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(政策を聞く)金融緩和:「デフレ脱却へ滑り出し順調」「中長期的成長につながらず」

写真:浜田宏一・エール大名誉教授(右)と小幡績・慶大大学院准教授拡大浜田宏一・エール大名誉教授(右)と小幡績・慶大大学院准教授

 安倍晋三首相は、物価が下がり続ける「デフレ」から抜け出すため、日本銀行が巨額のお金を市場に流し込む「金融緩和」を進めてきた。1月には、政府と日銀が2%の物価上昇目標に向けて緩和を強めるという共同声明をまとめ、3月には、緩和推進派の黒田東彦(はるひこ)氏を日銀総裁に起用した。

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 黒田氏は4月、市場に流すお金の量を2年で2倍にするという緩和策を打ち出した。市場はこれを歓迎して円安・株高が進んだが、最近はその反動で株価が乱高下したり、円安で輸入品の価格が上がったりと、「副作用」も出ている。

 自民、公明両党は緩和路線を続ける方針だ。日本維新の会やみんなの党は、さらに金融政策に政府が関与できるように「日銀法改正」を訴える。一方、民主党、共産党、生活の党、社民党などは、電気代など物価上昇が家計を圧迫していることを批判している。

■〈賛成派〉浜田宏一・エール大名誉教授

 ――日本銀行の金融緩和の効果をどうみますか

 「デフレからの脱却に向けて順調に滑り出した。日銀が金融市場に出したお金が株式などの値上がりにつながっている。資産価値が上がり、人々に景気が良くなるかもしれないという期待が生まれ、お金を使おうという気分が出ている」

 ――株式市場では不安定な値動きもあります

 「政策が大きく変化すると、市場の参加者がちょっとしたニュースに敏感になることもある。市場参加者も慣れてくるので、株価もだんだん落ち着いてきた」

 ――円安になってもそれほど輸出は増えていません

 「輸出が増えるのには少し時間がかかる。輸入品の値上がりによる負担のほうが先に出てしまうが、間違いなく輸出は増えていく」

 ――輸入物価の値上がりで困っている人もいます

 「確かに漁師さんなどは燃料が値上がりして困っている。一方、長く円高に苦しんできた輸出産業は円安で輸出しやすくなり、活気を取り戻している。すべての人を喜ばせる政策はない。円安のマイナス面は否定しないが、プラスになった人のほうが多いと思う」

 ――景気回復を実感できない国民も多くいます

 「夏のボーナスは増えているし、企業の求人も増え始めている。あとは賃金(給料)が上がるかどうかだが、企業がすぐに賃上げしなくても、景気が良くなって新しく人を雇うようになれば、(労働者が企業を選べる)売り手市場になっていく。そうすれば、いずれは賃金が上がっていく」

 ――金融緩和をいつまでも続けることができますか

 「日銀がお金を刷り続ければ、物価が上がり過ぎる危険もあり、いつかはやめなければならない。だからこそ成長力を高める戦略が大切だ。できるだけ政府の関与を減らし、企業が仕事しやすい環境をつくらないといけない」

 ――消費税は予定通り来年4月に上げるべきですか

 「(消費税率を3%から5%に上げた)1997年の時は思ったように税収が増えなかった。私個人の意見だが、消費増税はいずれ必要だが、経済全体を大きくしてからでいいという気持ちはある」

    ◇

 はまだ・こういち エール大名誉教授(国際金融論)。昨年12月から安倍政権の内閣官房参与をつとめる。著書に「アメリカは日本経済の復活を知っている」(講談社)など。77歳。

■〈反対派〉小幡績・慶大大学院准教授

 ――日本銀行の金融緩和をどう評価しますか

 「株価を異常な安値からまともな水準に上げたのは大正解で、100点だった。しかし、手法は間違っているので、政策の中身は0点。平均すると50点だ。昨年夏から世界的に景気が回復基調にあったので、アベノミクスがなくても日本の景気は良くなっていた」

 ――政策の中身が0点なのはなぜですか

 「金融政策は株式のような資産市場に刺激を与えられるが、実体経済にはそこまで効果を発揮できないからだ。バブル気味になっても、中長期的な経済成長の底力にはならず、むしろ副作用が出てしまう」

 ――円安と株高が企業の業績を上げたり設備投資を呼んだりして、実体経済にも波及しませんか

 「間違いだ。株式でもうけた人の消費が増えるだけ。それも一度きりで続かない。景気の良しあしと関係なく、企業は設備投資を国内で増やす気はない。自動車産業では、海外市場向けに現地生産を増やした方が効率的だ。結局、若い人の雇用にも結びつかない」

 ――デフレを変えるには、大胆な金融緩和が必要なのではないでしょうか

 「金融緩和で(物価が上がる)インフレを起こすことと、人々が消費に前向きになって需要が増えることとは別の話だ。インフレが起きれば生活必需品を中心に物価が上がっていく。給料が上がりにくい低所得者層を中心に、生活はむしろ厳しくなってしまう」

 ――長期金利が乱高下するなど混乱もみられます

 「日銀が(お金を流し込むために)国債をやみくもに買って(国債価格を上げて)金利を下げるはずが、逆に上がった。インフレになるだろうという予想が高まれば、金利は上がる。お金を借りる時の金利も上がるため、企業の設備投資を呼び込むにはむしろマイナスになる」

 ――今後はどうすべきでしょうか。

 「金融政策で無理をしないでほしい。2年後に年間の物価上昇率2%を達成しなくても景気は良くなってきている。金利の上昇を抑えて市場に波乱が起きないようにし、消費増税などで地道に財政再建を進めるべきだ」

    ◇

 おばた・せき 慶応大大学院准教授(行動ファイナンス)。旧大蔵省を経て現職。著書に「リフレはヤバい」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。45歳。

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