東京都内に職場がある「茨城都民」が多い県南の市部では、国政選挙の投票率が県平均より高く知事選は低い「県南現象」が続いている。今回は衆院選と知事選が同日選のため、各選管は知事選の投票率アップを期待するが、「茨城都民」は両選挙をどう見るのか。
過去最低の投票率を記録した01年知事選。市町村別投票率ワースト1位は守谷町(現・守谷市)で、22.34%だった。投票率が低かった市は順に古河、つくば、取手、ひたちなか、龍ケ崎、牛久と県南が多い。97年知事選のワースト1位は取手市で21.96%だった。
「東京への通勤者や東京からの転入者が多く、国政には興味があるが、県や市の選挙には関心が低い。そんな傾向が投票率に出ているのではないか」と、取手、守谷、牛久、龍ケ崎4市の選管はみる。
00年の国勢調査によると、15歳以上の就業者に占める都内通勤者の割合は、取手市30%、守谷市19%、牛久市22%、龍ケ崎市17%だった。県全体が4%、県南でも土浦市が7%、つくば市が3%弱であるのに対し、4市の割合の高さが際立つ。
01年参院選、03年衆院選、04年参院選の各投票率は、4市とも県平均を上回った。「今回の知事選の投票率も、衆院選に引っ張られて上がることは間違いない」と4市選管は期待する。
JR常磐線佐貫駅から県外に通勤する龍ケ崎市の会社員に話を聞いた。
東京・新宿に勤める男性(43)は午前5時半に出勤、午後8時ごろ帰宅する。「3年前まで住んでいた神奈川より人口が少ないので1票の重みが増え、投票のしがいがある」と意欲はある。だが「衆院選では税制や年金に興味があっても、選ぶ基準にできるような主張があまりない。茨城県民という意識が薄いので、知事選は衆院選より興味がない」。
埼玉県戸田市に勤める男性(40)は越してきてまもなく2年。午前7時10〜20分に出勤、午後9〜10時に帰宅する。「これまでは賃貸で地域のことに関心がなかったが、家を買ったし、ずっと住むつもりなので、地域のことをしっかり見ようと思う」が、「知事選が一緒にあることは最近知った。そもそも、知事のことをよく知らない」。
午前7時に出勤、午後9時に帰宅する東京・芝に勤める男性(58)は「県知事より都知事の方をよく知っている。投票には行くが、現職と共産(推薦)の2候補で、自分の投票でどうなるというわけでもない」と残念がる。