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国保組合の「剰余金」800億円以上 国庫補助手厚く

2009年12月9日3時5分

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 医師や薬剤師、建設業などの自営業者がつくる国民健康保険組合(国保組合)の大半が、法で定められた積立金のほかに「剰余金」を保有し、総額約870億円に達することが分かった。国保組合への国庫補助は約3千億円。財政運営が厳しい医療保険の支援に使われるべき税金が、多額の剰余金を抱えた国保組合を支えている形だ。

 国保組合は、医療費の支払金の不足などに備え、剰余金から年間支払額の約4分の1に達するまで積み立てるよう法律で義務づけられている。

 厚生労働省のまとめによると、2007年度時点で、165ある国保組合のうち151組合は、法で定められた額より多く積み立てており、法定分を上回る剰余金の総額は727億円。53組合は法定額の倍以上あり、10倍を超える額に達した組合もあった。

 このほか、法定外の任意の積立金を持つ国保組合もある。朝日新聞社が国保組合が集中する東京、大阪、京都の国保組合の事業報告書などを調べたところ、31組合が「財政調整積立金」などの名目で、総額147億円を保有していた。全国土木建築国保組合(東京)の「施設整備準備積立預金」は35億5千万円に達していた。

 業種別では47ある医師国保組合の剰余金の多さが目立つ。医師国保全体の剰余金は総額142億円だ。高所得者が多く、保険料収入が安定しているためと見られる。厚労省の04年度の調査では、医師国保の1世帯あたり平均所得は563万円と、市区町村国保の加入世帯の3.5倍だ。

 国保組合は、多額の剰余金を保有する一方で、手厚い国庫補助を受けている。国庫補助は医療費支払額や加入者の所得水準などを基準に算定されるためだ。4億8千万円の剰余金がある京都府酒販国保組合は、医療費支払いに対する国庫補助の割合は79.2%。2億6千万円の剰余金を保有する京都市中央卸売市場国保組合は72%だ。

 また、約110の国保組合は、市区町村国保にはない医療サービスを提供している。建設業系の11組合が入院時の自己負担を実質無料としているほか、一部の医師国保組合では病気やケガで働けない場合は1日1万円を超す手当金を支給している。

 厚労省国民健康保険課は「積立金の額に応じて国庫補助を削減する議論も否定できない」としている。

 国立保健医療科学院の岡本悦司室長は「法定額の何倍もの積立金を持つ国保組合を、国庫補助対象とする必要性が疑われる。補助率の引き下げも検討するべきだ」と話す。

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 岡本悦司・国立保健医療科学院室長(医療経済学)の話 積立金自体は健全な保険運営に不可欠だが、法定額の何倍もの額になっては、手厚い国庫補助の対象とする必要性が疑われる。補助率の算定基準となる加入者の所得を厳密に把握した上で、補助率の引き下げも検討するべきだ。

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 〈公的医療保険への国庫補助〉 国庫補助は、加入者の所得水準が低い医療保険の財政支援が目的で、医療費支払額などを基準に算定される。市区町村が運営する国民健康保険や、中小企業のサラリーマンが入る協会けんぽにも国庫補助が出ている。大企業のサラリーマンが入る健康保険組合には医療費への国庫補助は出ていない。

 協会けんぽの前身、旧政府管掌健康保険が黒字財政で積立金が1.5兆円に膨れあがった際、国は92年度以降国庫補助率を3.4ポイント引き下げている。

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