政府が8日に閣議決定した緊急経済対策に、文部科学省と厚生労働省に所管が分かれている幼稚園と保育所の一元化(幼保一元化)を含めた制度改正を2011年の通常国会で目指す方針が盛り込まれた。来年前半にも基本方針を固め、法案化に着手する。
この方針は、規制改革という位置づけで、経済対策をまとめる最終段階で入った。民間参入を促すなどの制度づくりを進め、保育所に入れない待機児童の解消に、定員割れしている幼稚園を活用することなどを検討する。民主党はマニフェスト(政権公約)で「子ども家庭省」設置構想を掲げており、「縦割り行政」を是正し、子ども施策の一本化を図る狙いがある。
ただ、幼保一元化は既得権益を侵される懸念から族議員の抵抗にあい、自公政権では具体化が進まなかった。麻生政権でも一元化構想が検討されたが、自民党文教族の抵抗で頓挫した。
長妻昭厚労相は8日の閣議後の会見で、保育所の待機児童の問題をめぐり「幼稚園とも一元化するので、考えをまとめていきたい」と幼保一元化に意欲を見せた。川端達夫文科相は8日、記者団に「幼保を引っ付ければいいという話じゃない。(話し合う)土俵を作ってしっかりやっていく」と述べ、議論を進める考えを示した。
都市部を中心に、不況で働き始める親が増えて保育所の待機児童が増える一方、少子化で定員割れする幼稚園も出ている。06年には幼稚園と保育所の機能を合わせた「認定こども園」が導入されたが、設置数は目標を大きく下回る。背景に、補助金申請が文科省と厚労省で別々になっているなど縦割り行政の弊害が指摘されている。