一つの記事と多様な目標との関連発見 神奈川・高浜高で「中高生のための朝日SDGsジャーナル」出張授業

中高生向け教材「中高生のための朝日SDGsジャーナル」と学習用ふせん「ペタッとSDGs」を使った出張授業が10月24日、神奈川県平塚市の県立高浜高校でおこなわれた。3年生約200人が新聞記事をSDGsの視点で読み、考えを話し合った。
2030年の姿から考える
「中高生のための朝日SDGsジャーナル」は2021年秋に創刊された新聞形式の教材で、SDGsを楽しみながら学べるのが特徴。SDGsに関するインタビューや解説、企業・団体の取り組み事例と、実際の朝日新聞記事の切り抜きが載っている。今回の出張授業では、2022年7月に発行された最新号Vol.3を使った。
参加生徒は、全員が体育館に集合。講師の朝日新聞社CSR推進部・遊佐美恵子さんの説明を聞き、ワークショップに臨んだ。



遊佐さんははじめに、「みなさんは、SDGsが達成期限とする2030年以降、自分はどうなっていて、どんな社会だったらいいなと思いますか。地球は平和でしょうか。温暖化の影響はどうでしょう?」などと問いかけた。そして、まず将来ありたい姿を描き、そこからさかのぼって今すべきことを考える「バックキャスティング」などSDGsの考え方について解説した。
そのうえで、「一つの事実にも、SDGsの複数のゴール(目標)が深くからみあっている。他者と問題意識を共有して解決していかなければならない」と述べた。

「お酒は節度を」「分煙必要」…… ふせんに記入
後半のワークショップでは、生徒たちが「中高生のための朝日SDGsジャーナル」Vol.3に掲載された「『禁煙』『節酒』『運動』やっぱり大切 国立6施設、健康長寿への提言」(2021年2月20日付朝日新聞東京本社版夕刊)の記事を読み、SDGsとの関連を考えた。
記事は、国立がん研究センターや国立循環器病研究センターなどが、「たばこは吸わない」「節酒する」といった健康で長生きするための提言をまとめたという内容。生徒たちは6人前後のグループに分かれ、まずは各自で記事に関連すると思う目標のふせんを選んで「つぶやき」(感想や考え)を書き込んだ。そして、コメントを書いたふせんを記事の横に貼って、グループで話し合った。
遊佐さんは記事を読み込むときのポイントとして、「環境」「経済」「社会」の観点から多面的にみることや、消費者や生産者などさまざまな立場から多角的に考えることをアドバイスした。

生徒たちはグループで意見を集約した後、体育館の壁に掲げられた記事の拡大コピーにふせんを貼り替え、みんなで情報共有した。貼られたふせんは目標3「すべての人に健康と福祉を」が最も多く、「お酒は節度を心がけて飲むことが大切」「分煙を進めるべきだ」などのコメントがついた。このほか、目標11「住み続けられるまちづくりを」と関連づけて「街をきれいに保つ」とした意見や、目標15「陸の豊かさも守ろう」を挙げて「ポイ捨てをなくせる」とした意見もあった。
遊佐さんは「同じゴールを選んでも、視点が違えば意見も違う。少数意見にも耳を傾け、ふせんが貼られなかったゴールは何かも考えてみてほしい」と述べ、最後に「普段の生活に変化をもたらし、足元から課題解決に向けたアクションを起こしてみませんか」と呼びかけた。



授業を受けた磯崎秀哉さんは「思ったことをふせんに書いてぽんぽん貼っていくので、意見が広がりやすいと思いました」と話していた。
この日の出張授業には、「中高生のための朝日SDGsジャーナル」の協賛企業の1社、明治安田生命から平塚支社の泉田(せんだ)大和さんも登壇し、「~『人生100年時代』を生きる~ MY LIFE!」と題して、保険と貯蓄の大切さについて話した。
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