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有権者もネット駆使 演説実況や「有益批判」サイト

写真:遊説の合間、食事をとりながらスマートフォンでツイッターをチェックする候補者=4日正午、大阪市内、竹花徹朗撮影拡大遊説の合間、食事をとりながらスマートフォンでツイッターをチェックする候補者=4日正午、大阪市内、竹花徹朗撮影

写真:演説の様子をフェイスブックに載せた陣営関係者。投稿から13分後には、さっそく「いいね!」がついた=4日午後、京都市内、林敏行撮影拡大演説の様子をフェイスブックに載せた陣営関係者。投稿から13分後には、さっそく「いいね!」がついた=4日午後、京都市内、林敏行撮影

 4日公示の参院選では、インターネットによる選挙運動が解禁された。政党や候補者は初日から新たな手段で訴えを広めようと動きだし、有権者がネットを駆使して選挙にかかわろうとする試みも始まった。

特集:2013参院選

■「様子伝えたい」公平性にも配慮

 「演説ギリギリまで市民と触れ合う○○候補」「□□候補の演説スタート」

 福島市の手塚勇佑さん(27)はこの日、次々に福島入りした政党幹部や候補者の演説内容をツイッターで実況した。「フリーターで時間がある自分が忙しい人たちに替わって様子を伝えたい」

 ツイッター歴は約1年半。政治や選挙には関心があまりなかったが、ネット選挙の解禁を知り、自分にもできることがあるのではと思った。公職選挙法上のルールを確認し、日程を調べて演説会場に向かった。「いろんな人にクリアな目で見てもらう」ため、実況は特定の政党に偏らないよう気をつけた。

 他党の悪口ばかりいう政治家、演説が上手な政治家――。初日だけで様々な姿をみた。昨年末の衆院選では投票しなかったが、今回は行くつもりだ。「政治に無関心な同世代が関心を持つきっかけになれば」

 大阪府のシステムエンジニア平田雄紀さん(30)は4日、若者の不満を集めて政党や候補者に「有益な批判」を届けようと、「逆選挙」と名付けたサイトを仲間と立ち上げた。

 地域に関係なく投票できる比例区候補の中から「投票したくない人」と、「外交防衛」「政治とカネ」など各候補に対し不満をもつ分野を選び、理由を書いてもらう。4日夕までに投稿は約40件。雇用や原発などの分野で10人以上の候補者に不満が寄せられた。

 今後、中傷を除いて各党の公式ツイッターに投稿し、サイトでも公開する。平田さんは「自分の意見が届かないと感じるなら、私たちのサイトで意見をぶつけてほしい」と話す。

 市民団体「子どもに渡すな! あぶない教科書大阪の会」(大阪市)などは「教科書採択の方法」「慰安婦問題の記述のあり方」について、西日本25府県の候補者にアンケートをした。今後、毎日結果を更新し、ツイッターやブログで広める予定だ。担当者は「法改正で随時回答を反映できるようになり、未回答の候補者へのプレッシャーになる」と期待する。

 一方、ツイッター上では、つぶやきの中に「#△△(政党名)を落とせ」というキーワードを加えた投稿が相次いだ。冒頭に#印をつけた言葉は「ハッシュタグ」と呼ばれ、同じテーマのつぶやきを検索する際などに使う。こうしたハッシュタグは以前からあったが、4日の公示を機に頻繁に使われ始めたようだ。

■ツイート20回超 候補者「会いに来てほしい」

 候補者はネットの特性を生かそうと工夫を凝らす。朝日新聞の集計では全候補者の94%がツイッターなどのソーシャルメディアを利用する。

 「ポスターの掲示板は○番」「△駅前で街頭演説します!」。中国地方の維新新顔は早朝から街頭活動をこまめにツイッターで発信。ツイートは20回を超え、フォロワー(読者)はこの日約100人増えた。演説の合間にフェイスブック(FB)も自分で更新した。

 もともと「ブロガー」で、ツイッターも使っていた。陣営幹部は「予定を細かく伝えることで、一人でも多くの人に会いに来てほしい」と期待する。実際、ネットで予定を知り、演説会場に足を運んだ有権者もいたという。

 「選挙中にこういうつぶやきができるなんて、ネット解禁を実感してます」。ツイッターのフォロワーが8万を超す近畿地方の自民現職はこうつぶやいた。出陣式に集まった支持者たちをスマートフォンで撮影し、FBにも投稿。約1200人から賛意を示す「いいね!」の反応があった。

 大雨に見舞われたことを逆手に取って「奮闘」をアピールする候補者も。「どしゃ降りの中、宣伝カーから訴えてます」。近畿地方の共産新顔は雨にまつわる話題を次々にツイートした。雨にぬれながら手をふる画像をFBに載せた。

 ネット上で他党を攻撃する候補者もいた。「常識はずれで過激かつ異常な内容」。近畿地方のある現職は、対立候補の政党の政策を批判する文章をホームページのトップに掲載した。

■「投票判断に有効」「中傷ひどくなる」

 候補者の第一声を街頭で聞いた有権者たちは、ネット選挙の解禁をどう見ているのか。

 大阪市内で候補者の第一声を聞いていた神戸市東灘区の会社員桝谷裕久さん(46)は元々、選挙カーが大きな音で街を回ることが不快だった。「垂れ流しの情報よりも有権者が能動的に情報を見にいけるネットの方が投票判断に有効ではないか」と話す。

 大阪市港区の無職佐藤正子さん(71)は経済政策を重視し、欠かさず投票してきた。ネットを使わないが、ネット選挙には「若者が選挙に関心を持つきっかけになる」と期待する。

 一方、ネットをほとんど使わない同市西成区の無職田中芳松さん(70)は「投票率が上がる契機になればいいとは思うが、悪用が心配」と話す。同市浪速区の会社役員、宮庄基さん(42)も「ネットなら時間にしばられず情報を得られる」と歓迎しつつ、政治家のフェイスブックに中傷を書き込む人がいるのが気になる。「投票日に近づくと中傷がひどくなるのでは」と心配する。

■効果測るポイントは比例区

 《「ウェブで政治を動かす!」の著書があるジャーナリストの津田大介さんの話》 有権者がネットでどれだけの情報を得て投票に生かすのか。どこでもアクセスできるネットの特性から、効果を測るポイントは全国で競う比例区だろう。参院選を機にネットを利用し始めた政治家も多いが、普段から有権者とネットを通じて語り合い、政策形成に生かして政治への関心を高めていくことが大切だ。

選挙などの日程

参院議員選挙公示 7/4(木)
参院議員選挙投開票 7/21(日)
期日前投票期間 7/5(金)〜20(土)
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