たばこの自動販売機1台で多額の市町村たばこ税収を得る見返りに業者へ奨励金を出している自治体が複数ある問題で、大阪府泉佐野市の事例を調査した総務省は「販売と納税の実態が異なるのは不適切」と判断、税制改正に乗り出すことを決めた。近く政府税制調査会に具体案を示し、来年度の改正実施を目指す。
総務省の調査によると、大阪府豊中市のたばこ小売業者が、泉佐野市にたばこ税を意図的に多く納入するため、同市に設置した自販機の営業所名義で、市外で販売する大量のたばこを仕入れていた。その結果、07年度に7億6千万円だった泉佐野市のたばこ税は08年度に14億6千万円に増加。市は08年度、業者に奨励金6600万円を支出した。
泉佐野市は奨励金制度を使い、本来なら他市町村に入るはずのたばこ税を横取りしている格好だ。総務省市町村税課の担当者は「市町村たばこ税は消費地に納められるのが原則。地方税法の趣旨に沿った形にできるような措置を講じたい」と話した。
泉佐野市と同様の手法でたばこ税収を増やしている自治体は、朝日新聞の調べで他に大阪府摂津市、滋賀県竜王町、同県高月町の少なくとも三つある。(千葉正義)