改修を行った際に、大きく宿のあり方を変えることにしたのだという。一部を宿泊客以外にも開放し、「以前は断っていた」という一人旅も積極的に受け入れることになった。

ビジネス需要対応で長期滞在施設も

そのタイミングに、ワーケーションの機運の高まりが重なった。「ワーケーションは、個人での宿泊が前提になります。そこも意識しながら、宿の仕組みを変えていきました」。団体客に一斉に食事を出すことに特化した設備や仕組みを転換し、自由に食事が取れるようにレストランを併設。人員配置も変えた。

ワーケーションでも使えるビジネスルームも作った。9席あり、パソコンやプリンターを備える。海を正面に眺められるロケーションにこだわった。

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ビジネスルーム

ホテルの隣にあった企業の保養所を改装して2019年にオープンしたのが、長期滞在用の「シーモアレジデンス」だ。3階建てが2棟あり、計50室。客室はすべて個室で18~27㎡の広さがあり、Wi-Fiを整備したのはもちろん、デジタル機器の使用が多いことを見込み、コンセントも大幅に増設したという。

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シーモアレジデンスの外観

1人から利用可能だが、1棟貸し切りもできる。共同のセルフキッチンのほか、屋外には大勢で楽しめるバーベキューの設備も。「コロナ禍を契機に、企業でもチームワークやコミュニケーションが課題になっています。感染拡大が収束した後は、グループでの利用にも期待しています」と松平さん。

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シーモアレジデンスのリビングスペース

ポストコロナが正念場か

全国の宿が利用できる定額制の宿泊サービスにも登録している。新型コロナの感染拡大が落ち着いた時期には、月間数十件の利用があった。長期滞在施設はワーケーションと親和性が高いサービスでもあり、松平さんは、需要が高まっているとみる。「コロナ禍で観光が難しいなかでも、ビジネスに関わる宿泊には根強い需要があります。ワーケーションでの利用も一定程度あるというのが実感です」。今後は、法人向けの営業も強化していく方針だ。

ただ、「コロナ禍の収束後、テレワークがどの程度継続するのか、わからない部分がある」という。「遊びと仕事をきっちりわけてきた文化が変わっていく必要もあると思います。労務管理であるとか、交通費をどうするかという経理上の問題などを、制度的に解決してもらうことでしょうか」

オミクロン変異株による感染が拡大したことで、研修や合宿も含めて企業が関わるワーケーションには2022年春現在、ブレーキがかかった状態だ。松平さんも、ポストコロナに向けて、企業での利用がもっと進むかどうかに注視しているという。

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