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サーキュラーエコノミーとは 3原則や3Rとの違い、取り組み例を紹介

サーキュラーエコノミーとは 3原則や3Rとの違い、取り組み例を紹介
サーキュラーエコノミーの3原則と3Rとの違い(デザイン:吉田咲雪)
サステイナビリティー分野専門ライター/佐藤みず紀

サーキュラーエコノミーは「循環型経済」を意味します。大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした従来の経済システムに代わる新たな考え方として注目されています。本記事では3Rとの違いやSDGsとの関係性を整理しながら、企業の取り組み事例を交え、サーキュラーエコノミーについて説明します。

佐藤みず紀さん
佐藤みず紀(さとう・みずき)
大手自動車リース会社の法人営業、広報、CSR担当を経て、退職後サステイナビリティー分野を専門とするフリーランスライターに転身。現在はおもにESG/SDGsに特化した非財務データプラットフォームを提供するサステナブル・ラボのパートナーライターとして鋭意活動中。2019年からスペイン在住。

1.サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)とは、日本語で「循環型経済」と呼ばれる経済システムを表す言葉です。経済活動においてモノやサービスを生み出す段階から、リサイクル・再利用を前提に設計するとともに、できる限り新たな資源の投入量や消費量を抑えることで既存のモノをムダにせず、その価値を最大限に生かす循環型のしくみを表します。

気候変動、生物多様性の損失、汚染、廃棄物、資源不足などが地球規模で喫緊の課題となるなか、サーキュラーエコノミーの重要性が認識されるようになり、世界的に注目度が高まっています。

(1)サーキュラーエコノミーの3原則

これまでは「生産→使用→廃棄」という一方通行の経済活動が主流でした。これは、製品使用後やサービス利用後に大量の廃棄物が発生することまで考慮されていないリニアエコノミー(Linear Economy・直線型経済)と言われます。採掘できる天然資源の量や、廃棄物の処理能力には限りがあるので、このスタイルの経済活動は長期的には持続不可能です。

英国を本拠地として国際的に活動するサーキュラーエコノミー推進団体、エレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミー(Circular Economy・循環型経済)の3原則として以下を掲げています。

1. 廃棄物と汚染を生み出さないこと
    Eliminate waste and pollution
2. 製品や素材を(高い価値の状態のまま)流通・循環させ続けること
    Circulate products and materials(at their highest value)
3. 自然を再生させること
    Regenerate nature
What is a circular economy?|The Ellen MacArthur Foundationより筆者訳)

経済活動のなかで資源を循環させるため、製品やサービスを世に放つ前の設計段階からその生涯をデザインする▼自然の再生を目指し、製品としての寿命(価値)ができるだけ長くなるようにメンテナンスや修理する▼製品としての役目を終えたあともごみにならないように次の用途や再資源化の活路をあらかじめ用意しておく――といったことがポイントになります。

(2)リデュース・リユース・リサイクルとの違い

このようなサーキュラーエコノミーに対して、「3Rとは何が違うのか」という疑問を持たれることがしばしばあります。

3Rはリデュース(Reduce・ごみを減らす)、リユース(Reuse・ごみにしないで繰り返し使う、不要なモノを譲り合う)、リサイクル(Recycle・ごみを資源として再利用する)の三つのRの総称です。2004年に開催された主要8カ国首脳会議(G8サミット)では、小泉純一郎首相(当時)が3Rを通じて循環型社会の構築を目指す「3Rイニシアティブ」を提案し、G8首脳の賛同を得ました。

3Rが主流だった時代は、現代の人間活動においてごみは必ず発生するものという考えが前提にありました。そのため、3Rは「ごみ問題をどうするか?」という問いに対する解決策として提示されています。

サーキュラーエコノミーの考え方では、そもそも設計段階から廃棄物(ごみ)を出さないように製品やサービスをデザインします。また経済価値を生み出す活動での資源投入量を抑えようとしている点も重要なポイントです。それらの点が3Rとの大きな違いと言えるでしょう。

(3)サーキュラーエコノミーとSDGsとの関係性

サーキュラーエコノミーは、2015年に国連が採択した国際目標「SDGs(持続可能な開発目標)」とも関連性があります。

はじめに整理しておきたいのは、SDGsは「目標(ゴール)」であり、サーキュラーエコノミーは「経済システム」であるということ。サーキュラーエコノミーは、SDGsという目標を達成する手段のひとつと考えることができます。

また、SDGsが目標達成年を2030年に設定しているのに対し、サーキュラーエコノミーは一部の国を除いてまだ目標や期限は設けられていません。この点を考慮しながら、サーキュラーエコノミーとSDGsの関係性を見てみましょう。

・SDGs目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」

目標9のターゲットには「9.4 資源利⽤効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導⼊拡⼤により持続可能性を向上させる」があります。資源利用効率向上は、サーキュラーエコノミー実現の基盤です。

目標9アイコン

・SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」

目標12は、SDGsの中でもとくにサーキュラーエコノミーと関連が深い項目です。目標12のターゲットには「12.2 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利⽤を達成する」「12.5 廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」などが設定されています。これらはサーキュラーエコノミーが大きく貢献できる指標です。

目標12アイコン

・SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」

目標15は「陸域⽣態系の保護、回復、持続可能な利⽤の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに⼟地の劣化の阻⽌・回復及び⽣物多様性の損失を阻⽌する」という内容です。サーキュラーエコノミーの3原則のひとつ「自然を再生させる」と共通しています。

目標15アイコン

このように、サーキュラーエコノミーの実現を目指すなかで関わってくるSDGs目標は、多岐にわたります。

2.サーキュラーエコノミーの企業事例

それでは、実際にサーキュラーエコノミーに取り組む企業の事例にはどのようなものがあるのか、ご紹介します。

(1)海外企業の事例

①自分のものにならない100%リサイクル可能なスニーカー「on(オン)」

スイス生まれのスニーカーブランド「on(オン)」は、使い古されたランニングシューズを回収し、素材を100%リサイクルする取り組み「Cyclon」を2022年夏にスタートする予定です。このシューズに使われる素材は二つだけで、どちらも同じ素材群に属するためすべて一緒にリサイクルすることが可能です。

この取り組みに賛同するランナーは、onのサブスクリプションサービスに登録します。すると新しいシューズが6カ月ごとに届き、古くなったシューズは届いたバッグに入れてそのまま返却するというしくみです。返却されたシューズは洗浄や粉砕などの工程を経て、新しい素材へと生まれ変わります。

②ごみを生まれ変わらせるファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」

スペインのマドリードで誕生したファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」は、タイヤ、ペットボトル、漁網など、だれもがごみとして見過ごしてきたものを再生可能な資源と捉え、独自のリサイクル技術で服の素材に生まれ変わらせています。

たとえリサイクル素材であっても、魅力的なデザインと着心地の良さはファッションに欠かせないというのがポリシーで、「Because there is no planet B(地球に替わる惑星はないのだから)」を合言葉に、100%サーキュラーエコノミー企業になることを目指しています。

またECOALFは、漁師たちと協力して自ら海洋ごみを回収、海の環境を破壊するごみを海底から取り除く活動も行っています。2019年からは日本でも三陽商会を通じてブランド展開しています。

(2)日本企業の事例

①使用済みプラ再資源化で日本企業が手を取りあう「アールプラスジャパン」

アールプラスジャパンは、使用済みプラスチックの再資源化に取り組む共同出資会社で、12社(サントリーMONOZUKURIエキスパート、東洋紡など)によって2020年に設立されました。米国のバイオ化学ベンチャー企業アネロテック社(Anellotech Inc.)とともに環境負荷の少ないプラスチック再資源化技術開発を進めています。

2022年2月時点で参画企業は30社以上。原料メーカー、容器・梱包(こんぽう)製造、飲料・食品メーカー、商社など、業界の垣根を超えた提携で、サーキュラーエコノミーへの移行を目指しています。

②自動車の循環性を高めるメンテナンスリースに注力「住友三井オートサービス」

住友三井オートサービスは、企業や個人に車を長期的にリース(貸与)する事業を行う会社です。ただ単に車を貸すだけでなく、車のメンテナンスを適切に行うサービスを付与した「メンテナンスリース」を通じて、車の価値をより長く維持することに力を入れています。

車は使用期間中にメンテナンスが適切にされていたかや事故歴の有無などによって、中古市場での価値が変わります。そのため、定期的なメンテナンス実施とその記録はとくに重要です。以前、筆者が在籍していた際も、しっかり点検実施管理することは全社的な注力事項でした。加えて、故障修理時に使用する部品をできる限り再生部品(中古・リビルト部品)にするなど、細部にわたり資源循環・省資源化に配慮しています。

また、同社の取り組みのような「リース方式によるメンテナンスまで含めた製品の有効活用」は、後述の経済産業省「循環経済ビジョン2020」の中でも循環性の高いビジネスモデルとして紹介されています。

このビジネスモデル自体は真新しいものではありませんが、同社は特にサステイナビリティーに注力しており、車資源の再循環性を高めるためにメンテナンスリース比率の目標を毎年掲げ、その進捗(しんちょく)を「サステナビリティレポート」上で公開。2021年3月末時点のメンテナンスリース比率は75.5%となっています(参照:サステナビリティレポート2021|住友三井オートサービス)。

3.サーキュラーエコノミーが注目されている理由

これまでご紹介した企業のほかにも、海外・日本のさまざまな企業がサーキュラーエコノミーに取り組みはじめています。

また、循環型経済モデルの実現支援を行うコンサルティング企業アクセンチュアによれば、2030年までにサーキュラーエコノミーは全世界で4兆5000億ドル(約590兆円)の経済価値を生み出すとされています(参照:サーキュラー・エコノミー:再生の循環による新成長戦略|アクセンチュア)。

サーキュラーエコノミーがどのような理由で注目されているのか説明します。

(1)資源不足への対応

資源の使用量水準が変わらないまま人口が増えれば、資源の消費ペースはどんどん拡大していきます。

2022年の世界人口は79億5400万人(参照:世界人口白書2022)ですが、経済協力開発機構(OECD)の2018年の報告書「2060年までの世界物質資源アウトルック(The Global Material Resource Outlook to 2060)」によると、2060年には世界人口が100億人に到達すると予測されています。また、1人当たりの所得平均は、現OECD諸国水準並みの4万ドルに近づき多くの人がより豊かになると予想されることから、世界全体の資源使用量は、2018年時点の90Gt(ギガトン、1Gt=10億t)から2060年には167Gtまで増加すると推測されています。

人口増加と経済成長により、資源、エネルギー、水や食料の需要が増えることが考えられます。また2030年に銅の需要量が供給量を上回るとの予想があるように、将来にわたる資源の安定供給が困難になったり、資源価格が高騰したりするおそれがあることも認識されています。

このような予測を背景に、大量生産・大量消費・大量廃棄型経済システムからの脱却を図る動きが起こり、サーキュラーエコノミーが注目されているのです。

(2)気候変動への対応

サーキュラーエコノミーは、気候変動への対応策としても注目に値します。

先述のサーキュラーエコノミー3原則で知られるエレン・マッカーサー財団のレポート「COMPLETING THE PICTURE- How the circular economy tackles climate change」では、今日の気候変動対策はおもに再生可能エネルギーとエネルギー効率化対策に軸がおかれているものの、この取り組みでは温室効果ガス排出量全体の55%にしか対応できず、残りの45%の削減にも取り組む必要があるとしています。

サーキュラーエコノミーはこの「45%」に対する効果的なアプローチであり、四つの主要工業材料(セメント、鉄鋼、プラスチック、アルミニウム)に循環型経済戦略を用いることで、2050年に40%の排出量削減が可能であることを示しています。

さらにオランダのサーキュラーエコノミー推進団体Circle Economyのレポート「THE CIRCULARITY GAP REPORT 2021」によると、スマートな戦略と原料消費削減によって、サーキュラーエコノミーは世界の温室効果ガス排出量の39%を削減し、バージン資源(新規の天然資源)の使用量を28%削減する力があることがわかったといいます。

4.サーキュラーエコノミー実現のためにできる取り組み

サーキュラーエコノミーに関心が集まり、市場規模が拡大している一方で、その実現には長い時間がかかると想定されます。

取り組んでもすぐには成果が見えにくいことや、初期コストがおしかかるケースもあることから、サーキュラーエコノミー移行に向けた実際の企業の動きは、まだ活発と言えるほどではありません。また個人でサーキュラーエコノミーに取り組む際は、消費行動で変化を起こそうにもまだまだサーキュラーエコノミーに関する商品やサービスの選択肢が少ないのが現状です。

そのようななか、経済産業省は2020年5月に「循環経済ビジョン2020」を発表し、サーキュラーエコノミーへの転換に向けた対応の方向性を示しました。

循環経済のイメージ
経済産業省が示した循環経済のイメージ(CEはCircular Economyの頭文字)。出典:経済産業省「循環経済ビジョン2020(概要)」

また世界に目を向けると、2020年3月には欧州連合(EU)が「新・サーキュラーエコノミー行動計画」を発表。このなかでエコデザイン指令(エネルギーを使う製品に環境配慮設計を求めるもの)の対象拡大や、電子機器・ICT分野における「消費者の修理する権利(Right to Repair)」の担保などが明示されています(参考:EU サーキュラーエコノミー行動計画と日本への示唆│三菱総合研究所)。

このように日本や世界の動向をふまえると、今後はサーキュラーエコノミーを促進するための新たな枠組みや法規制が整備されていく可能性も考えられます。今のうちから先手を打ってサーキュラーエコノミーへの移行に対応しはじめることは、規制にさらされたり新たなチャンスを逃したりするリスクの低減につながるでしょう。

では、実際に企業や個人がサーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組もうとする場合、どのようなことができるのでしょうか?

(1)企業の場合

①資源循環の視点でオペレーションを見直す

業務を見渡し、循環の視点から業務内容を見直してみることがサーキュラーエコノミー実現の第一歩になります。「製品の素材を再生材に切り替えることはできるか?」「水やエネルギーの再利用ができないか?」「事業で排出する廃棄物をどうすれば減らせるか?」といった問いを立て、それに答える形で自社の現状を整理してみるとよいでしょう。

②新製品や新サービスの企画・開発段階で循環を意識する

新たな自社製品やサービスの企画・開発では、ムダのない製品設計や循環する製品ライフサイクルを念頭におくことが大切です。売り切り型のビジネスモデルである場合は、使用後の製品を消費者から回収するしくみを構築して、再製品化したり原料や自然に戻したりすることを想定する必要も出てくるでしょう。

③サプライチェーンや消費者と協働する

サーキュラーエコノミーは経済システムのあり方なので、一企業だけが取り組んでもその効果は大きく波及しません。調達先や販売先などのサプライチェーンの理解を得て協力し合うこと、消費者を巻き込んでサーキュラーエコノミーを目指すことで、より大きく前進できるはずです。

(2)個人の場合

①家庭用コンポストで生ごみを堆肥化する

個人でできるサーキュラーエコノミーの代表的な取り組みは、生ごみとして捨てていた野菜くずなどを、家庭用コンポストを使用して堆肥(たいひ)化することです。熱を加えたり微生物で分解させたりして生ごみを有機肥料にすれば、ガーデニングなどに活用できます。最近はキッチンなど室内に置けるタイプやベランダに設置するタイプのように、狭い都市型家庭に対応する商品も多くあります。

②フリマアプリで不用品を売買する

サイズが合わなくなった服や家族構成の変化で不要になった家具家財などは、フリマアプリを活用して売れないか検討してみましょう。自分にとっては不用品でも、だれかにとっては価値のあるものかもしれません。反対に、なにか必要なものができたときは、新品を買う前にまずフリマアプリで中古品や新古品がないか探してみると、手頃に入手できる可能性があります。

③食品ロス削減アプリ

まだおいしく食べることができるのに捨てられてしまう食品廃棄物の大量発生は、社会問題になっています。食品ロス削減アプリを使用すると、レストランや飲食店の売れ残り商品を割安で購入できます。食品ロス削減に貢献できる上に、食費の節約にもなり、さらに今まで知らなかった新たなお店との出会いにつながるかもしれません。

5.転換期のチャンスを見逃さない

循環型経済への移行を目指す企業や、それを後押しする国や自治体、投資家が徐々に増えてきている今、サーキュラーエコノミーは持続可能な経済活動の実現を左右するホットなキーワードです。

大きな流れの転換期には、変化に対応しなければいけないリスクもありますが、それと同じくらい新たな価値を見いだし自ら変化をつくり出すチャンスもあると思います。サーキュラーエコノミーに関する情報にアンテナを張り、その機会をしっかり見極めましょう。

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