未来の有権者に政治への関心を高めてもらおうと、東京のNPO法人が全国の若者に模擬投票を呼びかけている「未成年模擬衆院選2005」。
11日の投開票日が迫る衆院選に併せて、各地で実施されているこの企画に、津市のセントヨゼフ女子学園高校の1年生134人が、県内の学校では初めて参加した。
生徒たちは複数の選挙区から通っており、投票は政党名のみを記入する比例代表方式。新聞記事などで各党の政策を検討した上で、実際の政党を思い思いに選んで一票を託した。
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模擬投票は、参政権を20歳から18歳へ引き下げることや若者の政治教育推進を訴えて活動する学生、社会人らのNPO法人「Rights(ライツ)」=東京都港区=が実施している。今回は、北海道から兵庫県までの中高34校が「学校参加」部門に手を挙げた。
同校では、昨年の参院選でも現代社会の授業の一環で校内独自の模擬投票を実施している。指導する北川保教諭(62)が、教育研究会を通じてライツのメンバーと知り合ったことから、今回の模擬衆院選に合流した。
模擬投票前の授業では、新聞記事や報道番組のビデオを教材に民主主義や参政権、選挙制度の仕組みを予習。「各党の公約などを新聞で研究した上で、どの党を選ぶのか、しっかり検討を」という宿題も出た。
「投票日」の授業では、ライツを通じて取り寄せた6政党のポスターが教室に張られ、実際の投票に近い雰囲気も醸し出された。
北川教諭は「疑似体験を通じて政治や選挙に関心を持ち、自分の判断や行動の大切さを実感できる有権者に育ってほしい」と期待する。
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国政をはじめとする各選挙では、20代の若者らの低投票率が全国的に問題になっている。
「政治に無関心な若者ばかりではない。むしろ『無責任に一票を投じたくない』という、前向きな棄権者も少なくない」。ライツ常務理事の林大介さん(29)は指摘する。
林さんは、身近な若者たちの様子を例に「友人同士の会話で政治の話題を持ち出すと、オタクとかまじめなどとレッテルを張られがち。20歳になって突然、参政権を持っても、誰に投票していいのか分からない人が多い」とも説明する。
若者らに準備期間として模擬投票へ参加してもらった上で、20歳になった時に、未成年の段階で模擬投票した政党や政治家が、その後どんな行動をとったのかを見極めてほしいという。
模擬投票は、02年2月の東京都町田市長選で初めて企画された。国政選挙を含めて計7回実施しており、延べ8000人以上が参加している。昨年の参院選では約4800人が街頭投票やインターネットによるウェブ投票をしたという。
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「特定郵便局の是非や、サラリーマン増税の問題を、母と真剣に議論してきました」。9日の授業で模擬投票した西村舞加さん(15)は、各党の政策を比べた上で一票を投じた。「ちょっとでも政治に参加できたという感じ」と満足そうだ。
三村真祐美さん(16)は「将来、自分で仕事を持って、政治が暮らしに与える影響を実感すれば、選挙の大切さがもっと分かると思う」。
同校の投票箱は、校内では開票せず、そのままライツに郵送した。
模擬投票は、11日午後8時までネットによる参加もできる。全国集計の結果は14日に公表されるという。詳しくはライツのホームページ(http://www.rights.or.jp/)へ。