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グリーンウォッシュとは?問題点や事例、規制、すぐできる対策を解説

グリーンウォッシュとは?問題点や事例、規制、すぐできる対策を解説
グリーンウォッシュの問題点と対策方法(デザイン:増渕舞)
環境活動家/後藤美里

グリーンウォッシュとは、本当は地球にやさしくない商品やサービスを、あたかも良さそうに見せかけることです。あしき慣行であり、海外ではすでに処罰を受けている企業もあります。この記事では、言葉の意味や規制の有無、だまされないための方法などを説明していきます。

後藤美里さん
後藤美里(ごとう・みさと)
環境活動家。環境問題を解決すべく2013年に啓蒙(けいもう)活動をスタート。国内外をノマドしながら、ゼロウェイストなイベントやワークショップを開催。環境問題やヴィーガニズムについての記事を中心に執筆している。

1.グリーンウォッシュとは

グリーンウォッシュとは、エコをイメージさせる「グリーン」と「ホワイトウォッシュ」(ごまかす、うわべを繕う)を組み合わせた言葉で、消費者の誤解を招く表現を用いて、「この商品やサービスは環境に良い」と思わせるビジネス戦略です。

環境に配慮することが大事と考えている人なら、例えばナチュラルなデザインのパッケージに「パームオイル不使用だからエコ」と書いてある商品があると、喜んで買う人が多いでしょう。

ただ、それが本当にエコなのかどうか、具体的な根拠をきちんと求める人はそれほど多くはありません。グリーンウォッシュは、そうした消費者の行動を悪用して、サステイナブル(持続可能)とは程遠い製品を、言葉巧みに売る戦略を指しています。

最近では、グリーンウォッシュと同じように、消費者の誤解を招く表現を用いて、「この企業はSDGsに積極的に取り組んでいる」「この商品やサービスはSDGsの達成に貢献している」と思わせることを指す、「SDGsウォッシュ」という言葉も使われて始めています。

(1)グリーンウォッシュの七つの罪

消費者を欺くグリーンウォッシュは、七つに分けることができるとされています。アメリカの第三者安全科学機関・ULが公表している「the Seven Sins of Greenwashing」(グリーンウォッシュの七つの罪)を紹介します。皆さんも該当するものを目にした経験があるはずです。

1 トレードオフ隠蔽(いんぺい)の罪 全てにおいて環境に配慮しているわけではないのに、そう見せかける
2 証拠がないことの罪 何がどう環境にやさしいのか、その根拠を証明しない
3 あいまいさの罪 人によって捉え方が違うような、どっちつかずの表現をする
4 誤ったラベル表示の罪 第三者機関から環境に対する配慮を評価されているように偽装する
5 不適切さの罪 明らかなうそではないが、消費者にとって役に立たない主張をする
6 どんぐりの背比べな罪 他の悪いものと比べてマシな方を、あたかも良いもののように見せる
7 うそをつく罪 軽微であろうがなかろうが、虚偽の主張をする

(参考:UL「Sins of Greenwashing」

(2)グリーンウォッシュの問題点

では、グリーンウォッシュは、具体的に何が問題なのでしょうか。筆者は、主に次の三つがあると考えています。

①無意識に環境破壊を進めてしまう

グリーンウォッシュの怖いところは、消費者が無意識に環境破壊に加担することになってしまう点です。

例えば、プレゼントでよくもらうナイロン製エコバッグは、レジ袋の削減につながるものです。一方、洗濯するとマイクロプラスチックが海に流れてしまいます。

マイクロプラスチックとは、一つ5mm以下のプラスチック片のことです。合成繊維の服やバッグを洗うと、微細な糸くずがたくさん発生します。下水処理場で完璧に処理することは困難で、いくらかは海に流れ出てしまうのです。そうして汚染された海に生息する魚を私たちが食べることで、健康被害が生じる可能性も指摘されています。

では、コットン製なら良いのでしょうか。WWF(世界自然保護基金)によると、世界で使われている殺虫剤の16%は綿花栽培に使用されています(参照:コットンって環境に悪い?サステナブルファッション視点でのコットンの生産と利用|WWFジャパン)。天然素材だからといって、地球に害がないわけではないのです。

②SDGsのゴール達成の足かせになる

日本は2050年までのカーボンニュートラルを目指しています。

カーボンニュートラルとは、人為的要因により放出される温室効果ガスの量と、植林や森林管理などによる吸収量の差を、実質ゼロにするというものです。SDGsのゴール7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」とゴール13「気候変動に具体的な対策を」に直接関わる重要な施策です。

すでに各セクターでさまざまな取り組みが実施されていますが、目標達成は容易ではありません。2020年度の日本の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で11億5000万トンで、「排出実質ゼロ」の実現には高い壁があります(参照:2020年度温室効果ガス排出量(確報値)概要|環境省)。

このような状況のなかで、名ばかりの取り組みで消費者を欺いていては、ゴールが遠のいてしまいます。

SDGsは、達成できなくても罰則はありません。しかし、世界各国が威信をかけてCO2やメタンガス削減のため努力しているのに、先進国である日本が失敗してしまったら、国際的な評価はガタ落ちしてしまうでしょう。

③投資家から見放される原因になる

グリーンウォッシュは、企業側にもリスクがあります。気候変動に対する意識が高まるにつれ、投資家はESGに関心を寄せるようになりました。彼らは環境や社会に配慮した企業運営を要求しており、グリーンウォッシュを懸念事項の一つと考えています。

世界のサステイナブル投資資産は増える一方です。Global Sustainable Investment Alliance(GSIA)によると、2016年時点では22.8兆ドル規模だったのに対し、2020年には35.3兆ドルに達しました(参照:GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW 2020 p.9|GSIA)。

投資を集めるためには、真摯(しんし)で正直な姿勢が必要です。人をだますようなことをしていては、ステークホルダーからの信頼を失い、事業運営に致命的なダメージを負いかねません。

(3)グリーンウォッシュの事例

アディダスは2021年、「スタンスミス」というスニーカーの広告に「50%リサイクル」という文言を表示しました。これに対しフランスの広告自主規制団体・ARPPは「曖昧で消費者を誤認識させてしまう」という理由から、この広告が倫理に反していると指摘しました。後にアディダスは、明確で誤解を招かない文言を追記することとなりました。

また、マクドナルドは2019年、イギリスでプラスチックゴミ削減のためストローを紙製に切り替えました。しかし、その紙製ストローをリサイクルしていなかったことが問題視されました。素晴らしい試みに聞こえるものでも、実は正反対のことが起きているかもしれない……と一歩立ち止まって考えることの大切さがわかる一例です。

2.グリーンウォッシュに関する規制

このようなグリーンウォッシュに対して、市場の混乱を防ぐため、すでに規制を設けている国もあります。いくつかご紹介しましょう。

(1)海外の場合

①イギリス

2021年9月、イギリスの競争・市場庁は、「グリーン・クレーム・コード」と呼ばれるガイドラインを制定しました。これは、企業が消費者保護法に基づく義務を理解し、順守するよう後押しする目的があります。

1. 誠実かつ正確であること
2. メッセージや認証情報は明確にすること
3. 重要な情報を省いたり隠したりしないこと
4. 公正で意味のある比較のみを行うこと
5. 製品のライフサイクル全体を考慮すること
6. 最新かつ信頼できる証拠で立証できること
(参照:Green Claims Code - get your green claims right|HM Government
「グリーン・クレーム・コード」を紹介するイギリス政府のウェブサイト
「グリーン・クレーム・コード」を紹介するイギリス政府のウェブサイト

②フランス

2021年8月、フランスは消費者コードを改正し、企業がグリーンウォッシュをした場合、キャンペーン費用の最大80%が罰金として科されることになりました。

(2)日本の場合

日本の場合、これといった基準はまだありません。ただ、あまりに倫理に反することをすれば、キャンセルカルチャー(不買運動)の標的にされる可能性があります。

3.グリーンウォッシュにだまされないようにするためには?

消費者がグリーンウォッシュにだまされないようにするためには、消費者も努力をする必要があります。よくできた広告やラベルに惑わされないように、ためになるアドバイスを二つお伝えします。

(1)クリティカルシンキングを身につける

サステイナブル先進国が連なる西欧では、批判的に物事を考えることが当たり前です。メディアだけでなく、先生や年長者の発言さえも、うのみにしないよう教育されます。

これは、第2次世界大戦の失敗を繰り返さないためです。当時、ナチス・ドイツはメディアを巧みに利用しました。そうして人々を操ることに成功し、大量虐殺が正当化されてしまったのです。

自分の思考回路を活用せず、人の言うことを全て信じるのは危険な行為です。世界の皆が正しい発言をしているわけではありません。企業の商品やサービスの広告も、基本的には良いことしか書かれていません。

今は便利なインターネットがありますから、さまざまな媒体の情報を比較して、自分で内容を精査してみましょう。

(2)企業に直接、疑問をぶつけてみる

筆者が以前見た海外のテレビ番組に、疑わしいラベルを見つけては生産者に連絡し、根拠の説明を求めるというものがありました。率直に説明する人もいれば、無言を貫く人もいて、ここまで反応が違うものなんだなと驚いた記憶があります。

企業の商品やサービス、取り組みに対して疑問を持ったら、やはり企業へ直接問い合わせるのが有効です。

問い合わせをするのは勇気がいるかもしれませんが、最近はチャットボットを導入している会社がたくさんあります。人に聞きづらいことでも、ロボットになら素直に話せるはずです。

4.グリーンウォッシュに対して企業に求められること

グリーンウォッシュはしてはならない行為であり、企業はそれを肝に銘じて事業を運営していく必要があります。

ただ、消費者同様、グリーンウォッシュをしているつもりはなくても、知らずしらずのうちに加担していた……というケースもなくはありません。

そこで、まずはグリーンウォッシュの過去の事例や、先を行くEU(欧州連合)圏の規制などを積極的に学んでいきましょう。

事例や規制を学んだら、次に自社の商品やサービスがどれだけ環境に対して影響を与えているのかチェックしてみましょう。環境のために新しく実施する取り組みに対しても同様です。すでに取り組んでいる場合は、実施前と比較して、環境負荷の度合いを確かめるのも重要になります。

また、これまで使っていたキャッチコピーに問題がなかったかもチェックしてみてください。一部の消費者にアンケートを取り、どのような印象を持っているのかヒアリングするのも有効です。その結果をもとに、今後トラブルにならないように、キャッチコピーの作成ルールを作り、従業員間で共有するのもよいでしょう。

5.自分の身は自分で守ろう

企業が意図せず行っている場合もあるくらいですから、消費者側がグリーンウォッシュに気づくのは至難の業です。エシカル、サステイナブル、ヴィーガンなど、詳細は知らないけど良さそうな言葉を見かけたときは、積極的に信憑(しんぴょう)性を確かめてみましょう。

自ら考えることは、正しい情報を見極めるスキル向上に役立ちます。受け身な消費者から脱却し、自分のためになる買い物ができるようになると良いですね。

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