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反TPPでも頼りは自民 目前の支援策、揺れる農業王国 北海道

写真:満開の花が咲くジャガイモ畑の近くを遊説する参院選候補者の選挙カー。北海道内で生産されるデンプン原料用のジャガイモは、日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、大きな痛手をこうむることが懸念されている=北海道京極町、堀英治撮影拡大満開の花が咲くジャガイモ畑の近くを遊説する参院選候補者の選挙カー。北海道内で生産されるデンプン原料用のジャガイモは、日本が環太平洋経済連携協定(TPP)に参加した場合、大きな痛手をこうむることが懸念されている=北海道京極町、堀英治撮影

 【熊井洋美、佐藤徳仁】安倍晋三首相(自民党総裁)が交渉参加を決めた環太平洋経済連携協定(TPP)に対し、農業王国の北海道選挙区では反対の大合唱が響く。参院選投開票の2日後、日本は初めてTPP交渉に参加する。農業団体は反発を強めるが、自民党とのパイプは切れない。民主党は批判の受け皿になりきれていない。

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 安倍首相は13日、昨年末の就任後、初めて北海道を訪れた。札幌・大通公園での街頭演説は半分をアベノミクスに費やし、1分弱だけ農業に触れて「農業収入は10年間で倍増を目指したい」と主張。ただ、TPPには一言も触れなかった。

 自民党北海道連は昨年の衆院選の地域版公約でTPP参加の「断固反対」を掲げた。首相が3月に交渉参加を表明すると道内のJA組合員から「裏切りだ」との不満が噴出。JAの政治団体「北海道農協政治連盟」は6月中旬に参院選の自主投票を決定した。

 道内のJA組合員は約7万人とされる。公示2日後の7月6日、自民党の西川公也TPP対策委員長は札幌市内でJA北海道中央会の飛田稔章会長と面会し、「コメなど重要品目の聖域はきっちり守る。参院選の支援をよろしく頼みます」と頭を下げた。だが、飛田氏は「TPP反対は貫きますよ」とつれなかった。

 自民党は林芳正農林水産相や石破茂幹事長ら政権幹部を相次いで北海道に投入。「どうすれば生産者の手取りが増えるか。十分でなかった点は改める」(石破氏)と農業対策の強化を訴えた。自民党の伊達忠一氏は街頭演説で「農業予算も北海道開発予算も増やした。景気を回復させる」とアピールする。

 JAとしても政権との関係は断ち切れない。新おたる農協(仁木町)は公示直前に伊達氏の推薦を決定。山田裕二組合長は「我々の声を通してくれるのは自民党しかいない」と説明する。公示の翌5日にはTPP反対の声が強い十勝地区の有塚利宣・農政連会長が伊達氏の応援演説に立ち、「政権を安定させてきちっとした経営対策をやってもらいたい」と訴えた。

 飛田氏は「独自の支援を制約するつもりはない。農業は来年から予算をつけませんよと言われたら終わりだ」と黙認する考えだ。

■民主の「反対」、共鳴せず

 北海道の大地を走る民主党の小川勝也氏の選挙カーの車体には、赤地に白抜きで「ストップ! TPP」と書かれている。小川氏は「北海道経済を潰す格差拡大のTPPに『NO』を打ち出す」として、「反TPP」を前面に掲げている。

 民主党のマニフェストでは、TPPについて「脱退も辞さない厳しい姿勢で臨む」と記すにとどめたが、民主党北海道の「重点政策」では「TPP参加に断固反対」と明記。党北海道幹部は「政権批判の受け皿として、自民党との対立軸を鮮明にする必要がある」と解説する。

 海江田万里代表は今月5日に函館市であった街頭演説で、TPP交渉参加について「自民党のまやかし、自民党のウソつき」とこき下ろした。

 ただ、民主党は昨年末まで政権を担い、TPPを推進してきた。小川氏は3年前にTPP参加の検討を表明した菅直人首相(当時)の補佐官。約2万7千戸の農家が加盟し、民主党を支える北海道農民連盟の幹部は「農家には党本部と党北海道のねじれへの不信感がある」という。JA幹部も「民主がTPPを争点にすること自体、間違っている」と手厳しい。

 共産党や新党大地もTPP交渉参加に反対の姿勢。一方、農協と日本医師会、電気事業連合会を「既得権3兄弟」と批判するみんなの党はTPP推進を強調している。江田憲司幹事長は10日、札幌市での街頭演説で「農協をつぶし、新たな血を入れる。規制を取り払えば、農業は成長産業になる」と訴えた。

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 〈TPP交渉の現状〉輸入品にかけている税金(関税)をなくしたり、人の行き来やお金の流れをスムーズにしたりして自由な貿易圏を作ろうとする取り組み。米国や豪州、メキシコなど11カ国がすでに交渉に参加。日本は23日から加わり、年内の妥結を目指す。実現すれば世界の国内総生産(GDP)の4割を占める貿易圏ができる。

 日本政府の試算では、10年後にGDPが年3・2兆円増える一方、海外から安い農産物が入ることで国内の農業生産額は3兆円減る。自民党は参院選の政策集でコメや麦、乳製品、牛・豚肉、砂糖の原料の重要5品目を「聖域」として守る考えを示している。

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■北海道選挙区

改選数2。敬称略。四角囲みは推薦

小川 勝也 50 民現 〈元〉防衛副大臣

森山 佳則 46 諸新 幸福実現党員

伊達 忠一 74 自現 内閣府副大臣=〈公〉

森  英士 35 共新 〈元〉赤旗記者

安住 太伸 43 み新 党道支部長

浅野 貴博 35 大新 党幹事長代行

選挙などの日程

参院議員選挙公示 7/4(木)
参院議員選挙投開票 7/21(日)
期日前投票期間 7/5(金)〜20(土)
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