【教育の部】未来を担う中学生たちと 福島の農産物に新たな価値を生む 菅野俊幸さん

社会課題の解決やSDGsの達成に向けて地道に活動する人を支援する「SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞」(SDGs岩佐賞)の第1回受賞者が10月22日(土)に公表されました。SDGs ACTION!では、受賞者の方たちの活動内容をご紹介します。(Sponsored by 岩佐教育文化財団)
活動名:中学生の視点から福島の農業復興をめざす
教育の部・個人 賞金100万円
私は福島市の中学校の教員をしながら、福島の農業復興のための研究活動に取り組んでいます。特設科学部や自然科学部などの部活動の顧問を務め、生徒たちと「地元産牛乳のおいしさに関する研究」、機能性野菜である「低カリウムコマツナの栽培」、「高糖度トマトの低ストレス栽培」の研究などに取り組んできました。目指しているのは、福島県の農産物を他県と違った価値を持つものにする、いわば「福島新ブランドの創造」です。
というのも、東日本大震災や福島第一原発事故から11年が経過しましたが、本県産の農産物への風評被害は、いまだ解決に至っていません。厳しい検査基準での安全管理がされているにもかかわらず、そうした取り組みが十分に理解されていないことには歯がゆい思いがあります。さらに、国勢調査(2020年)による福島県の人口は、前回調査時(2015年)に比べて7万9800人減の約183万人と、減少傾向が続いています。

SDGsの「ゴール11 住み続けられるまちづくりを」には、「ゴール9 産業と技術革新の基盤をつくろう」が不可欠だと考えます。 福島の農産物のおいしさや安全性、機能性を研究し広めていくことは、魅力ある郷土づくりにつながると思っています。
現在、部活動での研究成果は地元農家の方にも提供しているほか、福島大学や農業試験場の協力も得ながら活動を続けています。また、中高生の論文コンクールのほか、各種学会などでも発表し、一人でも多くの方の理解を得られるよう注力しています。今後も研究や発表を続けるほか、理科の授業や部活動などでも農業活動の推進の機会を作れたらと考えています。
受賞コメント
この度は栄えある賞をいただきありがとうございます。東日本大震災と原発事故からまもなく12年が経過します。いまなお風評被害が続く中で、安心・安全でおいしい福島の農産物を多くの人に理解してもらうために、未来を担う生徒たちの郷土愛の育成と今後の農業のあり方を考えながら、実践・研究を重ねていく所存です。
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