【農業の部】肥料も農薬も使わない自然栽培で世界から飢餓をなくしたい 田中陽可さん

社会課題の解決やSDGsの達成に向けて地道に活動する人を支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第1回受賞者が10月22日(土)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。(Sponsored by 岩佐教育文化財団)
活動名:世界から飢餓をなくすための自然栽培農家の取り組み
農業の部・個人 賞金200万円
世界の飢餓を生んでいる構造の一つが「土地収奪」です。先進国が途上国の土地や労働力を開発・搾取し、安価な作物の供給をおこなうかわりに、途上国の人たちが飢餓や貧困、環境問題に直面しているのです。
では、先進国が土地収奪のような大規模開発に頼らなくてもいい社会、すなわち、持続可能な食料供給ができる社会をつくるためにはどうすればいいのか。私はその答えの一つが「自然栽培」だと考えました。
肥料と農薬を使わない「自然栽培」は、いまある生態系を活用し、環境とともに成長することのできる農法です。日本で増えつつある耕作放棄地は、自然栽培にはむしろ好都合。これまでの経験から、圃場(ほじょう)として再生しやすいことが分かっています。
いま私たちの農場では、麦、大豆、イモ類、野菜など年間50品目以上の作物を自然栽培で生産・販売しています。自然栽培の作物を消費者の選択肢の一つとすることは第一歩です。またファーマーズマーケットなど対面販売の際は、「自然栽培で世界を変えることができる」ということを伝えています。

さらに、自然栽培について学ぶ場を作るため、農作業と座学を組み合わせた「世界とつながる農園プログラム」を実施しています。2021年度の参加者は167人に上りました。また、広島市内など街中の圃場を会場に、農業初心者や家庭菜園の実践者などに自然栽培の考え方や方法を伝える「自然栽培教室」も開催しています。
誰もが自分の土地で育った作物を食べる喜びを感じることのできる世界を目指して、私たちはこれからも活動を続けていきます。
受賞コメント
これまで夢を応援してくれた方々のことを思い出し、一層強く背中を押された思いがします。小さな農園こそ、世界の食料問題を解決する大きな存在です。これを機に小麦の製粉施設を整え、自然栽培小麦の栽培農家を増やせたらと思います。これからも農業・教育に取り組み、「誰もが食べる喜びをかみしめられる世界」のために、種をまき続けます。
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