現在位置:
  1. asahi.com
  2. 2009政権交代
  3. ニュース
  4. 記事

漢方薬の保険除外に反対署名 事業仕分け、医療界が反発

2009年12月1日20時36分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

 政府の行政刷新会議の事業仕分けに対し、医療現場から反発の声が相次いでいる。公的医療保険の対象から外す候補に漢方薬が挙げられたことから、日本東洋医学会など4団体は1日、保険適用の継続を求める陳情書を、約27万人の署名簿を添えて長妻昭厚生労働相あてに提出。削減対象になったほかの医療関係学会などの間でも戸惑いが広がっている。

 事業仕分けで保険から外す対象になったのは、医師の処方箋(せん)がいらない市販薬の類似薬。範囲について刷新会議は「今後も十分な議論が必要」と述べるにとどめたが、事業仕分け用に財務省が作った文書には「湿布薬・うがい薬・漢方薬などは薬局で市販されており、医師が処方する必要性が乏しい」と書かれた。

 同医学会の寺澤捷年(かつとし)会長(千葉大大学院教授)は患者と記者会見し、「同じ漢方薬でも薬局で販売される薬は、安全性を考慮して、有効成分の量が医療用漢方薬の半分に抑えられている」と述べた。

 糖尿病を患い、5年前から2種類の漢方薬を服用している千葉大名誉教授の金子亨さん(76)は「足の血流が悪く、長く歩くと足が痛くなるが、漢方薬のおかげで悪化が食い止められている。保険診療から外れて薬代が高額になれば、治療が続けられない」と保険適用の継続を訴えた。

 一方、日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)は、医師の確保や救急・周産期医療の対策に関する補助金について、厚労省の予算要求の半額と評価されたことに、「新生児医療体制の整備が困難になる」と、緊急声明を出した。

 楠田聡・東京女子医大教授は、新生児集中治療室(NICU)には緊急搬送に対応できる「空きベッド」をつくっておく必要があることを指摘、「公共財の性格を持っており、補助金がないと運営が難しい」と話す。

 診療報酬も、開業医と勤務医を公平にするなどの理由で見直し対象だが、全国医学部長病院長会議(小川彰会長)は「地域医療を担う開業医の経営、労働環境を圧迫し、地域医療の崩壊をさらに悪化させる」と反発。勤務医中心の全国医師連盟(黒川衛代表)も「医療費が大幅な増額に転じることを明らかにすべきだ」と、開業医の報酬を勤務医に回すことに「反対」とした。

 日本癌学会(野田哲生理事長)など関連3学会は、がんの研究費が削減対象にされたことから、「今後のがん医療の質の低下をもたらす」とする共同声明を出した。(編集委員・出河雅彦、武田耕太)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内