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12月4日公示の衆院選では、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉に日本が参加するかも争点になる。野田佳彦首相は強い意欲を示すが、反対が根強い農村部では、民主党の立候補予定者も態度を鮮明にしない。農業団体は反対を貫くよう各党に「圧力」をかけている。
■何度問われても
「様々な意見を聞かないと結論は出せない」。23日、広島県庁での記者会見。広島4区=東広島市、安芸郡など=で立つ予定の民主前職の空本誠喜氏(48)は何度問われても、TPP交渉参加について賛否を示さなかった。
空本氏は昨年10月、全国農業協同組合中央会(全中)が国会に出したTPP交渉反対請願の紹介議員に名を連ねた。衆院解散後の19日の取材に対しても「反対」と明言していた。
だが、野田首相が同日夜、TPP交渉推進方針への賛同を公認基準にすると表明すると、空本氏は20日に「時代は流れている」と発言。態度を変え始めた。
空本氏は街頭でもTPPについて触れず、30日に県内入りする岡田克也副総理にも応援演説を頼まなかった。「TPPへの姿勢など納得できない部分もある」と漏らす。
高知1区=高知市=で立候補予定の民主新顔の大石宗氏(32)は高知県議時代の2年前、県議会でのTPP交渉参加反対の意見書採決でただ一人反対した。「何を保護するかは議論すべきだが、交渉自体を否定するのはおかしい」と言う。
ただ、選挙戦でTPP問題を積極的に取り上げる考えはない。「聞かれれば隠し立てしないが、あえて言う必要はない」との考えだ。支援する連合高知傘下にはTPP交渉に反対する農林関係労組も加わっており、配慮しているとみられる。
■農家、自民以外に接近
コメや京野菜の産地で知られる京都5区=福知山市、舞鶴市など。ある農協組合長は21日、共産党の立候補予定者と懇談した。共産は公約でTPP交渉について「絶対反対」を掲げている。組合長は選挙で共産の支援はしないとしつつ、TPP問題で「お互いにがんばりましょう」と言葉をかけたという。
全中は「TPP交渉参加反対を明確にした政党を支援する」との立場。ただ長年支援してきた自民党は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」として、交渉入りに含みを残す。このため各地で、農協が自民以外の候補者にも接近する動きが出ている。
香川県内の農協でつくる政治団体・県農協農政対策協議会は27日、香川2区=さぬき市、坂出市など=で民主前職の玉木雄一郎氏(43)の推薦を決めた。TPP反対の国会請願の紹介議員に加わったことを重視した。民主の候補を推薦するのは初めてだ。
農政協幹部は「ずっと自民を支援してきたので悩ましいが、民主党内でTPP推進の流れを止めてくれた」と評価する。玉木氏は「私の役割は農村の声を伝えること。TPPをただ推進すると言うだけでは、農家の不信感が募るだけだ」と強調する。
■公開質問状も
福井県の農協組合員でつくる県農政連は26日、3選挙区で自民前職の推薦を決めた。立候補予定者にTPPに関する公開質問状を送付。反対した自民と共産、社民のうち、「政権に返り咲く可能性が高い」とし、自民を支援することにした。山田俊臣会長は「関税ゼロになれば百姓の命が危ない。議員バッジをつけさせて代弁者になってもらう」と語る。
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〈環太平洋経済連携協定(TPP)〉 英語名は、Trans―Pacific Partnership。太平洋周辺の国々の貿易自由化を目的とし、加盟国間ですべての分野の関税を撤廃することを目指す。シンガポールやニュージーランドなど4カ国で2006年に発効し、10年に米国や豪州などが交渉に参加。今年はメキシコとカナダも加わり、11カ国に拡大した。
| 衆院議員選挙公示 | 12/4(火) |
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| 衆院議員選挙投開票 | 12/16(日) |
| 期日前投票期間 | 12/5(水)〜15(土) |