朝日・東大谷口研究室共同調査
【動画】アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーが、質問づくりに参加 |
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【山下剛】7月の参院選の立候補予定者を対象に、朝日新聞と東京大学・谷口将紀研究室がいま進めている共同調査では、アイドルグループ「乃木坂46」のメンバーも質問づくりに参加した。彼女たちにとって身近な「選挙の争点」とは―。
「朝日・東大谷口研究室共同調査」ページセンターが交代したAKB48の選抜総選挙に沸いたこの夏。「公式ライバル」の乃木坂46のメンバーたちに、参院選の立候補予定者に「こんなことを聞いてみたい」という質問を考えてもらった。
参加したのは、深川麻衣(22)、衛藤美彩(20)、秋元真夏(19)、高山一実(19)、若月佑美(19)の5人だ。
まず、年上の深川が考えた質問は「少子化問題で対策はありますか」。衛藤も「待機児童問題をどう思いますか」と子育ての問題をあげた。「少子化問題を解決しないといけないのに、待機児童問題があると安心して子どもを産めないと思う」と秋元も言う。
アイドルグループに属する彼女たちにとっても、少子化や子育てはひとごとではない。高山は先日、同窓会でこの問題について語り合ったという。大学に通う友人は「子どもができて、大学で払った学費分も稼がないうちに仕事を辞めるなら、大学に行った意味がない」と、早く出産することには否定的だった。高山は「子どもを産んでも復職できる環境じゃないと」と思う。
では、少子化対策や子育て支援に効果がある対策とはなんだろうか。「お金を配った方がよいのかな」「保育所をつくって働く女性への支援をもっと手厚くしないと」―。
彼女たちの話し合いをもとに、朝日新聞と東大・谷口研究室は、少子化対策について「家庭での育児を支援する」と「保育所を増やすなど仕事の両立を支援する」のどちらが効果的か、参院選の立候補予定者が自分の考えに近い方を選ぶ質問を作成。これも含め、今回の調査に五つの質問が新たに盛り込まれた。
政治のわかりにくさも話題に上った。「ところで、政党の数ってちょっと多すぎない?」と問題提起したのは若月だ。昨年、政権与党だった民主党が分裂。いくつもの政党が生まれ、消えた。「どの政党がどういう訴えをしているのか分かりにくい」
彼女たちは「そもそも政治は難しいという先入観がある」と口をそろえる。しかし、若い世代が政治の世界に進出すれば、この世代の政治に対する関心が高まるかもしれない、とも思う。5人は「政党って誰でもつくれるの?」「私たちもつくれるんですか?」と興味津々だ。衛藤は「若者がもっと、もっと団結した方がいいよね」。「投票できる年齢を18歳に引き下げる」ことへの賛否も、質問項目に加わっている。
もうひとつ、彼女たちにとって気になるのは、「アベノミクス」と呼ばれる経済政策の行方だ。高山は「バブルになりませんか?」と心配する。
日本がバブル景気に沸いた1980年代後半は、彼女たちはまだ生まれていない。そのため、「お金がいっぱいで、楽しく遊んでいた印象」(秋元)、「お金をみせてタクシーをとめるんでしょ」(深川)、「バブルがはじけたら、きっと次の世代が私たちみたいに苦労する」(秋元)―など、華やかだった時代へのあこがれと負のイメージとが交錯する。
一方、リーマンショック以後のリストラや就職難といった厳しい現実は、身近な問題だ。高山の「バブルはいずれ崩壊するのかもしれないけれど、私たちはよいことがないまま崩壊だけしている」という思いは、同世代で共通なのかもしれない。
高山は政治家たちにこう聞いてみたいという。「私たちはウキウキするような時代を経験していない。明るい未来になるって希望を持ってもいいですか?」
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20歳前後の5人のアイドルが真剣に考えた質問に、立候補予定者たちはどう答えるのでしょうか。調査に対する一人一人の回答や、全体の傾向は、朝日新聞紙上や朝日新聞デジタルで今後、詳しく報告していきます。
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〈朝日・東大谷口研究室共同調査〉 朝日新聞と東京大学の蒲島郁夫(現・熊本県知事)、谷口将紀両研究室が2003年、国会議員や有権者の意識を統計的に分析するため、共同でアンケートを開始。調査結果を積み上げることで、政治家や政党の政策的な立ち位置の変化を見取り図に描くなど、新しい政治報道に取り組んできた。現在は国政選挙ごとに候補者、有権者への調査を続けている。
乃木坂と、まなぶ参院議員選挙公示 | 7/4(木) |
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